Multiple Degree of Freedom Cavity Resonators
Research & Development Project

Most advanced Cavity Resonator Applicatons
多 自由度型バスレフシステムの研究開発
ENGLISH INFORMATION
目次 技術文 書(邦文)
2011/12/5更新
MCAP-CR型
最終更新2012/6/3
多自由度
バスレフ型
共鳴管型 自作 日記
ブログ

長岡先生 著者 リンク
作品集(英 文)
技術文書(英文)
2011/12/1更新
スピーカー再生技術研究会 オーディオ放言
時々更新


日記
アーカイブ



お知らせ

2013年1月26日
標準MCAP-CR型スピーカーシステムのシミュレータプログラムを配布します。ソースコード付バイナリファイルはここからダウンロードしてください。ページの一番下にあります。

スピーカー再生技術研究会の会員登録をしていなくてもYahoo!のIDを使用して、メーリングリストに参加出来ます。メーリングリストへの参加はこちらからお願い致します。

スピーカー再生技術研究会への会員登録は、こちらからお願い致しま す。会員登録しなくても、オフ会等への参加は歓迎します。

Googleこのサイト内の用語を検索しま す。
内容

はじめに


並列配置型小部屋構造 (MCAP-CR)型スピーカーシステム
バ スレフ動作を拡張した、複数固 有振動の新開発方式です。詳 細な計算式もありますので、設計が可能になっています。是非ご参照ください。

FE206Σ を使用したトール ボーイ
3 インチ Tangband W3-316Aを使用した小型システム
13cm ドライバー Cantare 5FE MK II, Omnes Audio L5を使用したシステム
ミューズの方舟2008への出品予定作品の情報があります。

MCAP-CRシステムの製作例-5

励磁型5インチドライバー Feastrex Nf5 Ex用エンクロージャーTR130c型

詳細は、バスレフスピーカー大全もご参照ください。


バスレフ型スピーカーシステム大全

 バスレフ型スピーカーシステム についてまとめました。世界 中 を探しても、ありそうで見つからない、初の試みです。HTMLで書くのが面倒なので、PDF文書です。
 内容は、殆どが力学と数学で、スピーカー設計の入門用の教科書のレベルを超えていますのが、大学理系の人には、分りやすいと思います。どうして今までこ の ような教科書が無かったのか不思議ですが、誰もやっていないようなので、自力で挑戦することにしました。最高のバスレフ型システムを目指すのであれば、避 けて通ることはできません。

 第1回『バス レフ型スピーカーシス テムの力 学(1)』 初回はバスレフ型スピーカーシステムの分類です。長岡先生以上に『こんなスピーカー見たことない』。これは本当です (2008/05/24)。
  1. 第2回『バ スレフ型スピーカー システムの力 学(2)』 第2回は、運動方程式の導き方をまとめます。理系でない 人には少し難しいですが、設計とは本来こういうものでが基礎になります(2008/05/31)。
  2. 第3回『MCAP-CR 型スピーカーシステムの簡易計算方法』 MCAP-CR型の簡易計算方法を提案しました(2008/10/06)。
  3. 第4回『多自由度バスレフ型ス ピーカーシステムの一般化』 MCAP-CR型の次の方式となる、炭素結合型バスレフスピーカーシステム(CBS-CR)を提案しました (2008/11/3)。
バスレフシステムの シミュレーション
表計算ソフトを使用して、バスレフシステムの動きをシミュ レーションしてみました。詳細は、こ ちらをご参照くださ い。

バスレフのシ ミュレーションファイルはこ こを 右クリックして保存してくだ さい(4MB近くありますのでインターネット環境に注意してください。また、OpenOfficeが 必要です)。2008/05/10追加

手作りアンプの会の第103回関東三土会で発表した原稿(PDFファイル)もご参照ください。バスレフシステムについての研究報告で す。これが比較的分りやすいかもしれません。


穴開き共鳴管型スピーカーシステム
共鳴管システムの改善型です。小改善なので実施は容易です。


自作について
スピーカーキャビネットの勝手な分類、バックロードホーンの 優位性などについて述べています。


測定について
自分で実施できる測定の問題点について述べています。


長岡先生
長岡先生について、オーディオ評論についてなど考えてみまし た


オーディオ日記
気付いたことなどを、適当に書いています。あまり一般性のある内容ではありません。

自己紹介
メールアドレスを載せています。このページのご感想などを頂 ければ嬉しいです。


リンク集


更新履歴及びお知らせ


2013/02/01
MCAP-CRのシミュレーションプログラムのGUI版を公開しました。こちらをご参照ください。

2012/09/14
MCAP-CR型が特許登録されました。特許第5083703号です。
非商用の使用は自由ですが、商用利用ご希望の方は、mcapspeakers@gmail.com までご連絡ください。

2009/08/23
日記を新しくしました。ですます 調の文体を止め、だ、である調の文体に変更しました。今後の更新は全て、だ、である調にしますが、過去のものは修正しません。

2009/08/09
シミュレーションに関する英文の 文書を2点追加しました。どちらも邦文では公開済みのものです。

2009/06/09
MDIC型の試作品で奮闘中です が、『ゲテもん認定』を受けました。日記をご参照ください。

2009/05/28
Yahoo! Geocitiesのサービスが年内に停止されることからサーバーを引っ越しました。Yahoo!Geocitiesのページは、停止されるまで残します が、更新はこちらだけで行います。

2009/05/17
手作りアンプの会の関東三土会 で、バスレフシステムについて研究中の課題を発表しました。内容はこ こにあります。

2009/05/06
手作りアンプの会、関東三土会 100回記念一般お披露目会が昨日終了しました。手作りアンプの会は、レベルが高く面白い会ですね。

2009/04/23
海外からの問合せを頂いたことか ら英語のページを拡充してきています。日本語ページと内容が違いますので、ご参照ください。

2009/03/29
日記を新しいページに分けまし た。以前のものは別の文書名にしてそのまま残しています。
また、どなたがdiyAudioのフォーラムにMCAP-CRを紹介してくださいました。ようやくMCAP-CRも国際化してきました。

2009/03/15
英語のページを更新しました。MCAP-CRのページを独立させました。また、FeastrexのNf5 Exciterを使用した、TR130b/c/dの記事を載せました(日本語はありません)。

2009/03/09
MCAP-CR型エンクロージャーの共振周波数簡易計算 シートを公開しました。
MCAP-CR型の項ご参照ください。

2009/03/08
リ ンクにてらちゃん工房を追加しました。

2009/03/01
Feastrex Nf5 Exciter用MCAP-CR型システムTR130c型が完成 しました。目論んだ通りの音でした。

2009/01/26
Feastrex Nf5 Exciter用MCAP-CR型システムTR130cを設計し、発注しました。MCAP-CR 型の製作例5に図面等があります。

2009/01/17
Feastrex D5e TypeU+TR130b箱のシステムが完成しました。これ以上は望まない、想像以上のマッチングです。エージングの終了が待ち遠しいです。何か、 Feastrexさんと私の合作のような...ちょっとメーカーの気分になりました。

2008/12/23
Feastrexのドライバーを 鳴らしてみました。やはり、普通の音とは違います。もうハイエンドの音になっているのでしょうか。自己満足の世界ではありますが。日記をご参照ください。

2008/12/21
TR130b型は、ある方にお引 取り頂けることに決まりました。ミューズの方舟で、この音を聞かれ、気に入られたといくことです。Feastrex用に改造して新しいスピーカーに生まれ 変ります。私も非常に楽しみです。
TR130b型は無くなりますが、他のシステムもありますので、お聞きになりたい方がいらっしゃいましたらご連絡ください。お待ちしています。

2008/12/16
ミューズの方舟2008スピー カーコンテストが終了しました。日記にレポートを書きまし た。
コ ンテストが終了したので、出品作のTR130b型は、MCAP-CR型の発表という役目を終えました。この作品は、方式をお伝えするために作成したもの で、自宅 での使用を目的としたものではありませんでした。もしも、ご自宅で聞いてみたいという方がいらっしゃいましたらご連絡ください。メールは、著者のところをご参照ください。

2008/12/16
ミューズの方舟2008スピー カーコンテストが終了しました。日記にレポートを書きまし た。

2008/11/30
ミューズの方舟2008スピー カーコンテストで使用するソフトを決定しました。日記をご参 照ください。

2008/11/29
 測定方法についての記述を変更しました。測定方法の変更に 伴い、以前に測定されたデータは削除し、一部は新しいデータに入換えました。また、作 品集に数点を追加しました。

2008/11/08
英語のホームページを一部更新し ました。

2008/11/03
新しい方式として、CBS-CR型 (Carbon Bond Structured Cavity Resonator)を提案しました。MCAP-CR型と共に開発してゆ きたいと思います。

2008/10/25
技術 文書一覧のページを追加しました。

2008/10/13
オーディオ日記を 始めました。適 当に更新してゆきます。

2008/10/06
バスレフスピーカー大全にMCAP-CR型スピーカーシステ ムの簡易計算方法を 追加しました。

2008/09/23
ミューズの方舟2008への出品作が完成しました。

2008/09/22
MCAP-CR型の製作例-2 (QU080b型)の特性評価を 追加しました。8cmでこれだけの低音再生能力のある システムを見たこととはありますか?

2008/09/17
ミューズの方舟 2008への出品作品その後の試聴結果を書き ました。Omnes Audio L5とジャズとの相性が良いのは意外でした。

2008/09/02
ミューズの方舟 2008への出品作品の情報を一部追加しまし た。一応完成し、これから慣らしと調整に入ります。

2008/08/10

2008/07/23
ミューズの方舟2008のイベン トに出品予定です。興味のあ る方は是非お聞きにいらしてください。作品の情報は事前に公開します。
準備のため、更新は一時中断します。

2008/06/22

2008/05/31
バスレフ型スピーカーシステムの 力学(2)をアップロードし ました。

2008/05/24
『バスレフ型スピーカーシステム 大全』を開始しました。
下記シミュレーションファイル及 び文書の間違いを修正

2008/05/10
バスレフシステムのシミュレー ションファイルを追加
MCAP-CR小型システムの製作例-2(設計編)

2008/05/06
バスレフシステムのシミュレー ションに詳細文書(PDF)を 追加

2008/05/05

2008/04/25
Geocitiesのサービスを 有償サービスに変更(データ トランスファーの制限を緩和。閲覧できなくなることが少くなりまし た。

2008/04/10
Geocities の無償ページを開設(英語・日本語)

2008/03/23
Googleの無償 ページを開設(英語のみ)


以下は、公開前の履 歴です。

2007年3月
MCAP-CR型の特許を出願 (2008年9月から公開)

2005年12月
MCAP-CR型スピーカー1号機を製 作

2005年3月頃
MCAP-CR型を企画

2005年1月頃
4連バスレフスピーカーを製作

2004年12月頃
4連バスレフスピーカーを計画





ENGLISH PAGE



お勧めリンク


オーディオ関連のリンクは様々にありますが、個人的に気に気に入り、また、役に立つサイトを紹介します。紹介するサイトは徐々に増やしていくつもりです。
オーディオ奮闘記
M-TK さんのブログです。
趣 味の小部屋 カノン5Dさんのブログです。
スピーカー工房blue&drop バックロードホーンの好きな方にお勧めのページです
たて ちゅうさんのブログ 『集まれ!塩ビ管スピーカー』会長 たてちゅうさんのブログです。イベントの紹介記事などが豊富です。
チー プに音出し ケイさんのブログです。観察して図解するところが素晴らしい。比較すると写真は手抜きだと思います。
軽井沢朗読館 元NHKアナウンサーの青木裕子さんが私財を投じて設立された、朗読のためのホールです。音響効果抜群のホールで、今後、イ ベントにご協力頂けると思います。
スピーカー再生技術研究会 スピーカー再生技術について研究するグループのサイトです。難しそうな名称ですが、気楽な会です。オフ会もやりますので、興 味のある方は、会員登録かメーリングリストの登録をしてください。
今のところ自分が会長になっています。
究極の自作 スピーカー追及道
大山 美 樹音さんのサイトです。
長岡先生の膨大な作品につ いて整理し、実際に製作・検 証した資料館になっています。
自作するための知恵とノウ ハウが素晴らしく、これから 自作を始めようという方、自分はベテランだと思われる方にも役に立つと思います。
内容が興味深いので、私も かなり頻繁にチェックしてい ます。自作サイトの充実度では恐らく日本一でしょう。今後の更新が楽しみです。相互リンクです。
ゲテもん工作実験室 Stereo誌等でお馴染みの松さん のブログです。
ご本人はゲテもんとのことですが、ユニークなアプローチで参考になります。
『オーディオ、模型などの製作記事がメインのブログです。「とにかくなんでも作ってみる」というスタンスで、私が実際にやってみた事を中心に書いていきま す。独断と偏見?の邪道(ゲテもん)工作実験室へようこそ!\(^〇^)/』とのことです。
オー ディオの科学
研 究者か 或いは学者と思われる方のサイトです。分らないことがあったら先ず読んで調べて見ることをお勧めします。内容は、高価な教科書のような感じです。しかし、 このような教科書は見たことがないので、教科書以上の価値があるページです。
自作オーディオの部屋
中 学生のころからスピーカーを作り続けている方のページです。
『良い音と好きな音の違い』は、是非ともご参照ください。相互リンクです。
UENo Tomohiro Homeage 各種DAC、アンプの他、反発磁気回 路搭載発泡スチロール平面スピーカーに注目!この音は一度聴くべきでしょう。
無職人生(オーディオ、自作、酒、料理、 安曇野) ずっ とアンプを製作してきた方の、会社員引退後のブログです。オーディオ以外のことも盛り沢山です。
ブログハイエンド自作スピーカー 情 熱の自作により、正しくハイエンドの世界を構築している方です。工作の腕も素晴らしく、大変参考になります。相互リンクです。
手 作りスピーカー研究会 小 型のドライバーを中心に様々な研究をしておられます。読み物としてとても面白いページです。
ケンのオーディオメモ 理 論的で面白いブログです。文学的表現とは一線を画す内容です。
てらちゃん工房
木工&HamRadio
工 作の情報が中心です。何とMCAP-CR型のQU080bを製作されたそうで、お便りを頂きました。記事を書いて頂いたので、是非ともご参照ください。相 互リン クです。

お役立ちリンク
手 作りアンプの会
関東三土会 手作りアンプの会の関東地区定期会です。毎月欠かさず実施されています。
ス ピーカー分科会掲示板 手 作りアンプの会のスピーカー分科会掲示板です。
集まれ!塩ビ管ス ピーカー 塩ビ管をエンクロージャーに利用するアイディア満載の自作会で す。
私も会員になりました。
diyAudio 自作オーディオの総合サイト。全て英 語ですが、活発な議論が繰り広げられています。
音工房Z バックロードホーン専門のスピーカー 工房。バックロードホーンでここまでやっている例はないと思います。工作は苦手だが、しっかりしたバックロードホーンの音が好き、という人にお勧めです。
Phile-Web Community
音元 出版のサイトです。ユーザー登録するといろいろ書けます。
自作派は少数派です。
麻布オーディオ
Tangband 等のスピーカーユニットを取扱っています。
私は、秋葉原店を利用していますが、とても親切で居心地の良いお店です。
Fostexだけが、スピーカーユニットメーカーではありません。
ウェブでも購入できます。
ユニエル電子 質 の良いアンプ基板と電源基板を扱っている。自分のように、設計する腕はないが、工作の手間は厭わないという人にはお勧め。但し、アンプ基板の完成品を使用 して製作しても、トランス、放熱器、筐体、端子、ヴォリウム、線材等を自分で準備して加工しなければならないので、アンプキットよりも面倒臭い。音は、聴 いてみてのお楽しみです。
MAKIZOUクラ フト
長 岡式ス ピーカーのカット材などを取扱っています。
カット精度は最高で、ホームセンター等とは異ります。また、スピーカー用板材を専門に扱っているので、面倒な加工でも喜んで引き受けてくれます。
家に居ながら見積、発注できてしまうので、とても便利です。色々な板材がありますが、常時在庫している、シナアピトン合板やフィンランドバーチ合板が良さ そうです。
Feastrex 日本が世界に誇る高品質フルレンジス ピーカーユニットメーカーの公式サイトです。
SpectrumAudio
ド イツに あるスピーカーユニットの販売店です。品揃えが多く、見ていても飽きません。ドイツ語なので読むのは面倒ですが、用語は結構分りやすいと思います。英語が 通じるかどうか分りませんので、購入する場合には覚悟が必要かもしれません。
購入にはPaypalのアカウントが必要です。購入してみましたが、問題はありませんでした。
CommonSense Audio
ア メリカ の販売店です。Audio Nirvana, Lowther, PAudio, Fostexを取扱っています。Audio Nirvanaは他より安いです。私は未だ購入したことはありません。
Lautsprechertests in Hobby HiFi
こ れもド イツ語サイトですが、スピーカーユニットが多数販売されています。購入したことはありません。

リンクポリシー

リンクには制限はありません。このサイトが気に入られた方は、どの部分でもどのようにでもリンクしてください。相互リンクは歓迎します。




はじめに

スピーカーの自作は、簡単であるとも、難しいとも云われます。前者の根拠は、電気的な設計が簡単で、つくればそれなりに音が出てしまうことであり、後者の 根 拠は、その音を評価することが難しいことであると思います。

既にお亡くなりになってしまいましたが、長岡鉄男先生は、スピーカー自作の面白さを世に広めた方で、未だに自作マニアに強い影響を与えています。その反 面、 専門家の中には、スピーカーの自作を毛嫌いする人も居ます。どちらを信じるかは、各人の自由意志によるべきです。しかし、長岡先生は、それを好みの問題と 結 論付けているのに対し、反自作派は、いろいろと理由を付けて、自作は邪道だと説く傾向があるようです。スピーカーシステムの自作は難し過ぎてアマチュアに は 困難であると説き、文脈からは、スピーカーの自作そのものが邪道であると読み取れるサイトもあります。しかし、そのサイトでの解説を読んでも、科学的な説 明 が十分であるとは思えませんでした(他人を批評するこ とが目的ではないのでこれ以上は書きません)1

このページの主張は、自作の面白さを伝えることですが、同時に、自分の好みを自分で決めようという問いかけでもあります。そして、科学的に解明されていな い理論に 対して疑問を投げかけるものです。オーディオ製品の理屈には、理論不明でオカルト的なものもあります。音の良し悪しを評価しようとすると、このよう なオカルト的な基準が入ってしまうようです。音の良し悪しには、主観的な要素が強く、また、風評や、専門家の評価によっての思い込みも各人の評価に影響を 与えます。同じ装置で聞いても、時間により、季節により、体調により聞こえ方が違います。恐らく殆ど同じ音波が出ているのでしょうが、それでも聞こえ方は 違います。このような曖昧さは、現実として受容れるべきです。

視覚的なものは、かなりの部分を科学的、幾何学的に説明することが可能です。説明できないものは、ある特定の人には一般 の人に見えないも のが見える、という超常現象くらいのものでしょう。しかし、音については、振動源の振動が、空気などの媒体を通して、聴覚神経に伝達されるまでの間に変調 されるのが自然現象であり、また、外部からのノイズも完全に遮断することはできないものです。また、人により幻聴もあり、その日の体調や気分により同じ音 を聞いたはずでも異って聞こえることは周知の通りです。視覚の場合は、美しいとか醜いなどの、心理的要素が影響するものはありますが、丸いものが三角に見 えたりすることは通常はありません。人は脳の働きを効率化させるために、パターン認識するという説明をテレビ番組で見たことがあります。確かにその通りだ と思いますが、じっくり観察することで、パターン認識だけでない認識が可能になると思います。形状については、強度の思い込みや目の錯覚以外で認識が異っ てしまうことは少いのではないでしょうか。
しかし音には、各人の頭(心?)の中に認識されているものと、実態とが合っていないことが普通と思います。音波については、測定によってある 程度評価可能なのですが、特に空気媒体を通した測定には、不確定要素が付きまといます。この不確定要素が誤差範囲内として切り捨てられるのか、或いは、有 為差となるのか、その考え方でも評価が異ってくるでしょう。

私の自作に対する考え方は、自分が考えて作成したものが、自分の意図通りの動作をすれば満足するのであり、音の良し悪しは二の次で す。音の良し悪しは重要な要素ですが、上記の通り、主観や曖昧さが強く影響するため、自分が許容できる音であれば良しとしています。恐らく、殆ど全ての場 合において、長岡先生のオリジナルを製作したほうが良い音を得られると思いますが、自分の思い通りの設計をするというのは、別な面白さがあります。 このサイトで紹介する方式は、科学的な理論に基いており実際に設計計算が可能なものです。これで音が気に入ることがあれば、望ましいものだと思います。

以上、長々と前置きしてしまいましたが、是非、並列配置型小部屋構造(MCAP-CR)ス ピーカーシステムを お 読みくださ い。考え方、計算式、及び、 作例も紹介しています。

注1
確かに、そのサイトの主宰者が指摘されるように、科学的な検証な く、文学的表現で過大な効果を宣伝する危険なサイトも存在します。この点では、私もそのサイトの主宰者に同意します。私が推薦しているサイトは、趣味とし ての領域を逸脱しておらず、また、過大な表現のないものです。(2010/03/07追記)



信じられない.....

このページで一番紹介したいのはMCAP-CR型スピーカーシステムですが、自分の性格上理屈のはっきりしな いものは信じられません。そのような理由で、MCAP-CR方式1に ついては、数式を多用し、なるべく科学的なアプローチに努 めてきました。

冒頭にある、『信じられない.....』というのは、実は、私が最初にMCAP-CR型の試作機を作ったときに思ったことです。まさかこんな音を再生でき ると は、クオドラプルバスレフで見事に期待を裏切った後だっただけにて考え込みました。MCAP-CRは、クオドラプルバスレフを作成したときに、間違え て側面の板をもう1組分余らせてしまったので、別な板を購入してきてから、とりあえず作成してみたものでした。偶然とは恐ろしいものです。2006年のこ とでした。

それ以降MCAP-CR型の理論解明と試作が続きました。1作目は、ダクトが4本でしたが、2作目は一気に8本のシステムを製作、3作目は、FE108S を使用 したダクトが6本のシステム、4作目は、FF125Kを使用、同じくダクトが6本のシステム、5作目は、TangbandのW3-316Aを使用した、同 じくダクトが6本のシステムでした。そして、6作目が作例で紹介した、FE206Σを使用した、ダクト6本のシステムです。更に、今は、W3-316Aを 使用した、ダクト8本のシステムに取組んでいます。設計が終了し、MAKIZOUクラフトに板を発注してあるので、今月末から製作を開始、7月上旬に公開 できると思います2

それと同時に、既に製作したシステムの改造も進めています。普通のバスレフだと、改造すると云っても、空気室に何かを入れて容積を小さくするとか、1本の ダクトの寸法を変更するなど限られた改造しかできませんが、MCAP-CRの場合は、露出したダクトだけでも、最低2本あります。上記のように、自分の試 作品 は、露出ダクトが3本のものが多いので、ダクトの改造だけでもチューニングの余地がかなりあります。そのような理由で、既に製作した試作品の改造も同時に 進めています。

チューニングの方法は、既にあるダクトに別なダクトを嵌め込み、面積と長さを変更して、共振周波数の分布を変えるというものです。改造実験した のは、3作目のFE108Sを使用したシステムと、4作目のFF125Kを用いたシステムです。前者は、『自 作に ついて』の最初の部分に内部構造の写真を紹介しているもの、後者は、2011年11月16日の日記に紹介したもので、外形寸法は、共 に300× 300× 300の立方体です。小型スピーカーシステムと呼んで差し支えないと思います。これらの差は、殆どダクトの断面積が違うということだけです。

3作目は、仕上も手直しする予定なので、改造の完了までには、ひと月くらいかかると思いますが、まとまったらこのページにアップロードするようにします3

MCAP-CRを作ってしまうまでは、バックロードホーンや共鳴管でいいものをつくろうと思っていたのですが、今は、MCAP-CRの改善に全力を尽くし ています。そ のうちどこかでお聞かせしたいと思いますので、その機会には聴きにいらしてください。

注1
本ページを公開した当初はMCAP型、 MCAP方式という用語を使用していましたが、現在は、後ろに"-CR"(Cavity Resonatorの頭文字)を付けています。MCAPという省略形が多かったためにこのようにしました。しかし、MCAPで検索しても、M-CAPがぞ ろぞろと出てくるのは改善して欲しいものです。(2010/3/7追記)

注2
既に公開を終えています。(2010/3/7 追記)

注3
FE108SをTangbandのユニットに 交換し、バランスが良くなりました。日記に書くだけに留めています。気に入っているのですが、置き場所が無いためこの作品は、放出予定です。 (2010/3/8追記)


コストをかけずに音を良 くする

音を良くするのに必ずしもコストをかける必要はありません。下記のことを実施すれば音は良くなります。

(1)周囲を静かにする

騒音源を断ちます。特に音を悪くするものは、パソコンとテレビモニターです。
パソコンは、盛大なノイズを発生させていますので、パソコンを止めるとフーっと静かになります。止めたときの静寂感は相当なものです。また、テレビを含む モニターも結構な音をたてています。このようなノイズ源を取り去ると、音が一瞬にして変わります(良くなっているのではないはずですが)。
気候が良ければ、エアコンも止めます。エアコンの風切り音は結構耳障りで、細かな音の聞取りを妨げます。

(2)照明を切る

暗くすると音が良くなったように聞こえます。その理由は諸説あるようですが、私は、人間の受容能力に限界があり、視覚を遮ることによって頭脳で処理する量 が減り、そのため、聴覚に割当てられる処理能力が上がるのだと考えます。視覚は、音のノイズではなく、音を処理する過程のノイズなのだと考えます。
証明ということにはなりませんが、照明を落とすと音が良く聞こえます。暗くすると良く聞こえるので、音量を下げることができます。明るいときは普通に聞こ えていたと思ったものが、暗くなると、こんなに大きな音だったのかと思います。

どうしても照明が必要な場合は、蛍光灯を避け、白熱電球にします。蛍光灯のほうがノイズが大きいのです。蛍光灯からは、結構大きなノイズが出ています。ま た、間接照明 にして明るさを落とすのも有効です。照明を落として、じっくりと聞くというのは、装置の能力を最大限に発揮する方法だと思います。

(3)部屋を清潔にし、ニオイの元を断つ

上記と同様ですが、ニオイも頭脳の情報処理に影響を与えます。無臭は難しいですが、心地よい香りぐらいであれば良いでしょう。
最悪なのはタバコです。タバコは体に悪いだけでなく、この世で最大の悪臭の発生源でもあります。タバコを吹かしながらでなければ楽しめないという人もいる のでしょうが、私には賛同できません。オペラ、交響楽、室内楽いずれのコンサートも禁煙なのは当然のことなのです。私には、タバコのニオイのする部屋で は、気が散って音楽を楽しむことはできません。
長岡先生の真似をしているわけではありませんが、我家では、どのような訪問客であっても、ベランダでのタバコさえもご遠慮頂いています。



音の評価の80%は幻 聴?(2008/04/26追 記)

 自分を含めたアマチュアによる音の良否の評価 の80%は実際の音以外の評価だと思っています。80%と書いたのはパレート的な書き方で、数字に深い意味が あるわけではなく、主要なという程度の意味ですが、多少批判的に書いています。

 では、実際にどのように評価されるのでしょうか?
 オーディオ装置の音を評価する場合に、完全なブラインド評価には相当のお金がかかります。直接評価者ではない人が、評価者と機材を無作為に集 め、その装置 が絶対に見えないようにし、また、音量が同じになるように予め設定しておく必要があります。評価する機材の概要を教えては都合が悪く、価格帯を教えること も厳禁となります。また、順番も無作為でなければなりませんし、同じものを複数回聞かせるというような小細工も必要になります。更に回数なども厳密に検討 しておく必要があり、現実的には完全なブラインドテストは不可能と云って良いでしょう。


 このような理由から、実際には、必ず予断の入った条件で評価をすることになります。予断には、下記のようなものがあります。

予断の内容
備考
A
製品の価格
高額なものはいい音がしてくれ ないと困る
しかし、価格の割にいいものがあると嬉しい
B
製品の評価
XX先生がこのように評価して いる
某誌でベストバイに選ばれている
見た目が格好いい-如何にもいい音がしそうだ
(見た目が格好良くない-如何にも音が悪そう)
C
製造者のブランドイメージ
定番のXX製の装置だ
D
方式等に対する思い込み
いい音を出そうと思ったら、大 型マルチウェイでなければ (多数派)
フルレンジは、素直ないい音がするはずだ(長岡派)
バックロードホーンは低音が原理的に遅れるはずだ(多数派)

上記の予断とは別に体調や周囲の環境、録音ソース等の影響があります。
録音の現場は、通常は知らない訳ですから、作品に対しては思い込みの影響が強く出ます。すなわち、このような音がするはずだ、ということを知らずに評価す る訳です。

例えば、自分で、ケーブルの差を評価しようと思うと、とっかえひっかえ何度も同じものを聞くことになります。耳は疲れて、最初と最後とは体調がまるで違っ てしまうのです。更に、自分で良いと思って購入してきたものに対しては、良い音であってくれ、という希望が強く入り込みます。この状態で、差を聞き分ける ことが出来るだろうか、と思います。

以上のような状態で、我々は、装置の質を評価しているのですから、正しい音の評価などできる訳がないのです。ですので、深いことは考えず、素直になって好 みを評価する以外には、評価のしようがありません。目から鱗のような劇的な変化を何度も感じて、改善を重ねていたはずなのに、元に戻ってみると、意外に元 のものが良かった、などという経験は私にはよくあります。なかなか、終わりが見えないところが趣味の世界なのだと諦めるのが良いと思います。

唯一スピーカーだけは、比較的差が分りやすいので、測定である程度把握できます。アマチュア工作にスピーカー派が多いのはそのためもあるのでしょう。それ に、他人と違う自分だけのスピーカーというのは、可愛くもあり、良い方向に評価されるので、健全だと思います。



科学的ということ

私はたとえ理論が不完全であろうとも、科学的であろうという姿勢を通します。

フ ルレンジスピーカーシステムは、線を2本繋ぐだけで音が出てしまうので、スピーカーエンクロージャーの理論が無くても音を鳴らすことに問題はないでしょ う。また、殆どの場合において、フルレンジスピーカーシステムは、それなりに聴ける音が出てしまいます。だからと云って、科学的であろうという姿勢を放棄 してしまうのは危険なことです。

科学的に追求しても、理論が誤っていたり、作り上げたモデルが不完全なことは、当然のことながらあること です。寧ろ一点の欠陥もない無欠のモデルを作れることのほうが稀なことでしょう。だからと云って、科学を無視して良いということにはなりません。このペー ジで使用している理論は、大学理系の学部で勉強することが殆どで、一部に修士程度の理論も入っていますが、理系の勉強をした人が当然持っているべき知識で 理解できる、或いは、誤りを指摘できるレベルの内容です。理系の人は、是非とも方程式レベルまでお読みください。自分が意図した動作を実現出来たか出来な いかということこそ自作の醍醐味であると思います。


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