多自由度バスレフ型の研究 -日記-
日記アーカイブ

多自由度バスレフ型スピーカーシステム開発日記のアーカイブです。
ブログの日記も順次アーカイブしてゆきます。
資料としてお読みください。

2011年後期
2011年前期 2010年後期 2010年中期
2010年前期 2009年後期 2009年中期 2009年前期


2009/08/23
プログラミングの勉強
OpenOfficeの入手方法
2009/09/06 大山さん宅訪問
ダクトマニア
2009/09/22 FE108S調整
2009/09/27 狭い部屋での対策
2009/10/04 人による聴きどころの違い
2009/10/15 いい音って?
疲れる出張
2009/10/25 大山さんのZ1000を聴く
2009/11/05 SICA製Z002400を使ってみた
2009/11/16
TR130aダクトの改造
2009/11/29 頂いたお便り
CBS-CR
2009/12/06 10cmより13cm?
年末にはやはり『メサイア』
2009/12/15 デジタルカメラ(その2)
コンパクトデジカメ
2009/12/23 ミューズの方舟サウンドフェスティバル
音合せ
2009/08/24
MCAP-CR設計における注意点
2009/08/25
設計用パラメータ(スピーカユニットのスペック)の見直し
2009/09/21
FE108S
2009/09/24
システムの掃除と配置の調整
2009/10/03 アキュフェーズ
2009/10/12
大山さんの新作バックロード
2009/10/20 ダクトのチューニング
2009/11/03
アンプの作りなおし
スピーカーユニットの衝動買い
2009/11/08
オーディオ愛好家の忘年会
ユニエル電子パワーアンプのノイズ消滅
2009/11/23 オーディオ仲間Fさんのご訪問
2009/12/05 マトリックススピーカーの実験
標準サイズ
2009/12/13 ゲテもん工作実験室
オペラ『隅田川』と『万葉集』
デジタルカメラ

2009/12/16 CBS-CRとAICC-CR
最新の日記へ 2010/07/03-10/31 2010/01/01-06/30 2009/8/16-12/23 2009/3/29-8/15 2009/3/23以前
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2009/12/23

ミューズの方舟サウンドフェスティバル

本日は、ミューズの方舟主催の サウンドフェスティバル2009を訪問した。

スピーカーコンテストに比べて静かな感じかと思いきや殆ど変わらない盛況ぶりであった。スタッフの方々の苦労も報われたというものだろう。

今日は、撮影の練習を兼ねて、一脚を持参した。安物のコンデジで少しでも手ブレを無くすことができるかという試みでもあった。

左の写真のように、遠景では、手ブレの少い写真を撮ることができたが、被写体ブレはどうにもならない。ズームをすると被写体ブレは更に大きくなった。とい うことはさておき、実際のイベントでは、興味深い音を聴くことができた。
最 初は、SDM(Shutdown Maintenanceではない)とスパイラルダクトの組合せを聴くという試みで、同じバスレフ箱を3通り、SDM+スパイラル、SDMのみ、普通のバス レフという3通りを聞かせて頂いた。SDMは、資料を見ても良く理解できず、音も違うような違わないようなという印象だったが、スパイラルダクトの効果は 良く分った。

スパイラルダクトは、単一の共振周波数を持つバスレフダクトの共振ピークを下げ前後になだらかに分散させる効果があるよう だ。自分が、バスレフの共振を離散的に分散させるのと違い、アナログ的にブロードに分散させる手法のようだ。この音を聴いていて、自分はデジタル的な試行 をしているのだと感じた。スパイラルダクトは、いい効果があるので、単一共振周波数のバスレフやダブルバスレフには良い効果を発揮しそうだ。

上 の写真は、ネットワークの違いを聞くという試みで、違いが良く分ったが、どれが良いのか分らなかった。FE206Eを使ったメーカー(ショップ?)製バッ クロードであったが、癖が強かったように感じた。バックロードのアプリケーションとしては自分の好きな音ではなかった。ツィーターなしの音が聴きたかった のは自分だけだったろうか?メインのフルレンジユニットよりもツィーターのほうが高価というのも、自分には何だなあ...と感じてしまった。

アナログとCDの聴き比べは、自分の席が悪かったこともあって、差が聞き取りにくかった。会場が広いので、重要な違い成分が減衰してしまったのかもしれな い。普通のリスニングルームで聞けば違いが良く分ったのではないだろうか。


過去2年間の注目作品を聴く コーナーでは、田中さんの作品が良かった。発表当時自分も聞いたが、そのときと比べて、ツィーターなど細かな変更が施され更に素晴らしい作品に仕上がって いた。

他の作品も良かったが、明確な主張を感じたのは田中さんの作品であった。

前田さんのチューバは、良かったのだが、鳴らしたソースの『火の鳥』は録音がいまひとつに感じた。他は概ね良かったのだが、『火の鳥』だけは、歪っぽく感 じ、気に入らなかった。スピーカーのせいではないと思う。

ミューズの方舟の皆さん有難う御座いました。お疲れ様でした。

私事ですが、年末は留守にするので、本年はこれが最後の更新になります。

皆様良いお年をお迎えください。


音合せ

昨夜、東京文化会館小ホールのBaroque de X'masというコンサートを聴いてきた。音楽監督とフルートは有田正広さんで、ビーバーの『戦争』という面白い曲目も選ばれており、楽しむことが出来 た。

今 回は、オーディオマニアの気持ちを込めて聞いたところ、音合せの重要性に気付いた。音楽が始まってしまうと、開放弦の音は殆ど聴くことができないのだが、 音合せは開放の状態で行う。そこで、開放弦のほうが楽器が朗々と響くことに気付いた。弦を押えると、その他の部分も同時にダンプしてしまうため、楽器本来 の響が少くなる。しかし、音合せの状態では、楽器が最高の状態で鳴っていた。このことは、特に低音楽器で顕著に現れ、コントラバス等は、楽曲の最中は、聞 き漏らしてしまう位の存在感だったものが、音合せのときは、屈託無く伸び伸びと鳴っていた。

残 念ながら、音合せを収録したCDは見たことがない。楽曲ではないのだから当然といえば当然なのだが、楽器の本来の響を聴きたい自分にはちょっと残念だ。誰 か、開放弦だけで構成される音楽を作曲してくれないかな?色々なチューニングの弦楽器を沢山集めてあちこちから出る音を合わせてひとつの曲になるなんて現 代音楽のテーマとしては面白そうだ。

今日はこれからミューズの方舟のイベントを聴きに外出します。

2009/12/16

CBS-CRとAICC-CR

  今まではMCAP-CRばかり作ってきたが、やはり気になってCBS-CRを作ることにし、板を発注した。ついでに、同じ寸法で構造の違う、AICC- CRとMCAP-CRの板も同時に発注してしまった。届くのは来年になってからなので、のんびり作ってゆこうと思う。今回は、木口を隠すために、角材を別 に準備することにしている。多少なりとも素敵なほうが良いと思ったからである。

 CBS/AICC/MCAP合わせて3組の外形寸法はど れも1辺250mmの立方体で、空気室は主空気室と副空気室を合わせて4室構造である。ダクトには、木管を利用するので、これも別途手配することになる。 板材は、MAKIZOUクラフトお得意のスーパーシナアピトンの15mm合板とした。今まで松合板を使ってきたが、軽いし振動が多いので、基本に戻って剛 性が高く、重い合板としてみた。

 外見は全く区別のつかない3組のスピーカーシステムを同時に作るというのは我ながらマニアックだと思う。面白いので、出来上がったら手作りアンプの会の 関東三土会にでも持参しようかと考えている。

 CBS -CRとAICC-CRは、計算がうまくゆかないので、外部ダクトを基本となるMCAP-CRに合わせ、内部の接続方法を変更するだけにする予定である。 そのほうが、比較しやすいのではないかと考えたためである。音が悪いという心配はあまりしていない。自由度の大きなバスレフは、癖が分散されて聞きやすく なるためである。予想では、どれでも大差なく、自分の耳では判別できないかもしれない。敢えて云えば、CBS-CRだけは判別できそうな予感がする。

  スピーカーユニットには、何を使うかが問題である。お気に入りのW3-316Aは品切れで今後入荷するかどうかも分らないので、W3-1231SNを使お うかと考えているが、1本5,500円を6本というのは、懐に優しくない。W3-316Aの価格の2倍以上で、コストがかかっているのは分るが、音はどう だろうか。手作りアンプの会の人には『超高級品』と云われそうだ。Fostexも考えているが、造りの割には高いし、品質もばらつきがありそうなので、気 が進まないでいる。

 無事に出来たとして、問題なのは置き場所である。いくら小型であってもそれなりに場所をとるし、使わないのも可愛そうだ。ヤフオクに出品するとか考えて もみたが、あまり気が進まない。コストだけで一組2〜3万円というのはちょっと高価すぎるかもしれない。

 何はともあれ、どのような音になるのか楽しみである。

2009/12/15

デジタルカメラ(その2)

 一昨日の日記に書いたタイムスタンプ問題について、 Pentaxから一時回答を貰った。やはり、タイムスタンプを秒まで合わせることは出来なかったとのことで、サポートからビジネスチームに報告したという ことである。マニュアル通りに動作しないのは問題だが、隠さずに報告してもらったので、良かったと思う。

 補足すると、PentaxのK -mという機種は、気に入って使っている。タムロンの18-200mmmレンズを装着した状態で、きりりと締まった鮮明な画像を撮影することが出来る。価 格も良心的だし、機能も他社を一歩リードしている。本体に手ぶれ補正が付いているので、交換レンズが安価だし、全体を軽く収めることが出来る。自分のデジ イチ1台目である同じPentaxのK100Dにあった、オートフォーカス時にシャッターが押せなくなることがある、というような不具合はなく、オート フォーカス性能が格段に向上している。
 デフォルトでは色が鮮やか過ぎるのが難点だが、調整可能なので欠点とは云えない。タイムスタンプのゼロ秒設定が出来ないのが唯一の欠点だろうか。もちろ ん、要望は他にもいろいろあるのだが、完成度が高いことは間違いない。


コンパクトデジカメ

 コンパクトデジカメは、2台所有している。1台目は、米国出張時に購入したSumsungの600万画素のモデル、2台目はNikonの800万画素の モデルである。これらのカメラを使っていて思うのは、ユーザーの大半が仕様を理解していないということだ。

  大半のユーザーは、画素数が多いほど画質が良いと誤解している。しかし、極端に云えば画素数が多いほど画質が悪くなる場合が多い。コンパクトデジカメの撮 像素子(CCD)は、豆粒のように小さい。小さなCCDで、画素数を増やせば増やすほど、1画素あたりの光量が少くなるためノイズが増える。増えたノイズ は電気的に補正しなければならず、結果として画質が落ちる。また、同じ面積のCCDで比較した場合、1画素当たりの光量は、画素数に反比例するのではな く、画素数が増えると、更に光量が少くなる。何故なら、無駄な面積である画素間の仕切りの割合が、画素数が大きいほど増えるためである。画素数が多く画質 が悪いと、保存容量が負担になる割に、キタナイ写真が増えてしまい、いいことは全くないはずなのだ。コンデジだったら300万画素もあれば十分で、600 万画素では過剰なのに、今は1000万画素を越えるようなモデルが平然と売られている。古いデジカメのほうが価値があるのである。

 この ような事実は隠されていて、メーカーも画素数が多くなれば多くなるほど画質が上がるかのような広告をしている。恐らく、メーカーのエンジニアは、このよう な説明には抵抗しているだろうが、大半のユーザーが信じていれば、そのような製品を作らざるを得ないのが、資本主義の問題である。エンジニアの発言力が弱 いという問題もあるのだろう。

 このような現象は、オーディオ業界にもあり、へんてこな神話がまかり通っているように思う。具体的には書けないが、理屈がちゃんと説明されていないオカ ルトものには気をつけるべきだと思う。

 『怪しい説明が目に付くなあ』.....独り言

2009/12/13

ゲテもん工作実験室

 ゲテもん工 作実験室の松さんが、30cmフルレンジを使用したMCAP-CR型システムに挑戦中である。松さんとは、直接には2度お会いしただ けだが、メール等で交流が深まった。松さんは、MCAP-CRに興味を持たれ、とうとう30cmシステムで挑戦することになった。

 松さんからは設計時にご相談を頂いており、私の設計法などを説明差し上げたが、結局、少し違う設計(形状ではなく、主要諸元のこと)になっているので、 どのような音になるのかとても楽しみである。

  松さんは、最初外注する予定だったが、時間の制約があるので、全てご自分で製作されている。その腕は、プロも顔負けである。5角形断面で、副空気室2室の 合計3室構造、容量も全部で100Lを大きく超える。しかもフィンランドバーチ材を使うという徹底ぶりである。自分の腕では、とてもそこまで出来ない。外 注したら、100万円を大きく超えるであろう内容である。この内容の製作を委託されたら、大抵のところは引いてしまうのではないだろうか。

 未だ完成していませんが途中経過を見ることができるので、腕自慢の方は是非とも上記のリンクをご参照ください。


オペラ『隅田川』と『万葉集』

 12/12に、東京文化会館小ホールで、千住明さん作曲の上記の小オペラが演奏会形式で上演されたので、夫婦で聴いてきた。

 東京文化会館小ホールは、大ホールのとなりの小さなホールだが、音響が良く、端の席でも十分に楽しむことができる。自分は舞台に向かって右側端近くで、 後ろから数列目の席であった。

  どちらも極小編成のオーケストラに、独唱と合唱で構成される、1時間足らずの短いオペラである。『隅田川』のほうは、人買いにさらわれた息子を探して、母 が都から隅田川まで来たところの話である。結局息子は1年前に亡くなっていたが、息子の亡霊と面会を果たすという、渋い内容である。

 万葉集は、千住明氏が自分の全てを賭けて作曲した作品で、このシリーズが初演ということだった。本当の初演は前日だったということである。

  自分は、西洋オペラが好きで、好みがそちらのほうに偏っているので、これらの曲の良さを理解することが出来なかった。恐らく、深い内容、意味のある音楽構 成になっているのだろうが、素人の自分には、そのような技術的なことが分らない。『隅田川』は、お経のように、『万葉集』は、大河ドラマの音楽のように聞 こえてしまった。やはり、もっと音楽を勉強しなければ駄目なのだろう。

 勿論音響は良かった。『このような小編成の音楽だったら、自分の装置でも近い感じで再生できるな』、と思いながら聴いていた。自分のシステムの音も捨て たものじゃないのだろう。


デジタルカメラ

  デジカメが趣味という訳ではないが、自分は既に、通算でで9機種も買っている。35万画素の初期モデルの始まり、一番新しいのはデジタル1眼レフである。 デジタル1眼レフだけでも既に3台目である。小型、軽量に重点を置いて選択すると、必然的にローエンド機種になる。ローエンド機種でも、レンズを選ぶとそ れなりに重くなるのだが、本体の重量が大きいと、その分だけ重くなるので、決して上級機にはならない。

 何故そんなに買うかというと、用 途によって小型と一眼レフを使い分けるということの他、旅行の記憶をなるべく上等な状態で留めておきたいためである。一回の旅行につき、夫婦で4千枚位撮 影するという使い方をする。4千枚に及ぶ写真を整理するのに一番重要なのは、タイムスタンプの正確さである。2人で同時に撮影した写真のタイムスタンプが 揃っていないと、まとめたときに、前後関係がおかしくなるのである。数秒の差なら許容できるが、30秒違うと妙な前後関係になってしまうのである。

 CanonのKiss DigitalXという2世代前の機種と、PentaxのK-mという比較的新しい機種のタイムスタンプを揃えようとしてちょっとした問題を発見してし まった。

 Canon のほうは、全く問題なし。セットしたときの時刻にぴたりと合う。ところが、Pentaxのほうはどうやっても時刻が合わない。取説を読むと、秒まで合わせ る方法が書いてあり、その通りに操作するのだが、何度やっても20秒〜60秒位の範囲で常に進んでいる。必ず進む側にずれるのである。どうやら取説に書か れた通りの仕様になっていないらしい。マニュアルを書いた人も、設計した人も、確認はしていないのだろう。

 しょうがないので、購入店にカメラ、取説、保証書を持って行き、説明したが、なかなか分ってもらえない。お店にあった同じ機種でやってみると、同様にや はり時刻が合わない。お店からメーカーに問合せてもらったがサポートに説明するのも一苦労である。

  このようなバグは、普通の使い方では発見できない。何しろ、現時刻を表示するのは、起動時だけで、一旦起動してしまうと、時刻の確認が出来ない。だから、 取説通りにセットすると、『合っているはず』と思うだけで、通常は確認のしようがないのである。2台のカメラを使わないのであれば、50秒狂っていたとこ ろで気付きようもない。

 しょうがないので、サポートから正しく時刻を合わせる方法をメールで教えて貰うことにしたが、さて、どのような回答が来るか...

2009/12/06

10cmより13cm?

 MCAP-CRは、自分だけでもそこそこの作例が出来てきた。しかし、全部が大成功という訳ではない。ある面をとれば、評価できるが、一般的には今ひと つだろうと思うこともある。最近作ったTR100bもその一例だろう。

 TR100b は小型でありながら、30Hz近くをハイレベルで再生する。しかし、100Hz付近が寂しい。このため、再生する曲によっては素晴らしいと感じるが、殆ど の曲では、低音が寂しく聞こえる。理由は、振動板から直接放射される低音域とダクトから放射される低音域のクロスがうまく繋がっていないことだと思う。

  鮮烈な高域と力強い超低域との組合せという意味ではTR100bはうまく出来たようだが、中低域をもう少し充実させたい。一番簡単なのは、振動板面積を増 やすことである。振動板面積を増やせば、ダクトの振幅も自動的に増加するので、窮屈にならない限り、振動板は大きくても良い。

 TR100b は、TR130aより一回り大型で13cmでも良さそうだ。FE108SをMCAP-CRで、という趣旨には反するが、音楽を聴くのに使うのだから、そろ そろ改造してみようと思う。年末は、いろいろと忙しいので、2010年が明けてからということになるが、FE108S→FE108Σと変えたものを、L5 (Omnes Audio)に変更しようと思う。実物の寸法を計測すると、穴を拡げるだけでうまく載せられそうである。L5は、元々TR130bに付ける候補としたもの だが、少し弱過ぎる感じだった。TR130bの60%位の容量であるTR100bには丁度良いかもしれない。

 延び延びになっている、CBS-CRと併せて試行してゆきたい。

年末にはやはり『メサイア』

 日本では、年末にはベートーヴェンの第九交響曲を聴くのが慣例になっている。

 しかし、自分には、この習慣には違和感があった。第九は、季節を問わず、何時聴いても素晴らしい作品だと思う。年末の恒例行事にしてしまうのでは、この 名作が気の毒に思う。この曲を、年末行事の呪縛から解放してあげられないものだろうか。

 今日、NHK FMを聴いていたら、ヘンデルの『メサイア』を放送していた。『メサイア』は、クリスマス曲のひとつだから、年末にもよく適合する。救世主を讃えるこの曲 は、新年を迎えるのにぴったりである。自分は、ずっとそう思っていたが、他の人は、どうなんだろうか?

2009/12/05

マトリックススピーカーの実験

 少し変わったマトリックスス ピーカーの実験をしてみた。

 通常は、中央が"L+R"、右が"R-L"、左が"L-R"という接続方法になる。それだけでは面白くないので、接続方法を変えてみた。

  中央は"L&R"(空間で合成)、右は"-L"、左は"-R"という単純な接続とした。中央はTangbandの3"、左右は同2"のフ ルレンジ スピーカーユニットを使っている。2"のほうが能率が低いので、同じスピーカーユニットを4本使って構成する通常のマトリックスに近い感じになるのではな いかという考え方である。すなわち、下記のようになる。

L R
-R -L
  能率の違うスピーカーユニットを使うことによって、空間で、適当な量の差信号が合成されるという考え方である。これで実用になれば、マトリックススピー カーは、もっと普及するのではないだろうか。MCAP-CRのような多自由度型バスレフを使えば、低音が十分に再生できるのと同時に全体がコンパクトにま とまる。左右のユニットは、後面開放の箱に吸音するだけで良いので、おまけ程度に追加できる。

 教会録音の聖歌を聞いてみると、雰囲気は 抜群で、通常のステレオ再生(小口径フルレンジ)よりも情景が拡がり、教会で聞いている感じになる。我家は狭いため、設置場所は出窓とした。見たとおり背 面はすぐにガラス窓になっているので、理想的な条件とは云えない。しかし、不思議なことの情景が拡がって聞こえる。

 構成をもう少し説明 すると、中央は、以前に日記に書いたMCAP-CRの"die Bremse"、左右は、4連バスレフの失敗作である。また、アンプとプレーヤーは、Kenwoodのミニコンポである。差信号を使わない理由は、うっか りとBTLアンプに繋いで壊すのを避けたいためである。中央のスピーカーは、MCAP-CRなので、低音は十分なレベルで再生できる。迫力はないが、教会 のオルガンでも問題なく再生する。

 こうやって実験してみると、マトリックススピーカーは、意外に単純に実用化できそうな感じがする。

標準サイズ

 Z002400を使用したMCAP-CRのTR130a型をゲテもん工作実験室の 松さんのところにお送りした。松さんが取組んでおられるMCAP-CRの新作の参考になればいいし、是非とも聴いていただきたかったためである。そこで、 箱詰めしようとしたところで問題に当たった。丁度良いサイズのダンボール箱がないのである。ヤマト運輸のページを見ても、300x300x300の TR130aが丁度良く収まる箱がない。自宅の周りに箱を調達に行ったが、見付からないため、止むを得ず100円ショップの中途半端な箱を買ってきて、そ れにダンボールを切り貼りしながら、ようやく梱包した。

 300x300x300の立方体は、板取に無駄が無いし、格好が良いと思うが、梱包には適さない。売り物ではないので、梱包のことは考えなくて良いのか もしれないが、持ち歩くことが無いわけではない。次回からは、標準サイズの箱に収まる形にしようと思う。

2009/11/29

頂いたお便り

 昨日、ある方から、MCAP-CRを製作したご感想を頂いた。

 その方は、以前にQU080bに関するご質問をされた方で、元の設計に拘る必要はなく、ローエンドの周波数を60Hz位にして独自に設計するよう提案差 し上げた方であった。

  副空気室を3、共振周波数を60Hz〜140Hzの間としし、スピーカーユニットには、TangbandのW3-1231SNを使用して設計・製作された 結果パフォーマンスがとても良かったということで、態々写真まで送って下さった。多自由度バスレフを開発、推進している自分としては、このようなお便りは とても励みになり、有難く思う。

 多自由度バスレフの中で、恐らく最も実用的で、自由度の高い方式は、MCAP-CRだと思う。そして、 音の仕上は、設計者の自由に出来るところが特徴である。だから、このページの例にある設計にこだわる必要は全く無く、興味のある方は、試しに、簡単な箱と 紙管(ラップの芯等)やペットボトルとホース等で製作してみれば、効果を確かめることができる。本格的に設計・製作するのはその後で良い。

 MCAP-CRに興味を持たれた方からのメールでのご質問は、月に数件というところで、海外からと国内からが同じ位の数である。折角興味を持って頂いた ので、質問には、全て返信している。

 残念ながら、私にメールを送って来られた方の中には、こちらから返答してもそれっきりという人がいる。こういう人に返信した後はとても残念に感じる。こ れらの人には、共通のキーワードがあるのだが、それは書かないことにする。


CBS-CR

 MCAP-CRも完成しないのに、昨年構想して発表だけしているCBS-CRを 作ることにした。未だ設計の途中段階で、実際に製作するのは来年になると思うが、一応、下の図のようなものである。

最 も単純なCBS-CRの概念図 左 記の箱のイメージ

 共振周波数の計算をしているのだが、これが意外に難航している。MCAP-CRほど単純なものでは無さそうだ。

2009/11/23

オーディオ仲間Fさんのご訪問

  今月初めのオーディオ愛好家忘年会(?)でご一緒することのできたFさんが、土曜日に態々尋ねて下さった。Fさんは、殆ど市販品を買われたことのないとい う根っからの自作派で、中高音の質を重視している方である。Fさんのリスニングルームは、自分とほぼ同じサイズの部屋で、私と同様、工房を兼ねているとい うことである。システムの詳細は分らないが、現在は、38cm口径のウーファーを加えたマルチシステムということである。自分の部屋と同等の空間に 38cm径のウーファーがあるというのはちょっと想像できないが、年が明けたら訪問させて頂こうと思う。

 Fさんが来られるのは初めてな ので、当日は、朝からアキュフェーズのアンプP-350とFeastrex Nf5Exを鳴らし放しにしておいた。どちらも温まって調子が出るのに時間がかかるためである。Fさんは、ご自分の聴きどころを含んだクラシックの曲目の ほか、ジャズの女声ヴォーカルを2枚、ラテンのヴォーカル等、CDを何枚も持ってきて下さった。

 Fさんは、Feastrexの音を聴く のは初めてということであった。Feastrexがヤフオクに時々出品しているのはご存知で、一度聴いてみたかったということである。初めは、そのスピー カーであることに気付かずに聞いておられたところ、中高域が凄く良いと仰った。もう殆ど完成しているというご感想であった。Nf5Exは、力があり、 TR130cの箱も十分鳴らしきっている。気軽に買える値段ではない(2本で50万円弱)が、質を考慮すると安いというご感想だった。このスピーカーユ ニットは、価格だけに注目すると非常に高価であるが、中の磁気回路部分は削り出しで全て手作り、フレームは、アルミダイキャストで十分な厚みと強度があ る。また、人間国宝の和紙職人によるコーン紙を使用するなど、コストを考慮すると、この価格で売るには、今の10倍以上の販売量が必要だと思う。高価だが コストとパフォーマンスを考えると安い、不思議な商品である。自分は、これを購入してからは、中途半端な高級品を買わなくなったので、全体の投資額は却っ て少くなった。色々な意味でお買い得だったように思う。

 Fさんの評価基準だと、ヴァイオリンは、低音弦がしっかり再生できなければ駄目 で、高音弦は大抵の装置で綺麗に再生出来るものの、低音弦の表現が悪いと、ヴィオラが入ったときには、もう区別が出来なくなってしまうということである。 同様にジャズヴォーカルも、低い声の女声がしっかりと再生できなければならず、大抵はこれが不自然に綺麗に聞こえてしまうのだそうである。私の装置は、 ジャズ向きではないそうではあるが、ヴォーカルは良く再生できていると言って頂いた。

 試聴の途中で、アンプをアキュフェーズから、ユニ エル電子のPA-036に変更した。狭い部屋には、ユニエル電子のアンプのほうが、パフォーマンスが良いようでFさんの評判は、こちらのほうがすこぶる良 かった。私の評価も同様で、アキュフェーズは、全く使いこなしが出来ていないのだと感じた。ユニエルのPA-036が片チャンネル60W(電源が弱いので 多分40W位か)のスペックに対して、アキュフェーズP-350のスペックは150Wと相当な差がある。うさぎ小屋程度の部屋で真価を発揮するのは難しい だろう。それに、購入してから既に十数年が経過しており、そろそろオーバーホールも必要な状態だと思う。PA-036は、アンプ基板単体で、完成品の構成 は、アンプ基板(PA-036)+電源トランス+整流基板(VR-503)という単純なものであり、保護回路も電源のフューズだけである。放熱器もいい加 減な小型のものなので、アキュフェーズの完成度には程遠く、同じように使用すれば間違いなく壊れてしまうだろうが、このような単純構成なので、音を劣化さ せる要因は少いと思う。使用方法を限定すれば、このようなエコノミックなアンプも有りということだろう。

 今回は、Fさんの聴きどころをたっぷり教えて頂いて、時間があっという間に過ぎてしまった。どうも有難う御座いました。

2009/11/16

TR130aダクトの改造

 TR130a型のダクトに は、厚さ5mmのスポンジゴムが丸めて突っ込んであった。これで、ダクトの断面積を調整していたのだが、格好が悪いので、粘着部付のスポンジゴムをカット してダクトの中に貼ってみた。

 これで、ダクトの断面積は、26mm×26mmとなった。長さは、長いものから順に、132mm、96mm、72mmとなった。ダクトの共振周波数は、 低いほうから、48Hz、62Hz、71Hz、114Hz、118Hzとなった。

 オルガンを聴くと、32Hzは弱いものの、37Hzは、かなり強烈に出ている。オーケストラの厚みもまあまあといったところで、バランスは良いように感 じる。

 丸めて突っ込んでいたときのほうが余分な音がカットされていたように感じるが、こちらのほうが、ダクトの共振音が強く出るようだ。

 ダクトの改造の結果、格好悪くなると思ったが、却って見掛けが良くなった。
 Sicaのユニットの音の素 性の良さ、左右独立に製作したユニエル電子製PA-036型パワーアンプ基板のキレの良さも手伝って、好ましい音を聞かせている。

 更に低音側を伸ばすには、全体の大型化とダクトの口径増が必要になる。そうすれば良くなるかもしれないが、これでバランスは十分とれているし、 300mm×300mm×300mm立方体という形状も気に入っているので、これはこれで、満足できる結果だと思う。

 計算値に対してローエンドが伸び過ぎなので、小口径ダクトに対しては、モデル式の修正が必要になると思う。これは、別の課題として考えたい。

 こうやって、ダクトのチューニングが簡単にできるのは、MCAP-CRのメリットだと思う。

2009/11/08

オーディオ愛好家の忘年会

 先日、大 山さんと一緒に三島のkenbo-さんのところにお邪魔したときに、wさんから忘年会のお誘いを頂いた。

 忘年会とは云うものの、11月の上旬で、しかも3日間連続ということで、些か尻込みしていた。

 それでも、折角の機会なので、要領を得ないまま、初日だけ参加させて頂いた。

 初日は、11月7日の土曜日、三島駅まで行くと、wさんが迎えにきて下さっていた。

 最初にwさん宅に伺うと、既に2名の方がいらしていた。オーディオ談義をしながら、wさんの装置の音を聴かせて頂いた。
 wさんは、最近大掛かりなアンプを、お気に入りの安価なデジタルアンプに入換えられたということだ。スピーカーは38cmのマルチウェイ、これを上手に 使いこなしておられる。デジタルアンプとの組合せで調整した音は、wさんらしい、追い込んだ見事な音であった。

  次に、wさんと自分とを含めて4名で、kenbo-さんのところに向かった。kenbo-さんは、朝からトラブルで、スーパーウーファーの片側の音が出な くなってしまったとのこと。一緒にお邪魔した、wさんとfさんとの協力もあり、何とか機能は回復したものの、本来の音ではない。一連の会が終了してからも 調整が続くと思う。

 その次は、kenbo-さんを加えた5名で、cさんのところに向かう。cさんは、アナログ専門で、マッキントッシュ のアンプ、JBLのパラゴンで、60年代位のボーカルとジャズを中心に聞いておられる。自分の目指す方向の音とは異るが、中域の充実した音、音楽を聴くた めに突き詰めた音だ。方向性が違っていても、気持ちが良く分る。これが本来のオーディオ趣味というか音楽趣味の王道なのだろう。

 更に、 cさんを加えた6名で、hさんのところに向かう。hさんのところで、更に?名(もう数えられなくなっている)が合流して、hさんのスーパーマシンの音を聴 く。hさんの装置は、6ウェイ(いや5ウェイだったか)のマルチ駆動である。大きな部屋の壁一面が聴くための装置、別な壁には、アルテックの巨大なスピー カーとこれまた巨大な空港のラウンジにも置かないようなプラズマディスプレイがある。部屋は大きなうえに、音が外に抜けてゆくように造られている。これま た別格のオーディオの音。凄すぎる。自分の目指す方向とは違うが、やはり良く理解できる。自分だって出来るものならこうしてみたい。

 初 日のオーディオ愛好家訪問会はこれで終了。西伊豆、宇久須の民宿で、泊り掛けの宴会となった。宴会は意外と大人しかったと思ったが、一部で、禿だ、ハレー ションで写真が上手に映らない、等と大騒ぎになっている。一部からは、オーディオの話はしないのか?との声。自分は、モアを使いこなしている沼津のkさん と長岡派談義をし、気付いていたらもう皆寝ていた。

 今朝は、6時半に目が覚めたら、kenbo-さんは、既に風呂から上がったところだと云う。自分は、他の方々と朝風呂に入り、散歩に出た。西伊豆の景色 は、上記の写真の通りで、とても美しい。アキバ近くの我家とは随分違う。

 全工程参加することは出来なかったが、とても良い経験をさせて頂いた。次は、聴けなかったmさん、kさん、tさんの音も聴かせて頂きたい。

 wさんを初め皆様どうも有難う御座いました。


ユニエル電子パワーアンプのノイ ズ消滅

  帰宅してから、アンプを弄ってみると、プリアンプとパワーアンプのマイナス側同志に電位差が生じている。これがノイズの元であることは分るが、どうも釈然 としない。しょうがないので、パワーアンプのグラウンドを浮かせて、プリアンプのアース端子に繋いでみると、ノイズはどこかに消えて無くなった。

  システムのグラウンドが2点になっていたためのノイズだったということは、理解できる。しかし、釈然としない。グラウンドを無くすことにより、ノイズが無 くなっている。自分は、仕事で試験機のサービスを売っているが、グラウンドには特に気を使う。グラウンドを繋がないことによってノイズが無くなるというの は、コンセントにグラウンドのない日本だけの問題ではないだろうか。

 自分は、グラウンドには特に拘っていて、オーディオ用のACコンセ ントは全て、ホスピタルグレードの3Pで、グラウンド付である、ユニエルのパワーアンプも、態々3Pプラグを使い、筐体はグラウンドに落としている。それ に対して、アキュフェーズのプリアンプC-2000は、接地していない。こちらを3Pにして接地してもノイズは無くならなかったということは、電源のグラ ウンド端子とアンプのグラウンドは繋がっていなかったということだろうか。グラウンド無しの日本の電源事情は何か間違っている気がする。

  釈然とはしないものの、ノイズが無くなったことにより、ユニエルのパワーアンプにアキュフェーズのプリアンプ出力を繋ぐことが出来た。こうして聴いてみる と、パワーアンプ入力側の安物のボリウムを最大位置にできた効果もあってかユニエルのアンプが非常にいい音で鳴っている。Z002400を使った TR130aも素晴らしい音を奏でている。Z002400の性能が最大限に生かされているのだろうか。低域の瞬発的な表現もこのサイズとしては文句なし、 30Hz近くまで延びている。ここまで鳴るとは思わなかった。この口径を求めている方には是非ともお勧めしたい。


2009/11/05

SICA製Z002400を使ってみた

 来週末は、オーディオ仲間の 忘年会があり時間がとれないので、Z002400は、その次の週に鳴らしてみようと考えていたが、待ちきれずに使ってみた。

 TR130aという箱に同じくイタリアCantare製の5FR MK IIというフルレンジユニットが付いている。SICAのZ002400を外から合わせてみるとぴたりと一致したので、これと交換してみた。

 未だ鳴らし始めで音が馴染んでいない感じがするが、最初からヴァイオリンの弦は素直ないい音がしている。

 能率は、89.5dB/W-mということだが、もう少し低めに感じる。使っているうちに多少能率が上がってくるかもしれない。
 イタリア製ということもあろうが、おおらかな鳴り方をする。Tangbandのようにピンポイントに筋を通すような鳴り方でもなく、Fostexの旧 FEように豪快な鳴り方でもない。しかし、クラシック音楽がすーっと入ってくるような自然な鳴り方で、煩い感じがしない。

 この音で、1個4,280円というのはお買い得だと思う。

2009/11/03

アンプの作りなおし

 wさんがデジタルアンプを楽 しんでおられると伺ったので自分もかつて製作したユニエル電子のPA-036というパワーアンプ基板とVR-503という整流基板を組合せて製作したアン プを作りなおしてみた。これは、AB級の半導体アンプである。

 以前は電源セパレート型にして製作したが、筐体を分けたことによる接地処理の拙さからノイズが出たので、今回は、電源とアンプをひとつの筐体に纏めてみ た。

 殆ど出来ているので、簡単に終わると思ったが、始めてみると面倒くさい。先週の土曜に準備を始め、日曜に筐体その他の部品の購入と製作を行った。しか し、週末のうちには音を出すところまでいかず。結局本日の完成となった。
 アンプは左右独立で、左側の 写真は、内部の様子である、電源部を写真の下側にまとめ、アンプを写真右上に配置した。

 プラスマイナスの2電源型なので、配線は結構面倒くさいし、接地処理も良く理解できない。一応マニュアル通りに配線して問題はなささそうだった。

 放熱板が横を向いているのはいかにも素人臭くてご愛嬌だが、過熱することもなかったので、そのままにしている。一般的には(電熱学的には)縦にしたほう が放熱効率が良いので横を向いていることは好ましくない。

 筐体は結構高価で、1個2,520円もする。アンプ作りで最も高価な部品は筐体、トランスと放熱器ではないだろうか。
  ようやく完成して音を鳴らしてみたところ、CDプレーヤに直接繋ぐとノイズは殆ど出ないが、プリアンプの出力端子に繋ぐとノイズが気になった。市販品のア ンプは、特に接地しなくても良い状態で使えるように造られているので良いのだが、このようなアンプを使うと、システムとしてグラウンドが纏まらないのでこ のような問題が起きるのだろうか。

 プリアンプ側の電源端子は、一応3端子になっているが、コンセント側は日本仕様の2端子なので、電源ケーブルを3Pに変えれば良くなるかもしれないが、 面倒なので今日は諦めた。

 音のほうは、最初はイマイチだったが、使っているうちに段々良い音になってきた。元の電源セパレート型のほうがクリアな音だったが、ケーブルだらけで面 倒なのは良くないと思う。このほうがさっぱりしていいのではないだろうか。



スピーカーユニットの衝動買い

 上記のアンプの部品の買出し のときにコイズミ無線に立寄ってみた。ある方から、SICAの30cmフルレンジの音が良いと試聴を薦められていたためである。

 最初に30cmを聴かせて頂いたところ、素直な音で、音楽を優しく包み込む感じがとても良かった。しかし、実際に買うとなると、自宅には置けそうにな い。

  そこで次に近くにあった、同じSICAの12cm(実質は13cm相当)フルレンジを聴かせて頂いた。30cmを聴いたときにはそれで良いと思ったのだ が、12cmを聴くと別な良さが感じられたので、こちらを衝動買いしてしまった。1個4,280円と高くない。ドイツのSpectrum Audioでは、VAT込みで、25ユーロで販売しているので、良心的な価格設定と云える。
  購入したモデルは、Z002400というプレスフレームのダブルコーン型で、高級感はないが、フレームは結構剛性があるし、造りは丁寧だ。マグネットは直 径が85mmあり、ほどほどの磁気回路ではないかと思う。 コイズミ無線で聴いた感じからすると、癖の少い素直な音のようだった。

 箱は作っていないが、TR100b位で丁度いいか、もう少し小さくしても良さそうだ。ローエンドを欲張ってもしょうがなさそうなので、副空気室2個の MCAP-CRで丁度良いのではないかと思う。

 既に購入して使えていないOmnes AudioのL5と共用の箱を作れば面白そうだ。



2009/10/25

大山さんのZ1000を聴く

今日は、大山さんの試聴室を訪問し、新作Z1000を聴かせて頂いた。

 Z1000 は、10/12に聴かせて頂いた作品が上下2分割になっていたのに対し、通常の一体型で、オーソドックスな長岡式に似ている。デジカメを持参するのを忘れ たが、大山さんのカメラで撮影して頂いた。Z1000は、長岡先生のD-100を一回り大きくした感じのものであった。隣の拙作品TR100bのサイズ は、600H×236W×300Dなので、比較すると堂々たるサイズである。
  前回聴いた作品が、後面開放だったのに対し、こちらは前面開放で、開口面は丁寧な曲面構成であった。

 音は前回の作品と同様、癖がなく、クラシック向きの素 晴らしい出来だった。オーケストラの質感は見事、バックロードであることを意識しないで聴くことの出来る、これぞオーディオ趣味の極みとでも云う自然な音 だった。

 使用しているFE108EΣは、往年の長岡サウンドとは趣向が違うが、木目が細かく癖のない優しい音である。それでいながら、ここぞと云うところ では瞬発的に反応するダイナミックレンジの広い音だ。自分のTR100bとは異り低域の癖もない。

 ローエンドは恐らく40Hz位と推測するが、 通常はこれで十分、ジャズやポップス系の音域は全てカバーしている。パイプオルガンを聴きたければMCAP-CRのTR100bが良いかもしれないが、そ れ以外で は、Z1000が圧倒的に良い。
 Z1000のサイズは、TR100bの2倍くらいであるが、低域をフラットに延ばすには、こうしたサイズになるのは止むを得 ないことなのかもそれない。

 ピアノの筐体の響も自然で生に近く、オーケストラの弦も素直に奏でる。やはり、バックロードには大きなメリットがある。既に書いた通り、バックロードには大きなメ リットがあり、そのメリットを活かすシステムを聴くことができた。もう既に大山サウンドが完成したということだろう。

 発表は、あと2週間位先になるようだ。これを聴いて自分もバックロードを作ってみたくなった。 

2009/10/20

ダクトのチューニング

  現在、自宅に7組のMCAP-CRがある。どれも夫々にいいところがあり、気に入らないところもある。その中に、2008年のミューズの方舟のコンテンス トに出品する前の試作品として12cm用を改造したTR130aがある。この作品は、イタリア製のCantare 5FR MK IIというフルレンジドライバーを使用している。このドライバーは、高価な割に樹脂製のチャチなフレームで、音もちょっと木目細かさが足りない。しかし、 TR100bのチューニングの過程で吸音材の効果を実感したので、
もっと好みの音に近付けたいと思い、チューニングを実施してみた。

 まず最初に吸音材を追加して みた。元々吸音材としてスポンジが入っていたので、今回の追加によって中高域の粗さが多少押えられた程度であったが、暫く鳴 らしているうちに少しずつ改善されてきた。吸音材はかなり入っているので、これ以上の追加は悪影響が出そうだ。もう少しエージングを続けることにする。

 BOBO Stenson Trioのジャズを聴いてみると、ベースのブンブンした感じが気になった。以前の記述を読み返してみると、やはり同様のことが書いてあった。ウェブに記録 しておくというのはそれなりに役立つことが分った。

 そこで、次にダクトをチューニングすることにした。
 ベースのブンブンした感じ は、市販品に感じることの多い現象であるが、100〜200Hz位の中低音に癖がある場合に起こりやすい。そこで、ダクトのチューニング周波数を下げるた めに、ダクトの断面積を減らしてみることにした。

 簡単に出来る方法はないかと周囲を見渡していたら、厚さ5mmのスポンジ状のゴムが目に付いたので、これを適当なサイズに切ってから丸めてダクトに詰め 込んでみた。勿論、あてずっぽうではなく、簡易計算は実施している。

 差し込んだダクトは隙間たっぷりで、ダクトの修正後の有効断面積は良く分らないが、□36mmから□26mmに変更したことになる。ついでに長さも変更 した。
 この結果、ベースのブンブン感は無くなった。それと同時に余分な音が減ったようである。もう少し様子を見て、好みの音に追い込んでいきたい。

 スポンジゴムは格好悪いが、ダクト内の反射を抑える効果がありそうで、意外に使えるテクニックなのかもしれない。
 

2009/10/15

いい音って?

 自分は最近までオーディオ仲間が居なかったので、独自路線を地道に歩んできた。このところ、お付き合い頂ける方が徐々に増えてきたので、独自路線以外も 少しずつ見えるようになってきた。

 しかし、自分が昔から疑問に感じており、今でも答えが見えないのが『いい音』という概念である。

 勿論自分にも『いい音』と感じる音がある。しかし、その『いい音』が一般的に『いい音』であるとは思えない。何故なら、オーディオ製品の価格と自分の評 価とが一致しないからである。

 オーディオショーに訪問していつも感じるのは、高級オーディオの音には、高級然としたオーラがあるということである。再生音に独特の艶が乗っている。生 の音とは明らかに違う。高級オーディオで聞くオーケストラは、どれも独特の『いい音』に感じる。

 しかし、生のオーケストラは、上等な席で聴いてもさほど良い音である訳ではない。ホールによって全く違う音になる。音響効果の好ましくないホールで聴く と、弦楽器がギスギスした響になってしまう。

 録音エンジニアは、良い音で記録したいと考えるのが当然だから、工夫して録音しているだろうと思う。高級オーディオは、その『工夫』を余すことなく再生 しているのかもしれないが、どうしても不自然に感じるのである。

 自分が生に近いと感じるのはフルレンジシステムの音である。フルレンジには欠点もあるので、完璧という訳ではないが、自分の住環境では十分なパフォーマ ンスを示すことができると考えている。

 上記の理由で、バックロードホーンやMCAP-CRが好みなのである。将来マルチウェイに戻る可能性もない訳ではないが、フルレンジに不満を感じなけれ ばマルチに戻る理由もなさそうだ。

疲れる出張

10/12のkenbo-さん宅の試聴会の後、岡山への出張のため、大阪に移動した。翌日には帰宅できるはずだったのが、終電に間に合わず、岡山に宿泊す る羽目になった。そして、また夜行で出張になってしまった。

 今では珍しくなった夜行の急 行『能登』。23:32に上野を出発し、翌日の6:29に金沢に到着する。自分は更にそこから福井に向うことになっている。

 東京からだと、始発に乗っても福井には昼前にしか着かない。夜行バスか夜行列車の選択になるのだが、夜行列車が多少マシだろうと考えてこちらを選択し た。急行だと、グリーンにを使っても新幹線料金と大差ないので、まあ許せる範囲か。

 夜行で行くくらいだから当然トラブルでの出張である。それにしても、連続の出張は疲れる。

 自宅と違って好きな音楽も聴けないし、楽しむほどの旅でもないしなあ。

2009/10/12

大山さんの新作バックロード

 大山さんのメールマガジンを購読している方はご存知のことであるが、究極の自作 スピーカー追及道の 大山さんのバックロードの最終ドラフトが完成した。そして、今日、ブ ログハイエンド自作スピーカーのkenbo-さんのところで聞かせて頂いた。以下に私の印象を記す。
  • 大山さんのところで聞かせて頂いたD-101Sスーパースワンと比較しても完成度が高い。スーパースワンで気になっ た中低域の混濁が、大山さんの作品には殆ど感じられない。低域も分離して聞かせるし、ローエンドもスーパースワンより伸びている。また、スーパースワンで 気になった、低音が分離して下から聞こえるという感じもない。
  • 中高域も澄んだ音色を聞かせる。吸音材なしでも教会録音のコーラスが優しく響く。
  • ピアノの胴鳴りの再現性は抜群で、生の音にとても近い。
  • 上記のように音は文句なしであるが、形状デザインはいまひとつ工夫が必要と感じた。平行面の少い形状のほうが、人を 引き付けやすいのではないだろうか。
 スーパースワンとの大きな違いは、長い頸がないことだと考えている。長い頸は、スワンのトレードマークだが、自分にはデメリットに思える。長い頸が音に 癖を付けているのでないかと思っている。

  気になるのは、発売時期と価格だが、発売にはもう少し時間がかかりそうだ。ひょっとしたら、現状のもので、板材だけは、販売になるかもしれないが、完成品 のデザインは微妙に(見た目は大きく?)変わるのではないかと思う。勿論、音の評価だけだったら今のもので文句なしである。

 価格は、私が想像したよりは随分お安くなるようだ。ン十万(百万?)以上の既製品と比較しても音は上回っていると思うので、お買い得になるのは間違いな い。


  今回聞かせて頂いた、kenbo-さんのオーディオルームは、人も羨む立派な部屋である。今日、私のTR100b+FE108Σも聞かせて頂いたのだが、 酷い音だった。ウサギ小屋以下の自室で調整してもこのような立派な部屋ではちゃんと鳴らないのだろうか?それにしても酷すぎた。何か間違っていたのだろう か。いつも聞いているゲルギエフの『春の祭典』の低音が全く出ないし、高音が甲高く薄汚い。ひょっとした ら、何か間違っていたのかもしれないが、ショックでチェックするだけの心のゆとりを失ってしまった。
 その後wさんが来られて、お聞きになりたいと仰ったので、恥ずかしいのを我慢して聞いて頂いた。wさんの持って来られたソースでは上記のときほど酷くは 感じなかった。『
結 構聞けるかも?』 という範囲に収まっていた。何か違ったのだろうか?今思えば左右逆相に繫いでいたのかもしれない。今となっては、酷い音の記憶があるのみである。

 kenbo -さんのメインのシステムと、5.1チャンネル(サブウーファーなし)のVAシステムも聞かせて頂いた。メインのシステムの音が、一般家庭で挑戦すべきレ ベルでない(比較しても無駄なハイレベル)のは確かだが、VAシステムも見事だった。37インチのVは、Aに完全に負けている。FF85Kを全部で6個 使ったバックロードの音が全身を包み込む。完成度だけで単純に値段を付けるのだったら、100万円以上だろう。というか、100万円以上の市販品を持って きてもこんな凄い音は出せないだろう。ここに来ると、現実離れしたパフォーマンスの音に打ちのめされて何だか分らなくなってしまう。

 今日は、良い勉強になった。大山さん、kenbo-さん、wさん、どうも有難う御座いました。

2009/10/04

人による聴きどころの違い

 今日は、ゲテもん工作実 験室の 松さんが来訪され、Feastrex Nf5Ex+TR130cとFostex FE108S+TR100bを聞いて行かれた。松さんは、実際に管楽器を演奏されるということで、さすがに聴きどころを心得ておられ、いろいろと教えて頂 いた。最初にストラヴィンスキーのペトルーシュカを、録音の古いユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のLPレコード (SOCT25)を聴くと、音が素晴ら しく良いという評価だった。

 私がオーディオ趣味を継続してきたのは、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のLPレコードを聴くためであった。それも、RCAに移籍した後の録 音では駄目で、古いほうのCBS盤でなければならない。録音が違いすぎて話にならな いのである。貴重な円熟期をRCAの下手な録音によって駄目にしている。お聞き頂いたのはCBS盤で、1960年代の初頭の録音だと思う。この録音が素晴 らしく、楽器のひとつひとつが手にとるように分るというのは、驚異的である。

 比較のため、CDの音も聞いて頂いた。こちらは、チャール ズ・マッケラス指揮ロンドン交響楽団(Brilliant 6243)のものである。松さんは、こちらを聴いてちょっと驚かれた。音が悪いうえに、演奏の表現方法が他の多くの録音とは違っていて、違和感があるとい う。確かに、上記のLPレコードとは同じ曲に聞こえない。

注: マッケラスやロンドン交響楽団の演奏が下手だとか、間違っているという意味ではありません。好き嫌いの分れる演奏なのだと思います。40年位前の録音と比 べて音が悪いのもマイナス要因になっていると思います。

 2組のスピーカーシステムを切り替えて聞いたものの、ソースの音がこれだけ違うと、何を比較しているか分らなくなってしまう。
 その後、繰返し聞いたのは、 左の2枚のピアノ協奏曲で、どちらも最初の曲である。上は、グリーグの有名なピアノ協奏曲、下は、リストのピアノ協奏曲第1番である。

 松さんは、上のグリーグの録音が特に良いと言う。松さんがピアノの音を評価するときは、打弦と胴の共鳴の入り混じった、必ずしも美しいとは云えない響を 聞くのだと云う。

 そういう視点で聞くと、Feastrexは素晴らしく立ち上がりが良いうえに、ピアノの共鳴のような共振のようなどぎつい音を鳴らし分けるのだと仰っ た。

  自分は、あまりピアノの音を気にしないほうなので、教えて頂いた観点から聞いてみると確かにそのような音が聞こえる。そして、Feastrexと Fostexとでは、表現力に相当な差があることが確認できた。箱の違いがあることは確かだがそれだけでは説明できない差があった。

 自分は、上のグリーグよりも下のリストの録音のほうが好きである。リストのピアノは、重々しさが録音されている。多分楽器のブランドが違うのではないか と思う。残念ながら、演奏にどのブランドを使っているのかは、書いていないので分らなかった。

 松さんは、FostexとFeastrexとを比べて、『Fostexは、何かが多く、何かが少い』と表現された。それが何なのかはうまく表現できな い。自分もそのように感じた。

 補足すると、アコースティックな録音でなければ、どちらが良いとも云い難い程度の差であることを認めた上での差である。
 自分は、松さんの仰るように、両者の差があるとは思うが、低域のスピード感はFostexのほうが上回ると思う。しかし、それは箱の違いのせいかもしれ ないので断定的な表現は避けたいと思う。

 今日はここで終了、ということはなく、続いて、二人で究 極の自作 スピーカー追及道の大山さんのところへ向かった。

 大山さんのところでは、新作バックロードホーンを聞かせて頂くことにしていた。残念ながら、未完成のため音を聴くことはっできなかったが、代わりに、D -101S、D-58ES-R、モアイの3機種を聞かせて頂いた。

  前回お伺いしたときには、D-101SのユニットはエージングされていないFE108Sで、また、アンプはDENONの普及品だったが、今回は、使い込 んだユニットとサンスイの907の組合せで聞いたところ、滑らかで、低域も豊かな音を聞くことができた。やはり、スーパースワンは、アンプを鳴らすスピー カーである。松さんは、スーパースワンは初めてということであったが、素晴らしい音に驚かれていた。

 試聴ソースには、上記の2枚の他、8月9日の日記で紹介した、Chester CathedralのSing for Joy 2を用いた。

 その後、モアイ、D-58ES-Rの2機種を聞き感想を語り合った。皆、聞きどころが違うので、評価はバラバラだった。

 松さんは、スーパースワンが特に気に入られ、次に、D-58ES-Rがお気に入りだったが、モアイは音像が粗くなるように感じられたようだった。スー パースワンで聞くピアノはリアルだと云う。

  私は、松さんの評価とは違い、モアイが一番音が滑らかで奥行きも実在感も感じられた。スーパースワンでは、Sing for Joyを聞いてもオルガンの音程が分らないが、モアイでは良く分った。また、スーパースワンでは、オルガンが下から聞こえるが、モアイではやや 上から聞こえるようになる。実際のオルガンは上から聞こえるので、この違いは気になった。モアイは、素晴らしいスピーカーシステムである。

 大山さんは、夫々に思い入れがありどれもお好きだが、やはり、バックロードのほうがお好みだそうである。

  自分のTR100bでは、オルガンの音程が明確に分るし、スーパースワンよりもオルガンはもっと拡がっているように聞こえる。これに対し、松さんは、 100Hz付近が豊かに再生されるスーパースワンのほうが、良いと感じられている。このあたりは、聞き方が違うので、どうしようもないというのが三者一致 した見解だった。

  私のように、40Hzで切れては絶対に駄目、という聞き方をする人は多くないと思うので、大抵の人はスーパースワンのほうを、TR100bよりも好まれる と思う。しかし、自分には、オルガンの音程が分らないようでは受容れられない。これはポリシーの差と云うしかなく永遠に埋まらない差である。

 今日は楽しく充実した試聴会になった。来週には大山さんの新作を今度こそ聞かせて頂けるのを楽しみにしている。

2009/10/03

アキュフェーズ

 FE108S+TR100bの試聴にLPレコードを使用している。CDよりLPのほうが何ともいえないアナログ的な艶があるので耳に心地良い。
  カートリッジには、MC型のオーディオテクニカのAT33ML/OCCを使っている。本当は、MM型のSHUREのV15 Type IVを使いたかったのだが、アキュフェーズのC-2000とAD-9を購入したときに、MC型しか使えないのだと思い込んでいたので、 AT33ML/OCCを使用していた。それでもSHUREを使いたいと思い、AD-9の基板を外して見たところ、中にジャンパースイッチが付いており、 MM型でも使えそうなことに気付いた。ところが、マニュアルを紛失しており、設定方法が分らなかった。そこで、同社のウェブサイトを通して問合せたとこ ろ、翌日には電話を頂き、親切に教えて頂いた。また、マニュアルも送って頂いた。
 MM型に切り替えて、SHURE V15 Type IVを鳴らしてみたところ、片側しか音が出ない。反対側はノイズだけで、かすかに音楽信号が聞こえる程度だった。ピンケーブルの左右を入換えると聞こえる チャンネルが入れ替わるので、アンプ側の問題ではなさそうだ。カートリッジを外し、シェルの配線端子をひとつずつアルコールで掃除してみても変わらないの で、とうとう諦めてしまった。折角アキュフェーズに使い方を教えて頂いたのに申し訳ないことをしてしまった。
 折角なので、手元にあった、EMTのXSD-15(MC型)を使ってみたがこちらは音が全く出ない。カートリッジは使わなくても断線したりするのだろう か。どうしようもないので、結局AT33ML/OCCを使うことにした。

  今回苦労して思ったのは、やはりアキュフェーズはサポートが良いということだった。自分の満足度もオーディオメーカーの中で一番高い。品質、信頼性、サ ポートのどこを取っても文句なしである。負荷の大きなMCAP-CRでもアキュフェーズのアンプは楽々鳴らすことができる。こんなに良いメーカーがあるの だから、アンプは自作する必要はないのだと思う。....と云いながら手作りアンプの会に入っている自分は何だろう?

2009/09/27

狭い部屋での対策

 FE108Super +TR100bの音は、そこそこ落ち着いて来たが、隣に置いたFeastrex Nf5Ex+TR130cの音と比べるとそれでも高域が騒がしく感じる。そこで、部屋の反射を抑えるため、スピーカーの脇に座布団を置いてみた。すると、 高域の騒がしさが押えられて更に落ち着いた音になってきた。防空頭巾を被せたようで格好悪いが、簡単な割に効果がある。
 今まで狭い部屋の壁からの反射音が音を濁らせていたことが確認出来た。しかし、Nf5Exでは、このようなことをしなくても高域の騒がしさは感じられな い。FE108Superのほうが、高域の指向性が広いのだろうか。
 壁までの距離がそれなりにとれるのであれば、このような格好悪いことはしなくても良いだろう。
  スーパースワンをあまり広くない部屋で使用している方が、同じように悩んでいるという相談を雑誌で読んだことがある。ひょっとしたら、同じように頭巾を被 せて外側からの反射を抑えると悩みは解消するのかもしれない。狭い部屋でオーディオシステムを使用する場合には、スピーカー近くの壁からの反射を抑えてみ たらどうだろうか。


2009/09/24

システムの掃除と配置の調整

  連休の最終日に、システム全体の掃除を実施した。掃除と共に、配置を300mm位中央にシフトさせてみた。以前は少しでも部屋を広く使うために、向って右 側に押し付けて使用していたが、それでは聞き辛いので、中央にシフトした次第である。FE108Sの音に浸りたいので、暫くの間Feastrexを休める ことにした。

 システムの掃除はやはり重要で、音がくっきりしてきた(正確に言えば『ような気がする』かもしれない)。また、位置が変わって聞きやすくなった。

 FE108Sを付けたTR100bには、Feastrexで頂戴した水晶の粒を左右各3個敷いている。
 気のせいかもしれないが、この水晶により、音がくっきりしたように聞こえる。

  長岡先生は、とにかく全体をしっかりさせるセッティングに拘っていたが、Feastrexの社長さんは、どちらかというとスピーカーシステムを台やその他 から分離させたいようで、水晶の粒によって、他からの影響を遮断することに力点を置いている。長岡先生の方法に拘ったきた自分には、最初は奇妙に見えたの だが、このセッティングは、音の粒立ちを際立たせるのに役立っているように感じる。どちらが良いという結論は出せないが、この方法は試してみる価値があ る。

 FE108S とTR100b箱のエージングが進んできて、システム全体の音は聞きやすくなってきたのだが、8/9の日記で紹介したChester大聖堂合唱団を聞く と、FeastrexのNf5Ex+TR130c箱とは、透明感で大きく差をつけられている。エージングで多少は差を詰めることを期待したいが、これだけ 差があると、無理そうだ。

 大山さんのメルマガでは、Tangbandでもソースによっては云々、という記述があったが、もう少し詳しく 書くと、オンマイク録音ものは、Feastrexとその他(TangbandやFostex等)との差が出にくい。合唱団のようなアコースティックな音源 を聞くと、差がありすぎて比較にならない、というのが、自分の評価である。だから、アコースティックな録音の音楽に浸りたいのであれば、Feastrex という選択肢が有効なのだと思う。価格は凄いが、自分には価値があるのでFeastrexのスピーカーユニットに投資した。(自分は、山梨の Feastrex社とは全く違う使いこなしをしているので、興味のある方はメールでご連絡ください。どちらが良いとかいう問題ではなく、ポリシーが違うの で、全く別物に仕上がっています。)

 しかしながら、FE108Sの低音の質は、Nf5Exに負けていないか或いは上回るかもしれない。 10cm(有効径は80mm)の軽い振動板に100mmの強力フェライトマグネットという組合せは、スピード感が圧倒的である。これで、中高域に透明感が 出せれば怖いものなしなのだが...

2009/09/22

FE108S調整

 FE108S の突き抜けるような音は爽快この上なく、正に、自分のイメージする長岡サウンドそのままである。バスレフでは、低音が遅いと云われるが、この音を聴くと まったくそのようには感じられない。低音が遅いといわれる理由は、所謂バスレフ向きというスピーカーユニットを使用するためだろう。バックロードホーン向 きと云われるものを使用すれば、極めて速い低音を痛快に再生するようだ。そもそも、既存の理論には怪しい部分があるので、既存の理論の盲信による思い込み は禁物だろう。

 FE108Superの痛快 な音は良いのだが、高域のキンキンした音は、やはり気になる。それに、歪も感じるので、何らかの対策が必要だ。

 先ず最初は、空気室に入れることにより、反響を散らそうと思い、暫く貯めておいたコルクを使うことにした。これらのコルクは、カッターナイフで縦割りに し、空気室の内壁を波型にするのに使用する。綺麗な波型ではなく、適度に乱雑に並べたほうが良い。

 よくもこれだけ貯めたと思う。これでも1年弱の量である。以前のコルクは飲む都度捨てていた。因みにワインはコルクの栓のもののほうが味がまろやかだと 思う。
 実際に並べてみたところ、作 業が思ったよりも難しく、やはり乱雑になった。

 接着したつもりでもすぐに剥がれてしまうので、ヘアドライヤーで乾燥させながら何とかくっつけた。

 音を聴くと、何も無い状態よりまろやかな音になった。これはなかなかの効果である。

 この状態で、暫くきいてみたところ、ジャズやポップスでは問題が感じられなかったがオーケストラ等では、粗さが感じられた。耳を劈くような高域も、痛快 ではあるが、続けて聞くと疲れてしまった。
 一晩寝て、コルクが接着され ていることを確認してから、スポンジシートと台所用スポンジを壁に貼り付けてみた。写真の上側と両サイドには、林檎の下に敷いてあった厚さ5mm位のスポ ンジシートを貼り付け、下側には、Ampelmann型 のスポンジを敷いた。これは、複雑な形をしているので、吸音には丁度良い。

 この状態で聞いてみると、突き抜けるような高音が大人しくなって、普通っぽい音になった。吸音材の効果は流石で、キンキンした感じが殆ど感じられなくな た。しかし、ここぞというところの強打と踏ん張りはさすがにSuperだけのことがある。
  ずっと連続して鳴らしていたので、エージングの効果とも相俟って、聞きやすい音になってきた。突き抜ける高音は減退し、中低域の厚みが増してきた。バック ロードホーン専用のSuperもMCAP-CRで使用できることが分った。まだ多少高域寄りのバランスだが、広い部屋で聞けば、丁度良いのではないだろう か。大山さんのところで聞いたD-101Sの記憶と比較すると、低域側のレンジはこちらのほうが10Hz位広い。ローエンドの差が10Hzというのは、大 げさ に云えば10倍位の差と思って良い。D-101Sでは再生できないオルガンの低音も十分に再生しているので気持ちが良い。大太鼓がガツンと来た後の、ブル ルル...という震えも良く再生しているし、打楽器の低音は、凄く速い。この速さは、市販品ではなかなかお目にかかれない。高級オーディオショーで聞く音 は、艶があって心地良いものの低音がダブダブしていることが多い。それに対して、Superで駆動した箱の低音は、あっという間に自分の中を突き抜けて 行ってしまう感じである。

 今更ながら、FE108Superの底力には恐れ入る。MG100HR-Sに、この速さは出せるのだろうか。興味はあるが、値段がちょっと...

2009/09/21

FE108S

 Fostex 限定品の草分けとでも云えそうなのがこのFE108Sである。スーパースワンの記事がFM fanに掲載されたときに、第一ロットを1組購入し、あまり使用しないままもう10年以上が過ぎてしまった。今でもFostexは限定品を出しているが、 残念ながら、長岡サウンドとは違う方向に向かっており、もうパルプコーンとフェライトマグネットのSuperは生産しないらしい(HR-Sというのはフェ ライトだが、能率が低く音の傾向が異りそうである)。大山さん宅を訪問したときに、スーパー スワンを聞かせて頂いたので、挑戦したくなり、TR100bを製作してみた。

 TR100bは、副空気室が 3室あり、主空気室と第2副空気室の断面が三角形になっている。ここを三角形にすることにより、他の空気室のレイアウトがしやすくなった。また、振動板背 面の音が、直接跳ね返って来ないので、逆ホーンのような効果も期待できる。

  今回からは、ダクトは全て円形としている。ダクトを円形とすることにより、部品点数が減り、経済的になった。使用したのは、内径44mmと30mmの紙パ イプ、内径31mmのウッドパイプである。前者はヤフオクで購入したもの、後者はロイヤルホームセンターで購入したものである。
 内径31mmと30mmとで は、断面積が結構違うが、実際に組み込んだときにはいろいろな誤差に埋もれてしまうので、実質は同じと考えてよい。

  ダクトに円形断面のパイプを利用すると部品点数が減るため、ホームセンターで売っているサイズのものを上手に利用できる。今回は、300W×600Lを4 枚、200W×600Lを6枚購入し、カットしてもらったのは10箇所だけであった。板は、パイン集成材の18mm厚である。寸法は十分な精度であった。

 三角形の空気室の頂点には、15mm三角形断面の檜棒を利用した。意外に簡単に三角形の空気室を組立てることができた。
  仕上に失敗しながらどうにか製作し、本日完成したので、早速鳴らしてみた。最初は甲高い酷い音で、中高域が歪んでいた。我慢しながら聞いているうちに結構 聞ける音に変身してきた。もう少し聞いてみて、それでも、中高域の歪が気になるようならば、吸音材を使用したいと思う。

 低域は、 MCAP-CRらしく、ローエンドは30Hz近くまで伸びている。今のところエージングが足りないので高域が騒がしく、中低域が少なめに聞こえる。しか し、ここぞというときの瞬発力は流石にFE108Superで、打楽器をクリアに再生する。長岡スピーカーではないが、これぞ長岡サウンドと云っていいと 思う。

 今後、Superは入手できないので、この音を聴こうと思ったら、Tangbandにでも似たものを作ってもらうしかないのだろ うか。或いは、FE126Enあたりで代用できるかもしれないがどうだろうか。Fostexは、どうもユーザーを重視していないように感じる。マニア向け のサウンドを造ってこそFostexなのではないだろうか。



 大山さんのメルマガで紹介頂 いてから、まだ、Googleだけであるが、ようやく、検索時に引越し先のページが先頭に来るようになった。大山さんのページの影響力が如何に大きいか良 く分る。

  左の写真は同メルマガで紹介されたファンガードである。大山さんの記述には、誤解を招く部分があったので写真を載せた。92mm用のファンガードが、 10cmスピーカーにぴったり適合する。また、80mm用は、8cmに使えるが、足を曲げなければならない。120mm用は、13cmの寸法に近いが、 ぴったり合うのはTangbandのW5-1611SAで、その他は、足を曲げて合せ込む必要がある。
  写真の左側はシリコンゴムのワッシャーで、振動を幾らか遮断するのに用いる。オーディオ用のアクセサリは、概して高価だが、パソコン用のものは、安価であ る。ファンガードは写真の通り、T-Zoneで252円である。色は銀色と黒があるが、できれば黒のほうが良いと思う。このファンガードは安くて、専用の ものより音に対する影響が少いが、やはり鳴きがあるので、使わないほうが音が良いが、これが付いているだけで安心できるので、必要悪と考えている。


2009/09/06

大山さん宅訪問

 昨日、このページを読まれている方にはお馴染みの、『究 極の自作 スピーカー追及道』を主宰しておられる大山さん宅を訪問した。大山さんは、スピーカー製作の道を究めるべく木工技術を学 び、更に職人の門を叩き勉強を続けてきた方で、その研究については、同サイトやメルマガで読むことができる。

 大山さんは、ようやく独立に向けての一歩を踏み出されたところで、既に立派な工場を借り、木工機械の到着を待つところだった。夢の実現を目指し、ひたむ きに努力する大山さんには、できるだけの応援をしたいと思う。

 今回聞かせていただいたの は、左の写真にある、長岡先生設計のD-58ES-R、D-101Sと大山さんの試作中のバックロードホーンの3機種だった。

 大山さん試作中の機種は、本当に試作中で、1本しかない(写真中央右側)。その過程については、大山さんのメルマガで示されている。未だ試作中なので、 断定的な評価はできないが、この方向で完成すれば、長岡先生のD-101Sよりも完成度の高い作品に仕上がるだろう。

 大山さんに考えていただきたいのは、作品のデザインで、『音が良い』だけでなく、オーナーの満足度の向上を重視することだ。

  満足度という概念は漠然としているが、音が良ければそれだけで満足度が上がるものではない。作品の音の完成度がどれだけ高くても、満足度が100%のまま 維持されることは少い。満足度は、音の他にも、外観、手触り、ブランド、希少性、材料、価格など様々な要素がある。コストパ フォーマンスの高さというのは、買ったときに一瞬で消えてしまう満足度に過ぎず、むしろ、高価なほうが満足度が長続きする場合が多いと思う。シリ アル番号で、1号機であることが確認できるとか、1品ずつ完成図書が付いているとか、外観に王侯貴族の家具調の装飾が施してあるなどということがあれば、 作品の価値が上がってゆくはずだ。あまり格好いい話ではないが、他に無いものを手に入れたということで他人に自慢できるというのも満足度のひとつである。 大山さんは、1品ずつ手作りの道を選ばれたのだから、是非とも音以外の部分でも満足度を上げるよう頑張って頂きたい。

 試作機以外については、下記のように感じた。

 D -58ES-Rは、綺麗な木目細かい表現が印象的だった。自分が感じている長岡サウンドとはイメージが異っていた。細かな表現力は、Feastrexに近 い感じ だ。勿論、見事な工作と仕上が音の良さに貢献していることは間違いない。この立派な外観と音は、オーディオショーの高級品群と比較しても引けをとらな い。市販品と比較するなら、最低でも1本200万円以上のレンジに入るだろう。

 D-101Sは、聴取位置が近かったこともあり、自分の好みの音にはならなかった。

  強く感じたのは、特定の周波数帯での共鳴、共振音で、エージングでとれるとは思えない。低音もそれなりには出ているが、40Hz以下がばっさりと切れてい るので、オル ガンの低音は中途半端なところで終わってしまう。中高域については、がさがさした感じが耳に付き、音楽に集中できなかった。
 D -101Sスーパースワンは、他のタイプのバックロードホーンとは異り、第一ホーンが正方形に近い矩形断面で、面積が一定のうえに長い。この部分が、バス レ フとして動作しているのではないだろうか。このため、聴感上低音が豊かと感じさせる100Hz付近を強調しているのではないかと想像する。また、空気室が 小さいので、振動板の裏側は背面の音が乱反射を繰返し、それが、がさがさした感じになっているのではないかと思う。但し、上記の仮説が正しいとしても、そ れを矯正すると作品の魅力が無くなるのかもしれない。少くとも、スーパースワンは多くのマニアに支持されている立派な作品であり、完成度の高さは証明され ている。自分がそうでないと感じたからと云って作品の価値が下がるものではない。

 今回の訪問では、自分の音のリファレンスとして、QU080bを 持ち込んで聞かせて頂いた。この作品は、小型で軽く、その割には低音も良く出るので、何人か製作した方から好意的な感想を頂いている。大山さんは、興味津 々で聞かれてい たが、ご自身の求める方向との違いを感じておられた。そして、私の作品は、私の聞く音楽に合わせてチューニングしているのかと指摘されてしまった。自分で 意識している訳ではないが、確かに結果としてそのような重点を置いて評価している。自分で意識していなくても、聞く人が聞けば分ってしまうものだ。

 長岡作品と、QU080bとの差を書くと、手前味噌になってしまうので避けるが、少くとも8畳程度以下の部屋で聞くのであれば、長岡先生の作品に引けを とることはないと思う。

 その後、大山さんの工場を見せて頂き、自宅まで送って頂いた。ついでに大山さんに我家の作品を聞いて頂いたがそれは、大山さんのメルマガネタになるかも しれない。

 大山さんの新しい門出を応援したいと思う。


ダクトマニア


 MCAP-CR型等の多自由度バス レフ型には、ダクトが不可欠なので、ダクトを集めていたらこんなに集まってしまった。

 今迄は、板で正方形のダクトを作っていたのだが、円形のほうがいろいろな意味で都合が良いので、気になったらどんどん買い集めている。

 この他に、コイズミ無線で購入した70mm径の厚紙のダクトとか、8 月15日の日記に書いたようなビニルホースがあり、出番を待っている。

 下の写真の左奥にある3本は、ロイヤルホームセンターで購入した木製のダクトで、厚みがあり立派であるが、一番太いもので、内径31mmである。その手 前にある6本は、厚紙で、内径が30mmある。これは以前ヤフオクで購入したものだが、未だ使ったことがない。

 中央のちょと太めのものは内径44mmで、先週ヤフオクで購入したらその左側の内径50mmの立派なもの2本をおまけで頂いてしまった。

 右側の長いものは、東急ハンズで購入したもので、内径38mmと48mmのもの。薄くて頼りないが、音圧程度で破壊するほど弱いものでもないのでいずれ 使おうと思う。

 VP管のような塩ビ管も利用可能と思うが、接合が難しそうなので今のところは使用する予定がない。


2009/08/25

設計用パラメータ(スピーカユニットのスペック)の見直し

 スピーカユニットのTSパラメータに物理的にはどの程度の意味があるかは不明であることを以前から主張している。しかし、設計に使用できるパラメータは 必要で、何も無い訳にはいかない。私の研究は些か不十分ではあるが、スピーカユニットのパラメータをまとめてみた(フルレンジスピーカユニットのパ ラメータ一覧)。このファイルは、OpenOffice Calc形式なので、閲覧するには、フリーウェアのOpenOfficeバージョン3.0以降が必要である。

  この表は、FostexとTangbandで発表されているスペックをまとめたものである。機械的特性に焦点をあてているので、電気的特性は省略してあ る。また、スペックにないものとして、下記の指標を読取り、または、計算して付記してあるので設計には役立てられると考える。

指標 記 号または名称 定 義 備 考
200Hzでの音圧 - メー カー発表の周波数特性グラフから読取った音圧値[dB] 低 域の傾きの計算に使用する。
100Hzでの音圧 - メー カー発表の周波数特性グラフから読取った音圧値[dB] 低 域の傾きの計算に使用する。
50Hzでの音圧 - メー カー発表の周波数特性グラフから読取った音圧値[dB] 低 域の傾きの計算に使用する。
等価容量 Veq ス ピーカーユニットのばね定数と同等になる空気室の容量[L] Tangband のスペックにあるVasがこれに相当すると考えるが計算値とは不一致が見られる。
ばね定数 ku 裸 のスピーカーユニットの振動板を単位量変位させたときの反力[N/m] f0 とm0とから計算することができる。
坪量相当値 basis weight 振 動板の単位面積あたりの振動系の質量[kg/m2] m0 とa0とから計算することができる。
低域の傾き gradient 低 音域での単位周波数あたりの勾配 上 記の200Hz,100Hz,50Hzでの音圧値から単位周波数(対数値)あたりの勾配量を最小二乗法で計算したもの。

 特定の設計に上記の表のパラメータをそのまま使用する方法は確立できていないが、今後は、設計の指標として使用する方法を確立してゆきたい。


2009/08/24

MCAP-CR設計における注意点

 MCAP -CRの設計方法について、ご質問を頂くことがあるのだが、現在のところ、最適設計法は確立されていない。しかし、『何も分らない』では、設計は暗中模索 になってしまうので、現状までに得られているメモを記すことにした。新しい発見があれば、日記に随時更新してゆき、ある程度纏まったところで設計法のペー ジを書き足したいと思う。以下が、現段階での設計法である。

(1) 設計諸元の目安

公称口径 副 空気室の数 内 部ダクト断面積の総和 外 部ダクト断面積の総和 主 空気室の容量 副 空気室の容量 最 低共振周波数
8cm以下 2 実効振動板面積の0.5〜1倍

各ダクトの断面積は同一にするのが原則であり、同一にしない場合でも、平均値の+/-10%を超えないようにする。
実効振動板面積の0.3〜0.6倍

各ダクトの断面積は同一にするのが原則であり、同一にしない場合でも、平均値の+/-10%を超えないようにする。
1〜2[L] 主空気室の0.5〜2倍

共振周波数の低いダクトを配置する空気室は大きめに設定する
60〜70Hz
3 50〜60Hz
4 40〜50Hz
10〜12cm 2 3〜6[L] 50〜60Hz
3 40〜50Hz
4 30〜40Hz
13〜16cm 2 8〜16[L] 40〜50Hz
3 30〜40Hz
4 20〜30Hz
20〜22cm 2〜4 実 効振動板面積の0.2〜0.6倍 15〜30 [L] 20〜40Hz

(2) 注意事項
設計に当たっては、下記の点を考慮する。

  • 磁気回路が強力で振動板が軽めのスピーカーユニットの場合は、空気室を大きめにとる。目安は、上記の表の上限前後が 良いと思う。空気室の容量が大きいと、ダクトの面積を大きくすることができる。
  • 空気室が大き過ぎると低音過多になり、中高域の良さが失われる可能性があるので、大きければ良いというものではな い。
  • ダ クトの断面は、円形がベスト。円形のダクトが得られない場合には、正方形とし、どうしても正方形にならない場合には、正方形に近い長方形にする。スリット 型ダクトは、どのような動作をするか検討がつきにくいため、工学の観点からすると非常に格好が悪い(見た目ではなく、センスが悪く見える)。スリット型ダ クトでは、意図した通りの動作をしないと考えたほうが良い。
  • 各共振周波数の間隔は、超低域側では比較的密に、中低域側では比較的粗にする。
  • TSパラメータを使った設計は完成されていないので、あくまでも周波数特性の公表データを参考にして設計諸元を決め る。
  • 公称径が20cm以上のスピーカユニットを使用すると、全体サイズが冷蔵庫程になってしまうのでメリットは少い。勿 論興味はあるが、室内スペースにゆとりがない場合には推奨できない。

設計諸元は下記の順番に決めてゆく。

  1. 最低共振周波数と最高共振周波数の目標値を、カタログの周波数特性を見て決める。これは、最終的に計算して妥協、修 正する。
  2. 全体のサイズと副空気室の数を決める。これから各空気室のサイズを割り振る。
  3. 共振周波数が目標値に近くなるようにダクトの断面積と長さを決める。
  4. 設計の板取を決め、製作が容易かつ無駄が少くなるように設計諸元を修正する。
板の材質
 MCAP-CR型は、空気室の仕切りが補強を兼ね るため、構造強度は十分であるが、それでも板の振動が発生し、板の音が固有の響となって音色に影響を与える。このため、板の響を積極的に利用したほうが好 ましい場合がある。
  • MDFは、響を抑える効果があるので、付帯音が比較的少いが、反面好ましい響も少い。音が死ぬという人もいる。
  • 松系集成材の響は、好ましいと感じる人が多いようである。
  • 積層合板は、木材によって固有の響が違うので何とも云えないが、板の響は少なめであり、癖が少いので、無難な場合が 多い。
  • 無垢材の音が良いという人も居る。但し、高価なこと、製作が難しいこと、天然のむらによって部分収縮し、製作後に割 れやすい等の欠点があるため、自分は使おうと思わない。使うのであれば、工業製品というよりも工芸品に仕上げる覚悟が必要と思う。
  •  板は厚ければ良いというものではなく、薄いほうがいい場合がある。作例の、TR080a型は、 9mmのメルクシパイン集成材を使用しており板の響が大きい が、W3-316Aを使用したときの音は素晴らしく良く感じる。通常の場合、板厚は、12〜18mmの間で選び、気になる部分は2枚重ねにするとか補強す るというのが良いと思う。


以上

2009/08/23

プログラミングの勉強

 Open Officeを使用したシングルバスレフのシミュレーションは正しい方法だと思うが、計算速度が遅くこれ以上自由度を増やすのは実用的ではないので、計算 プログラム作成の検討を始めた。

  自分の年代の人の多くは、FORTRANのプログラミングを学校で教わった以外は自分で勉強しただけではないかと思う。自分の場合もFORTRANでは何 とかプログラムを組んでゆけるが、その他はあまり知らない。しかし、無償のコンパイラを入手出来て いないので、C++を使うことにした。

 最初は、無償配布されているVisual C++の使用を検討したが、書籍に説明してあるのは、みてくれの部分ばかりで、肝心の計算部分についての解説が殆どない。このため、格好いいプログラムは 諦めて、計算プログラムの部分だけをC++で作成しようと思っている。Visual C++で計算式だけのコンパイルができるのか試してみたが、良く分らないので、Borland C++ Compiler ver. 5.5(BCC55)を使用している。BCC55でGUIを作るのは大変だが、計算式部分だけであればこれで何とかできそうだ。計算結果はASCIIファ イルに出力し、OpenOfficeで開くという形になるだろう。

 C++のプログラミングが自在に出来る訳ではなく、余暇しか使えないので、何ヶ月(年?)かかるかわからない中長期的計画であるが、何事も『千里の道も 一歩から』。

OpenOfficeの入手方法

  読者の方から、MCAP-CR型の簡易計算シートを使ってみたいがMicrosoft Excelを持っていないが購入したほうが良いか、というお問合せを頂いた。ご存知ない方も多いと思うが、Microsoft Excelで出来ることのうち実用的な殆どの機能は、無償で配布されているOpenOffice Calcに含まれている。VBAでプログラムを組むという必要がないのであれば、OpenOfficeで困ることは殆どないと云って良い。簡易計算シート は、勿論、OpenOffice Calcで開いて使用することができる。Excelファイル形式にしたのは、Excelのほうが使っている人が多いし、Calcで開くことに何の問題もな いからという理由である。

 固有値計算のプログラムは、開発が簡単なMicrosoft Excel VBAで作成している。配布の予定はないが、C++のプログラム化を行い、大きなバグが無くなったら配布しようと考えている。但し、完成の目処はたってお らず、何年先になるか分らない。

 OpenOfficeは、下記のサイトから入手する。

Open Office入手先    http://www.openoffice.org/

  上記のページを開いたら、"I want to download OpenOffice.org"をクリックし、"Download now!"をクリックすれば、Windows版のインストールファイルを入手できる。実行ファイルの形式で配布されているので、ダウンロードしたファイル をダブルクリックし、ナビゲーション通りにすればそれだけでインストールされて使用できる状態になる。WindowsではなくLinuxを使用している場 合は、殆どのディストリビューションパッケージに 最初から含まれているので、何もしなくても使用できる状態になっている。使用方法は、Microsoft Officeと似たようなものなので、仕事でMicrosoft Officeを使用している人ならあまり困ることはないと思う。現在の最新版は、バージョンが3.1になっている。

 上記の説明は英語版の場合であるが、日本語も文字化けせずに使えるので、外国のソフトに慣れている人はそのまま使えばいいし、どうしても日本語版が良い 人は、窓 の杜等を利用すれば良い。私のように外国語化の過程でのバグを気にする人は英語版のほうが良い。

  雑誌の付録のCD-ROMに含まれている場合もあるので、インターネット環境が整っていない場合は、そのような雑誌を買えば良い。Linuxの雑誌には、 Linuxのディストリビューションが付録になっている場合が多く、その場合には間違いなくOpenOffice(勿論Linux版)が含まれている。 Windowsが高価なので使いたくないという人はLinuxをお勧めする。

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