多自由度バスレフ型の研究 -日記-

多自由度バスレフ型システムの研究開発
日記アーカイブ
多自由度バスレフ型スピーカーシステム開発日記のアーカイブです。
ブログの日記も順次アーカイブしてゆきます。
資料としてお読みください。
2011 年後期
2011 年前期 2010 年後期 2010年中期
2010年前期 2009 年後期 2009年中期 2009年前期
2010/07/03 NDRもどきシステム
2010/07/04 NDRもどきシステム (DU080x4-NDR-a) - その2
2010/07/07 スピーカー再生技術研究会の立上に苦 労
Stereo誌7月号
NDRもどきシステム(DU080x4-NDR-a)−その3
2010/07/09 スピーカー再生技術研究会第一回公開 オフ会決定
2010/07/11 Quasi-NonDimensional Radiation (QNDR)システム
2010/07/17 関東三土会
2010/07/18 QNDRシステムを広い部屋で聴いて みて
2010/07/19 スピーカー再生技術研究会のウェブサ イトをオープン
不思議な掲示板
問題のありそうなサイトを読むとき
2010/07/24 FE83En用新システムの製作
2010/07/25 FE83En用新システムの製作-2
2010/07/27 公開オフ会の下見を予定
2010/08/01 FE83En用新システムの製作−3
2010/08/03 FE83En用新システムのエージン グ
2010/08/07 ワックス仕上の実験
FE83En用新システムのエージング-2
2010/08/08 吸音材
2010/08/11 ブログを始めてみました
2010/08/22 楕円形のホール
2010/08/29 FE83En用新システムの仕上
2010/09/04 スピーカーコン テスト
2010/09/05 音響プロジェク ト測定演習(手作りアンプの会)
ピアノトリオのCDを買った
2010/09/06 W2-802SE
2010/09/08 ミステリートレイン
2010/09/11 時間のかかるプロジェクト
FE83Enの交換
2010/09/11 沼袋・野方まちおこしジャズ
2010/09/12 FE83En "CON GIOIA"チューニング
大山さんに感謝
2010/09/16 価値の無い機能
2010/09/18 恥ずかしいですが...
2010/09/20 オフ会会場下見
2010/09/21 スピーカー再生技術研究会オフ会は入場無料です!
2010/09/24 スピーカー再生技術研究会第1回オフ会
2010/09/27 Stereo誌コンテスト
2010/09/29 行きたいなあ
2010/09/30 東武弾丸ツアー
2010/10/06 体調悪し
2010/10/10 真空管オーディオフェアとハイエンドショー
2010/10/11 『集まれ!塩ビ管スピーカー』オフ会
2010/10/13 『集まれ!塩ビ管スピーカー』オフ会-2
2010/10/17 軽井沢朗読館
2010/10/24 DCU-F122W
再びマクベス
リビングシステムの模様替え
2010/10/26 便利は不便
2010/10/27 次は2インチのQNDR
2010/10/30 QNDR用端材
2010/10/31 AICC-CRの音場創製効果


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2010/11/1-12/25 最新
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2010/10/31

AICC-CRの音場創製効果

  昨日は、ウィーン国立歌劇場のコンサートを放送していた。居間のシステムは先週模様替えしたので、自作スピーカーを鳴らせるようになっている。プリアンプ は、Crescent(伊藤喜多男さんのブランド)のRA 1501-A、パワーアンプにAccuphaseのP-350という組み合わせで聴いていた。
 先日の集まれ!塩ビ管スピーカーのオフ会では、AICC-CRであるCON GIOIAの音場感が良かったという感想を頂いたので、その理由を考えながらAICC-CRであるAIT080a聴いていた。
 確かに音場はスピーカーの後方にも拡がるように聞こえる。これは、副空気室を繋ぐ短いダクトの効果ではないだろうか。短いダクトの部分の音は、繋がれた 各チャンバー内部では夫々逆相になっている。この逆相成分が音場を創製しているのだろうか。
 NHKのBSデジタル放送の音は素晴らしく、この組合せで聴くと、ホールの音が再現された。

 ミューズの方舟さんの今年のコンテストにはエントリーしているのだが、出品するCON GIOIAは、先日からせんむさんに預かって頂いており、ご迷惑なのでそろそろ取りに伺わなければならない。

  軽井沢朗読館での音を聴いてから分ったことは、ちゃんとしたホール以外ではシステムの音は評価できないということである。アカデミー湯島の視聴覚室の音も 横浜ラポールのラポール座の音もとりあえず聴くことができるレベルであった。ミューズの方舟さんの会場の音も同じようなものだったと記憶している。会場が 広いうえに来場者に音を吸収されてしまうので、多少ハイ上がりで低域にアクセントがあったほうが良い音に聞こえるようだ。CON GIOIAがどんな音で鳴るのか分らないが、今度は、AICC-CRの音場創製効果の分りやすいソースを持参しようかと思い始めた。


2010/10/30

QNDR用端材

最近は、なるべく自作ス ピーカーの木口を隠すようにしている。10/27の図で、四隅に描いている角材は、あとで適当に面をとって仕上げるつもりのものであった。

今 日は、この材料を仕入れに東急ハンズ新宿店に行った。以前に、MCAP-CR/CBS-CR/AICC-CRの3兄弟を製作したときには、15mm厚の板 に□15mmのアガチス材を使ったのだが、角材の寸法のほうが小さかったため、檜の薄板を貼って誤魔化した経験がある。ノギスを持参して店頭の材料の寸法 をチェックすると、やはりどれも公称値よりも小さい。特に三角材の誤差は酷く、公称12mmのものが10mmちょっとしかなかったので、間違いかと思って しまった。この表示は不親切ではないのだろうか。公称12mmの隣には公称10mmの三角材が並んでいたのである。
癪 には障るが、止むを得ないので、公称15mmの三角材を8本購入してきた。上の写真のように、実寸は13.6mmと一割弱の誤差がある。結局公称値よりも 1サイズ大きなものを買わなければならない。プラス側の誤差は親切とも云えるが、マイナス側に一割の誤差があるというのは不当表示ではないのだろうか。ど うも釈然としない。

2010/10/27

次は2インチのQNDR


図をクリックすると大きくなります。
  軽井沢朗読館でのホールの響きに魅せられ、また、そこで聴いたQNDRの効果に驚いたので、再びQNDRに挑戦することにした。QNDRの第2作の前に正 面のユニットを同じ平面に配置するSNDR(Simplified NDR)に挑戦しようと思っていたのだが、QNDRが軽井沢朗読館で思い掛けないほどのパフォーマンスを聞かせたので、予定を変更した。
  自作は、2インチユニットを使用して小型化したものである。ホールのような空間で宙吊りに近い形で使うことを前提に考えている。ユニットは、TB社のW2 -802SEと、FosterのFF57BKを使う。夫々1組の合計2組分の板材を発注した。12mm厚のシナラワン合板を使い軽量化を狙っている。
 果たして十分な効果を上げることができるか、楽しみにしている。

 試聴には朗読館をお借りしてし ようと思っているので、聴いてみたい方はご連絡ください。冬になるときついかかな...


2010/10/26

便利は不便

『晴々しいのは禍々しい』
『禍々しいのは晴々しい』
『きれいは汚い』
『汚いはきれい』

これは、シェークスピアの戯曲『マクベス』日本語訳の一節である。矛盾したようでいて意味深長と思う。

衆 議院補欠選挙で、自民党の町村さんが当選した。当選の弁で、民主党政権に"No"が突きつけられたというようなコメントをしていた。どうして『私と自民党 が信任された』と云わないのだろうか。これでは『自分も自民党もダメだったが民主党と対抗の候補者よりは多少マシと評価された』と云っているのと同じであ る。『民主党の不信任は自民党の信任』というロジックはちょっとヘンな気がする。大差なかったのだからどちらも不信任なのかとも思ってしまう。晴々しいの か禍々しいのか...

羽田空港の国際線機能拡大に伴って海外路線が増えてきている。電車に乗っていたら、バンコク0:30発というJALの広告を見た。深夜に日本を発って早朝 に目的地に着くのでビジネスパーソンには時間節約で便利なのだと云う。これを見て、下記のようなことを考えた。

『便利は不便』
『不便は便利』

果 たして、こういう出張をしたいという人がどれだけいるのだろうか?一方では過労死が問題になっていて、他方では、寝る時間を削って出張しろと云う。このよ うな夜行便は便利といえば便利だが、却って利用者の負担が増えたとも云える。個人の楽しみなら歓迎だが、仕事に使うのはどうか...

以 前はテキサスまでしょっちゅう出張していた。日本時間の日曜16時頃に日本を発ち、西海岸のどこかで乗り換えてテキサスに着くのは同じく日曜の16時頃で ある。付いた頃にはくたくたで、しかもレンタカーを借りてモーテルに向かわなければならなかった。月曜は朝から金曜夕方までアメリカ人と同じように仕事で ある。しかも、夜は日本に連絡がとれるので日本時間の仕事もする。インターネットはとても『便利』なのである。
帰りは土曜の朝6時頃の飛行機に乗る。途中で乗り換えて、日本に着くのは日曜の夕方である。日本で働くのと同じくロスなく仕事が出来るのだ から便利なシステムである。当然往復ディスカウントでのエコノミークラスだ。しかもディスカウントチケットでの日米の往復運賃なんて福岡の往復と大差ない のだ。2回の週末が1回の米国出張によって潰れてしまった。会社の便利は個人の不便によって成り立つ。当時働いていた会社には、日当というシステムもな かった。我ながらよくやったものだ。まさしく『便利は不便』『不便は便利』である。

オーディオの便利もやっぱり不便と思うことがある。

例えば、音響解析ソフト。

部屋や装置の特性が測れて便利、と思ったらそうではない。こういうソフトは中身を理解して使わないと間違いを起こす。
オー ディオの測定は周波数応答特性が中心と思う。そもそも、周波数応答特性を測れるという根拠は、フーリエの法則である。フーリエ級数展開やフーリエ変換に は、使える範囲に制限がある。何も知らないと制限を無視してしまう。自分もかつては高速フーリエ変換ソフトを使って測定もどきを試みたことがある。しか し、結果に疑問を持ったので、理解出来るまでは、実施を保留している。ソフトもソフトで、解析できない部分は隠せばいいのに、いかにも解析したかのように 20Hzまで表示してしまうので、勘違いする人が出てくる。自分が使っているシェアウェアのFFT Waveはそのあたりは心得て表示しているが、フリーソフトは実におおらかである。
音響測定は簡単ではない。簡単と思う人は他人に説明してみるべきと思う。『よくわからないけどこうなった』というのはよろしくない。便利なんだか不便なん だか...


2010/10/24

DCU-F122W


 今週Parc Audioの限定品DCU-F122Wが届いた。

 DCU -F122Wは、最近kenboさんが、バックロードホーンを作って大成功したというユニットである。フェーズプラグ付ウッドコーンで、7,680円/本 (麻布オーディオでの販売価格)と、少し前に限定発売されたFostexのFE103En-Sの約半額となっている。

 正面から見ると写真の通り高級感がある。4インチの製品としては、能率が程々なので、低音を出しやすいようだ。kenboさんによると、中高音の癖はあ るが低音が凄いという。

 背面は、直径90mmのフェライトマグネットに、80mmのマグネットが重ねてある。コストはかなり掛かっているのではないかと思う。

 マグネット2枚重ねの効果により、重量は1,220gfもあり奥行きも75mmもある。フランジの外径、取付穴のピッチ径は、Fostexに合わせてあ るので、スーパースワン等にも装着可能である。このフランジには、マグネット径は90mmが限界である。

 本体には接着面付のガスケットが付属している。接着面付というのは親切だと思う。

 また、フランジの取付孔が4つというのも好みに合っている。恐らく、爪付ナットを使ってしっかり付けることを想定しているのだろう。


 Fostexの FE103En-Sと並べてみた。DCU-F122Wのほうが、振動系は高級に見える。FE103En-Sは、フランジに厚みがありゴージャスである。こ れと比較するとDCU-F122Wのフランジは薄手で少し頼りなく見える。

 背面から見ると、DCU-F122Wは、マグネットが剥き出しなのに対し、FE103En-Sは、美しいメッキのプレートがあり、更に、平面に型番を印 刷したステッカーが貼ってあるので高級感がある。

 比較すると、どちらがいいのか、これだけでは分らない。しかし、価格は精々同程度がいいところで、むしろDCU-122Wのほうが高価に見える。多分コ ストはDCU-F122Wのほうがかかっていると思われる。この価格差は一体何なんだろうか。

 気になるのは音のほうなのだが、どうやって比較しようか悩むところである。自分の勘では、DCU-122Wは、多自由度バスレフ型にも適合すると思う。 しかし、FE103En-Sは、バックロードホーンでなければ無理ではないかと思う。

 どのような箱を作るか悩むところだ。来年の課題とししたい。来年のミューズの方舟さんのコンテストの課題は、10cmフルレンジになると予想しておこ う。何故なら、聞き比べてみたいからである。

 スピーカー再生技術研究会でも、何か共通の課題があったら面白いだろうか?しかし、皆夫々趣向が違うので、型に嵌めないほうが良さそうな気がする。


再びマクベス

  先週末、軽井沢のユニオンチャーチで聞いたシェークスピアの『マクベス』を昨日は、上智大学の講堂で聴くことが出来た。上智大学には今まで縁が無く、構内 を訪れたのは昨日が初めてであった。上智大学と云えば、自分が受験する頃は、名門の中の名門であったが、受験はしなかったので、結局縁がなかった。訪れて みると、美しいキャンパスで、品の良さそうな学生さんが居た。

 講堂は、ギリシャ劇場型で、すり鉢状になっている。座席の数は数えなかっ たが、東京文化会館小ホールと同等の感じに見えた。このホールで聴く音は素晴らしく良かった。妙な癖は全くないので、オーディオのイベントに使うには最適 かもしれない。上智大学は、地価の高い四谷にキャンパスを構え、かつ、そのキャンパスにこんなに立派な講堂があるのは流石である。

 先週聞いて感動したので、今回は、妻と一緒に行ったのだが、文学部出身の妻は殆ど寝ていた。夫婦であっても趣向は合わないのか...

リビングシステムの模様替え

  気になっていた、リビングのAVシステムの模様替えを実施した。リビングのシステムには、伊藤喜多男さん製作のプリアンプ、EMTのプレーヤー、 SiemensのEurophon、Europhon用のトランスがあるだけではなく、8mm/VHSコンパチビデオ、旧式のDVDビデオが2台、ケー ブルチューナー、受信部とパネルが分かれた旧式薄型(受信部に奥行きがあるので薄型とは云い難いがプラズマディスプレイ)テレビが繋いであり、接続はグ チャグチャである。今回は、全く使用していない8mm/VHSビデオと旧式DVDビデオの古いほうを取り外し、アキュフェーズのP-350を組み込んだ。
 模様替え以前は左の写真のような有様であったが、多少シンプルになった。但し、大差ないと云えば大差ない。
 模様替えの結果、今に自作のスピーカーを持ち込んで、P-350で鳴らせるようになった。
 しかし疲れた...



2010/10/17

軽井沢朗読館

 軽井沢朗読館は、 NHKのアナウンサーをしておられた青木裕子さんが、朗読を普及するために、軽井沢に建築された小ホールである。写真のように、高級別荘という外観である が、この中に青木さんの夢が詰まっている。
  朗読と云っても、普段字を読み慣れている人にはピンと来ないが、音楽で云えば『演奏』に相当する。交響曲のスコアを読んで感動出来る人は少いが、演奏を聴 いて感動する人は多いと思う。この比喩は青木さんの意思にぴたりと一致する訳ではなく、ご本人はもっと至高なお気持ちを持っておられので、上記の比喩は私 自身の個人的な意見であることを付記しておく。

 今回は、研究会の会員でもある せんむさんにお誘い頂いて、軽井沢朗読館を訪問することが出来ました。
 軽井沢朗読館の詳細は、公式ウェブを ご参照ください。
 今回は、せんむさんと 二人の貸切状態で、ホールの音を堪能することが出来た。
  左の写真は、ホールの二階から撮影した室内の様子である。ホールの天井高さは低いところ(写真の中央奥)で3m位、高いところ(撮影している位置)で5m 位である。建築学会副会長である有名な先生が設計されたという。この写真を撮影した二階に座席はないがホールのベランダのような特等席であり、最も音が良 い。収容人員は80名程度とのことである。形状は、横浜のラポール座と似ている。

 このホールの音は、『素晴らしい!』の一言である。こんな美しい響きは聴いたことがない。ご覧のシステムで聴いていても、音が恐ろしくリアルで、かつ、 響きが美しい。持参したオーディオシステムが良いというよりホールが絶対的に良い。
 ホールの奥には広いガ ラス窓があり、外の景色を堪能することが出来る。また、このガラス窓の前のカーテンを開閉することで残響時間を調整することが出来る。

 窓の外側には広い庭が見える。壁の奥には、資材置き場があり、ジャズプレーヤーの坂田明さんが残していかれたオーディオ機器や、グランドピアノ、チェン バロ等が置かれている。

 写真では天井の傾斜が良く分る。特に音響に配慮したことはないというのだが、このホールで鳴らすと、QNDRの音が、高級なオーディオ装置であるかのよ うに聴こえる。

 同じ位置からホールの 反対側を写したのが左の写真である。右側のカーテンの奥には朗読館出入り口や化粧室等がある。また、正面は、玄関ホールのつながっている。

 右側上には、別な二階ベランダが見える。こちらのベランダは、音を聴くための部分ではなく、二階にある朗読の録音室等への通路になっている。

 下の写真は、二階通路から見た全体の様子である。右奥が、朗読のステージとして設計された部分である。コンサートを行うときには、この通路の真下付近で 演奏すると音響的にはベストになるということで、坂田明さんの演奏会では、左写真の下側付近で演奏されたという。

 このホールで演奏を聴くと、演奏者を独り占めした気分になると思う。このように、演奏者と一体感が得られるホールで聴いてみたい。


 このような話をしていたら、音 楽会とオーディオイベントを兼ねたイベントを企画しようということで盛り上がった。会の目標は、家族も参加出来ることである。自分の趣味に没頭して家族を 省みないと云われないよう、演奏会とセットにしたいと考えている。

 館長の青木さんにもご協力頂けるとのことなので、来年の夏までの間に第1回が企画できそうだ。

 左の写真は、ホールの 朗読ステージに向かって右の側の壁である。

 後ろ側の壁のカーテンも残響時間調整に用いる。

 ホールの紹介は尽きないが、少 しだけ触れたスピーカーマトリックスの実験の様子をレポートする。

 上から2番目の、せんむさんが聞き入っている写真にあるように、この実験では、ステージ前にQNDRシステムを1組置き、ホールの中央後方にCON GIOIAをセットしてマトリックス接続した。
 L-R/R-Lは、直列接続したのだが、FE83Enの能率が多少高かったようで、CON GIOIAが担当する左右の差成分が耳に付くレベルであった。そのような理由もあり、中央で聴くと後ろ側に音像が引っ張られ、オーケストラに入り込んだよ うな状態になる。

  そこで、下側の写真を撮影した位置(スピーカーシステムを結んだ四角形のやや外側)で聴くと、オーケストラの音像が驚く程リアルで、ホールの左側二階席の 最前列で聴くような感じになった。この位置で立って聴くとティンパニーのトレモロはステージ左奥の下側を這う位置に定位し、オーケストラが左下側に立体的 に定位する。こんな音場は聞いたことがない。この状態のまま、CDを何枚も聴いてしまった。

 オーナー館長の青木裕子さんにこの状態で音楽をお聞き頂くとビックリ。このような音場をお聞きになったことがないのは当然としても、小型フルレンジの音 をお聞きになったことがないので、開口一番『良い音!』である。
  メーカー製のスピーカーシステムの音しか聴いたことがない人がこのような音を聴いたら恐らく青木さんと同じような反応をすると思う。メーカー製オーディオ 装置の音は決して悪くないのだが、小型フルレンジの音とは質が違う。長岡先生が、調理法としての刺身とムニエルとどちらが上か比較しても意味が無いという 喩えを使っておられたが同じようなことと思う。ムニエルしか食べたことがない人が刺身を食べればその味に驚くだろうし、逆に、刺身しか食べたことのない人 がムニエルを食べたら同様に驚くだろう。小型フルレンジの音を聴いて驚くのは当然のことなのである。しかも、今回は、QNDRという特殊な音場型システム なので、インパクトは更に強かったはずである。

 QNDRとCON GIOIAを玄関ホールでも聴くと、こちらも素晴らしい響きである。容積の小さな玄関ホールには、小型のCON GIOIAのほうが適合した。結局、CON GIOIAは、12月のミューズの方舟さんのイベントで鳴らした後に寄贈することになった。玄関ホールに据え置きにして鳴らして頂けるのは作者の自分も光 栄である。また、今回は、青木さんとせんむさんのお陰で、ちゃんとしたホールでのQNDRの良さを再認識したので、次は、このホールにさりげなく置くこと ができる、更に小型のQNDRシステムを作って聴いてみたい。音が良ければそもまま寄贈したいと思う。
 

 今回は、軽井沢ユニオ ンチャーチで行われた、シェークスピアの『マクベス』の演劇も聴くことが出来た。この公演は、光文社古典新約文庫の企画で、上智大学の安西教授の新約を公 演するものである。しかも、同大学の小林教授の解説を聞くことが出来た。

 軽井沢ユニオンチャーチは、左の写真のような趣のある建物である。

 公演は、左下の写真にあるステージで行われた。

 譜面台に台本を置き、役者さんが読み上げる。伝統に従って、同じ役者が何役かを担当する。音楽はなく、効果音も最小限にする。演技は殆ど表情だけであ る。

 台本を読むだけでありながら、通常にはない緊迫感、高揚感がある。また、最小限の効果音による効果の大きさは、聴かなければ分らない。

 マクベスは、ヴェルディが歌劇を作曲しておりこれも有名である。自分も、リッカルド・ムーティ指揮によるミラノ・スカラ座の日本公演を聴いたことがあ る。演奏は素晴らしかったが、チケットは思い出したくないほど高かった。

 今回は、無料の公演で、音楽も無いのに、この感覚は一体何なのか。原作を味わうという意味では、オペラを超えているのではないだろうか。

 運の良いことに、10月23日(土)にも上智大学で公演があるので、是非ともお聞きください。事前申込が必要です。詳細は下記をご参照ください。
http://www.kotensinyaku.jp/blog/2010/09/10.html

 今回は、突然決まった話で戸惑っていましたが、思い掛けない素晴らしい体験となりました。せんむさん、青木さん、どうも有難う御座いました。

2010/10/13

集まれ!塩ビ管スピーカー オフ会-2

 今月11日、体育の日に、ラポール横浜で、オフ会が開催された。自分は会員ととして初参加した。自分の作品はさておいて、素晴らしい作品がたくさんあっ た。

 集まれ!塩ビ管スピー カー会長のたてちゅうさんの作品。赤茶色のほうは、Fostexのコンテスト一次審査通過作品で、その両側にある背が高い塩ビ色の作品と2機種を持参され た。
 自分が気に入ったのは外側のほうで、音の輪郭が鮮明、低域が力強くパワフルに聴かせるタイプである。流石に元祖の音だけある。デザインもブリュッセルに ある小便小僧を連想させてカワイイ。しかも大事なところは交換して音の違いを楽しめるようになっている。
 ダブルバスレフのようだが、頸の細い部分がダクトとしての動作をしているかどうかは良く分らない。全体がバスレフや共鳴管がミックスされた微妙な動作を していると思う。ダクトの中にカーペットのような吸音シートを貼ってあるなど、音を追い込んだ後が伺える。

 KO 球さんは、TB製3"フルレンジを使用したシングルバスレフとFE87E使用のダブルバスレフの2作品をプレゼンテーションされた。

 最初は、TBユニットを使用したシングルバスレフでである。シングルバスレフでも低音は十分出ておりバランスが良い。ローエンドは60〜70Hz程度と 思われるが、これだけレンジが広いと、これで十分ではないかと思いたくなる。音楽を楽しめる作品と思う。

  次はFE87Eを使用したダブルバスレフである。両者の寸法は殆ど同じで、ダブルバスレフだからと云って、特別に大きい訳ではない。ローエンドを特別に 引っ張っているようでは無さそうで、低域のディップも感じられなかった。ちょっと聴くとダブルバスレフとは思えない、癖が無くとても良い音である。

  この2つのシステムを聴いて、バスレフのサイズは小さい目のほうがいいのではないかと思うようになった。先日、音楽の友社で、評論家のセンセイ方が作った バスレフを多く聴いた。このときは、大き目のサイズのものも数点あり、バスレフの癖を嫌というほど聞かされた。小さなサイズのバスレフは、低域の補償効果 も程々だが、その分癖も少い。ベースのブンブンした感じが無く、音楽が生きてくる。これらの作品は、丁度良い大きさで、癖が最小限に抑えられているところ が素晴らしい。

 低音については量より質が重要ということは、プロの作品を聴いても良く分らないが、こういうイベントでは思い知らされるのである。
 M-TKさんの Twin-Hornは、アカデミー湯島の下見で音を聴いて知っている作品である。剛性の高い塩ビ管を使用した輪郭鮮明な音で、低域もMCAP-CRの特長 である癖の無さ、ローエンドの伸びが味わえる。

 Stereo誌の書類審査をパスしなかった理由が未だに分らない。自分が専門家や評論家の悪口ばかり書いているので、MCAP-CRが嫌われた、という ことはないだろうに(多分彼らは自分やMCAP-CRなんて知らないと思う)。

 Twin-Columnは、床に直置きが失敗で、高音域が延びてこなかった。テーブルの上にでも置ければ真価を発揮できたのに、と残念である。
  コニさんのH2K-Jは、正真正銘のマルチシステムである。音出しの時に、好みのうるさいFさんは、レベル合せがまだだ、と仰っていたが、自分は、鮮明な 音にビックリしていた。Audio Basic付録CDの波の音などは、すぐ前で弾けていた。実際に波打ち際に行って聴くより、リアルな音と思った。

 上から中音用、高音用、低音用のユニットが並んでおり通常と違うが、この並び順が絶妙のバランスとキレを演出している。ネットワークの音がせず、振動板 の無理な動きによるドップラー効果の歪もない素晴らしい音である。

 やっぱりマルチの良さは聴かなければ分らない。
 こたちゃんさんは、 Yoshii9タイプの上を向いたシステムである。塩ビ管剥き出しでは奥様に怒られたので、ルーズソックスを穿かせて化粧したのだと云う。しかし、本当の ところは、塩ビ管表面の音軽減させたかったのではないかと思う。

 携帯電話に収録された圧縮されたソフトを使ったのだが、妙に音がいい。というか、良すぎる。何故?

 ユニットが上を向いた効果により、多少正面から離れても不自然にならないのは、QNDR型に通じるところがある。
 古舘さんは、研究会の オフ会でも鳴らされたMCAP-CRシステム、Stereo誌グランプリのTQWTシステム、JSP型システムの3機種をプレゼンされた。

 MCAP -CRシステムは、アカデミー湯島で聴いたときよりもソフトでマイルドな音。ずっと良くなった、と思ったら何も変えていないと仰る。カーペットの床、高い 天井、机のない空間といった、高音を吸収する要素がぴたりと合ったようである。やはり部屋は重要ということだ。

 JSP方式は、TBのW3-927SEを使ったシステムである。ユニットの音は知っているので箱とのマッチングを聞いていたが、ちょっと高域が強く感じ た。JSP方式は、バスレフの癖を軽減する有効な方式であることが確認できた。
 なーおさんのシステム は、塩ビ管部分がダブルバスレフ、下の合板部分がスパイラルホーンという構造である。

 高域から低域まで特に滑らかな音。バスレフ型の共振を感じさせない音には感心させられた。昨年のミューズの方舟さんのイベントでは、スパイラルダクトが 癖を無くす効果を確認していた。スパイラルホーンもやはり癖を無くす効果があるようだ。

 上手に纏まったいわゆる『良い音』は、さすがと感じた。
 kenboさんのメイ ンシステムは、ご覧の通りの高級システム。オーディオの小賢しい知識のない金持ちに1千万円の高級スピーカーと並べて音を聴いてもらったら、同じ値段でも こちらを買ってゆくだろう。外見もGreat!とにかくどこをとっても見事なシステムである。

 kenboさんご自身は、不思議な人徳のある方で、このスピーカーシステムも人柄を反映した音がする。他のシステムが霞むので、比較して聴いてはいけな いが、オーソドックスな最上システムを知るためには、聴いておくべきシステムである。

 ご自宅からの搬入と搬出も大変だったということで、聴かせてくださったkenboさんに感謝!


2010/10/11

『集まれ!塩ビ管スピーカー』オフ会



 自分は、何を隠そう、 『集まれ!塩ビ管スピーカー』の新米会員である。スピーカー再生技術研究会の発足のときにご協力を頂いてそのまま入会してしまったのである。自分は何を出 来るかと云っても大した貢献は出来ないのであるが、会の皆様は暖かかく迎えて下さった。
  今回は、過去6回の中で最も盛況だったとのことだ。自分もその中の1名分の貢献が出来て少しは恩返しが出来たかな?しかし、自分の作品は塩ビ管ではなく、 右の写真の中の、白っぽい四角い"CON GIOIA"である。ミューズの方舟さんのイベントの前に鳴らさせて頂いた。

 今回は、塩ビ管の作品は11種類、その他は塩ビ管ではない。しかし、塩ビ管のメリットを感じるためには塩ビ管以外の作品を並べて比較するのが適当と思 う。

  自分の場合、材料入手難という問題があるが、塩ビ管は、スピーカーエンクロージャーとして理想的な素材である。先ず第一に、円柱形というのは、極めて剛性 が高い。剛性が高いということは、余分な音が出ないということである。これは極めて重要なことなのだが、あまリ意識されてはいないようである。同じような 効果を木材の板で出そうとすると、重くて実用的ではなくなってしまう。第2に、塩ビ管には継ぎ手の種類が多く、いろいろな形に加工しやすいというメリット がある。このメリットにより、多自由度バスレフ型のアプリケーションも得意なのである。この組合せは、今後普及してゆくと思う。
 塩ビ管システムのデメリットは、第1に、入手が必ずしも容易ではないことだろう。現に都心に住んでいると塩ビ管材料を置いてある店舗が見付からない。デ メリットの第2は、太い管を入手しにくいこと、第3は、業務用のようには安価に入手出来ないことと思う。
 塩ビ管を構造材料に使うスピーカーは、メリットが大きいが、作るまでの過程では必ずしもメリットがあるという訳ではないかもしれない、

 しかし、今日の作品を聴くと、塩ビ管のメリットは計り知れないことを感じる、本当は自分も塩ビ管材料で作りたかった。実は、ペットボトルを使った作品と どちらを持参しようか迷ったのであった。流石にペットボトルは格好悪いので、木製にした。

  自分以外の作品はどれも素晴らしかった。塩ビ管を使用したものは、高域がバシッと出て、低域も押し寄せてくる。独特の音調感はあるにしても、決して嫌味で はなく、焦点がしっかりと決まるという傾向が確認出来た。木製のキャビネットの作品も、流石に工夫と努力の結果が分るものだった。kenboさんが、ご自 分のメインシステムをご持参下さったのには本当に感謝した。kenboさんのメインのシステムをこのような立派な空間で聴くことが出来たのは、この会場に いらした方々だけである。ご本人でさえ初めてのことだそうである。私自身を含め、聴いていた方が一様に格の違いを感じていたのに対し、ご本人は、粗を聴い ていたようである。この傾向は、私も同じで、自分の作品には期待を掛け過ぎて、評価が厳しくなってしまうのだと思う。

 さて、自分の作品 の評価はと云うと、今日音出しの時に左右が逆相ではないかと指摘を受けて焦ってしまい、冷静には聴けなかった。音に癖があるとは思っていたが、それは普段 聞きなれないFostexのキャラクタのせいだと信じて疑わなかった。結局本番では、左右の極性を変えて鳴らした。出てきた音は、聴きなれない音で、あま りにも普段と違うので、動揺してしまった。
 冷静に聴こうと思ったのだが、正相に繋いだ音は、高域が弱く感じる。代わりに低域は恐ろしく強い。ハ イ落ちの篭った音に聞こえた。限界性能を確認しようと持参したショスタコビッチの黄金時代は好みの音には鳴らなかったが、アフリカの太鼓はまあまあに鳴っ ていた。ピアノトリオは、結構上手に鳴っていた。好みにうるさいFさんから、ピアノの低音とベースを分離して鳴らすのは良かったとお褒め頂いたのは励みに なった。

 今回は、9月23日のスピーカー再生技術研究会で発表いただいた、古舘さんとM-TKさんの作品も鳴らしたのだがセッティング や部屋が違うので随分違って聞こえた。古舘さんのMCAP-CR型塩ビ管システムは、アカデミー湯島では高域が強く聞こえたものが、ラポール座では、丁度 良く響いた。その後何も変えていないと聴いてまたビックリ。M-TKさんのTwin Towerは、床に直置きにしたせいで、高域が弱まってしまった。
  アカデミー湯島と違い、ラポール座では、高域が吸われてしまう感じを受けた。確かに、アカデミー湯島では、机が並んでいたので、高域は結構反射したのが、 ラポール座では、机は片付けられており、床も吸音性のカーペットになっていたのが違う。結局、部屋の影響が一番大きいのか、と当たり前の結論を得てしまっ た。

 今回は、時間が無かったので、各作品の詳細は書きませんでしたが、写真は撮ってきたので、少しずつ書こうと思います。

 たてちゅうさんを初め、塩ビ管スピーカーの会の方々に改めて御礼申し上げます。




2010/10/10

真空管オーディオフェアとハイエンドオーディオショー

 今日は三島で愛好家の会に参加するはずだったのが、先週体調を壊して遠出はお預けであった。
 今週末は、秋葉原で真空管オーディオフェアがあり、有楽町の交通会館では、ハイエンドオーディオショーがあったので、折角だから軽く出かけた。
 午前中には、真空管 オーディオフェアを訪れた。一応真空管がテーマだが、何でもある。商業イベントで入場料500円というのは、いかにもオーディオ産業の衰退を感じさせる。
  ミクセルのブースを訪れたら、懐かしいW5-1611SAが置いてあった。フェア特別価格で7,000円というのは、自分の予測と同額である。2008年 のミューズの方舟さんのコンテストに出品したときには、国内で販売していなかったので、ドイツから高い経費を投じて輸入したのだった。ようやくこの製品の 価値が認められたということだろうか。このユニットは、自分の特選である。但しフレームが弱いので、取付時には孔を増やしたほうが良い。
  今回の目的は、Feastrexを聴くことと、多分、同社の寺本さんが来ていると予想していたので、話をしてみたかったことである。寺本さんはやはり来て おられて話をすることが出来た。自分もユーザーだが、偶には会わないと忘れられてしまう。何本も買うような金額ではないし。

 Tannoy のRed Monitorの脇にFeastrex NF5(アルニコ磁石型)を付けた田中式バックロードホーンがある。脚は4点調整式。自分が、3点固定+1点調整にしているのとは、ポリシーが違う。マッ クトンのブースなので、アンプにはマックトンのOTLを使っている。
 暫くはTannoyを鳴らしていた。『タンノイはこんな音だったかな?』という感じだった。
   この後、Feastrexに代えてもらった。セッティングが甘かったので、低域のキレがいまひとつ。背面に回って開口部の音を聴くとしっかり出ているの で、システムが悪いのではないことは確認出来た。自分が持っている励磁型と比べるとアルニコ型は、高域が浸透してくる感じはいまひとつ。しかし、隣の Red Monitorと比べると比較にならないパフォーマンスである。ゲルギエフの『春の祭典』があったので掛けてもらうと瞬発力が足りない。アンプがやや弱い ようだ。やはり電源効率の低いアンプでは、瞬発力の必要なソースは厳しいのだろうか。因みに帰宅して、アキュフェーズのP-350で鳴らすと、瞬発力が十 分出ていた。マックトンのOTLと比べると価格は一桁小さいと思うが、それでもアキュフェーズは一級の実力を持っているということだろう。
 昨日がセッティングの予定だったが、Feastrexは今日から加わったということで、十分なセッティングは出来なかったそうだ。ちょっと残念だが軒を 借りるのであれば止むを得ない。
 今日は、Feastrexから試作品の接点復活剤を頂戴してしまった。こういうアクセサリは、評価に気合が必要なので、暫くは試せそうにない。
 真空管オーディオフェ アを見終えて御茶ノ水駅に向かうと、ジャズの生演奏が聞こえてきた。『ラッキ〜』と思い人だかりの中を覗いてみると、何と、子供たちの演奏だった。上手過 ぎるじゃないか。最初聞いたときにはプロの演奏だと思っていた。暫く聴いていると、流石にフニャフニャとなったり、乱れたりするところもあったが、それで も立派な演奏だった。
 生の演奏を聴いていて思ったのは、この音はオーディオでは絶対に無理ということである。屋外の広い空間で、離れていても歪 ない音で耳に突き刺さってくる。先程は、Feastrexを遥かに上回る高級品を聴いたのだが、そういう高級品の音でさえ絶対に無理で、自分のシステムで も当然無理である。
 次は、有楽町のハイエ ンドショーである。むらからまちから館のソフトクリームを食してから会場に向かった。
  超高級品の音は、こういう機会に何度も聴いているのだが、自分にはどうもそれらの機器の価値が分らないことが多い。そんな中、六本木工学研究所の方々を見 つけた。YSC Audioというブランドでスピーカーシステムを販売するということだった。販売は、通常のオーディオショップを通じるらしい。左の写真は仕上の状態を示 しているところである。こんな仕上が出来たら自分のシステムの価値も上がると思う。価格はリーゾナブルでとても良心的である。是非とも頑張ってビジネスを 成功させて頂きたい。
 因みにユニット単体の販売も継続するそうである。
 超高級品をずっと聴い てきて少しうんざりしたところで、カイザーオーディオの音を聴き、ほっとした。決して派手ではないが、音楽の素の音を聴かせていた。やっとまともな高級品 に出会えたと感じさせる音だ。
  写真では紹介していない高級品群には、自分の嫌いなブンブンした低音がある。ベースは、吐き気がする位強調された不自然な音である。あんな音を聴いて、音 程を譜面に写しとれるのだろうか...評論家の自作の記事のところに書いたが、シングルバスレフやり過ぎの音である。少し工夫すれば、自然な低音になるは ずなのだが。
 自分が不自然と感じる低音を是とする人のほうが遥かに多いということだろうか。



2010/10/06

体調悪し...

  昨日午後から体調を壊してしまい、今日は結局会社を休んでしまった。昨日は息苦しく、帰宅の途でも景色がぼうっと霞んで見えたので、早く寝て体調を整えよ うとした。今朝は通常通りに起きて会社に行ったのだが、頭がぼうっとして仕事が出来ないので、始業と同時に引揚げてしまった。病院に行っても良く分らず、 検査して1週間後にもう一度通院することになった。妻は、研究会の疲れだというが、自分でも良く分らない。仕事のストレスは溜まっているのでそちらが原因 と思うのだが...

 今日、大山さんからメールマガジンが届いた。最近は、更新が少く残念だが、その中に、ハイエンドショーの日程が出ていた。今週金曜から交通会館で行われ るらしい。

  そこで、ワンポイント情報を提供します。家族や夫婦で交通会館に行ったら、1階の日本橋側にある、むらからまちから館でソフトクリームをご馳走してあげま しょう。細かいことは書きませんが、他とは違う味です。近くに行列が出来ているところがあるのですが、そこは素通りして、むらからまちから館に行きましょ う。行列の側には行ってはいけません(とまでは云いませんが、どってことありません)。オーディオ趣味と同じで、価値のあるものに行列が出来るという訳で は決してありません。


2010/09/30

東武弾丸ツアー







 9月8日の日記でミス テリーツアーを買ったことを書いた。東武伊勢崎線の全線開通100周年記念イベントということで、鉄道好きには興味があったかもしれないツアーである。自 分には、そのイベントが良いのか悪いのか分らなかったがとりあえず買ってみたものである。
 実施はオフ会2日後の9月25日だった。体力的には何とかなるだろうとたかをくくっていたのだが、寄る年波には勝てなかった。

 乗ったら寝て休もうなどと気軽に考えていたのだが、座席は古いタイプでリクライニングもなく、足元も狭い。しかも寒かった。風邪をひきそうなので、寝な いで頑張っていたところ、最初の到着地である伊勢崎駅に着いた。そういえば伊勢崎線開通100年記念イベントだった。

 自分のように鉄道マニアでない人から見ると、単なる古い車両である。マニアたちが、一眼レフを持って熱心に撮影していた。自分も、5年前に購入した SAMSUNGのコンパクトカメラで写してみた。

  社内では、記念品としてバッチ、物指、葉書を配布した。このバッチは価値があるものなのだろうか?今ひとつ良く分らない。何故なら、マニアにとっては、他 人から見れば同じようなものでも全く別物なのである。例えば、妻の友人の夫は、薔薇に凝っているのだが、欲しくない薔薇を貰うと困ると云っていた。オー ディオマニアにシステムコンポのスピーカーをあげたって喜ばれないのと同様である。可愛らしいバッチではある。

 このイベントは東武鉄道にとって重要な企画らしく、カメラウーマンが同乗していた。この方の撮影した写真はそろそろ公開されているのだろうか?

 自分は、こういうところを撮影して変な趣味である。別にノゾキではないので、まあいいか。

 昼食は、復刻のチキン弁当である。チキン弁当と云えば、30〜40年位昔は豪華な食事だと思っていた。最初は200円から始まって、300円、600円 と値上げしていった。800円までは覚えているが、その後は買ったことがない。

  昔の記憶を手繰って思い出そうとしてもイメージしか出てこないが、JR東京駅で売っていたものは、下の段がチキンライスだったような気がする。上段の唐揚 はほぼ記憶通りだが、しけたポテトチップスが入っていた記憶はない。東武伊勢崎線では買ったことがないので、完全な比較ではない。

 配布されたときには既に冷たくなっていた。味は、昔のほうが美味しかった気がする。単に、思い出が実際よりも美しいだけなのだろうか。昔に比べれば随分 と食生活が豪華になってしまったので、このような昔のものを食べるのは初心を思い出していいと思う。

 成功して金持ちになった人が、貧乏時代を語るときは活き活きしている。この復刻チキン弁当を食べて喜びが込み上げてこないのは、当時と大して変らない生 活をしているということだろうか。

  昔を懐かしむために、冷凍みかんと、プラスチックパックの茶が配布された。冷凍みかんは、かつては、小さなのが何個も入っていたが、今回は一人1個であ る。お茶は、昔は、初めからお湯が入っていて、容器のプラスチックの味がしたものだが、今回は、この容器とティーバッグのセットに、ボルビックのミネラル ウォーターのボトルが付き、自分で水出しにして飲むようになっている。

 昔を懐かしむとは云っても時代は変ったものだと思う。昔は水を 買って飲む人なんて見たことが無かった。水は、水道から直に飲むものだったし、特急列車には冷水器が付いていて嬉しかった。今は、車内に飲用の水が出る蛇 口はない。多分昔と同じなのだろうが、車内の水道の水を飲んでもお腹を壊したことは一度も無かった。

 途中駅に止まらない列車なのに、豪 華な特急に何度も追い越されてゆっくりと走り続け、日光に到着した。日光でも、撮影タイムがあった。車名の表示板が『東武伊勢崎線 全通100周年』から 『ビジネスライナー 急行りょうもう』に架け替えられていた。この表示板は、抽選で販売していたが、抽選には参加しなかった。これもゲットすると価値があ るんだろうな。

 日光に着いた頃にはすっかり転記が良くなっていた。

 1時間半位の自由時間があったので、駅の近くを散策して歩いた。日光は空気が美味い。東京に住んでいると、東京の空気に慣れてしまうが、こういうところ に来ると空気の美味さを実感する。東京だけでなく、近県でもこのように美味しい空気を味わうことは出来ない。

 素晴らしい青空に恵まれて、散策すると、駅の周りも随分きれいなことに気付いた。流石にミシュランの星が3つも付く観光地だけのことはあると思った。

 こういうところに何も考えないで2週間位滞在してみたい。仕事のこととか考えるとどうしてもうんざり感が消えない。

 鉄道マニアでない夫婦が鉄道マニアと共に旅するツアーだったが、たまにはこういうのもいいかな。




2010/09/29

行きたいなあ

 3月にチケットを買っ て以降、パリのオペラ座からダイレクトメールが来るようになった。

 まるでVIP宛のような案内状(以前のものにVIPカードみたいなものが付いていた)と、公演予定表やパンフレットが付いている。そうは云ってもパリな んてそう行けるものじゃない。オーディオも良いのだが、生はもっと好きだ。欲求不満がつのってしまう。

 尤もフランス語で書いてあるので何だか読めない。単語がイタリア語に似ているので、何とか意味を想像して分ったような気になる。請求書ではなさそうなこ とくらいは何とか分った。

 やっぱりパリはいいなあ。




2010/09/27

Stereo誌コンテスト



 昨日は、Stereo誌のコンテストの結 果発表に参加した。自分は応募していないが、お付き合いのある方々が参加されているので、結果にはとても興味があった。

 グランプリは、集まれ!塩ビ管スピーカーの古舘さんの作品であった。TQWTでありながら低音を上手に処理して癖が無いように作られている。

  音にはうるさい三島(沼津?)のKさんが、しきりに感心しておられた。共鳴管方式でも、癖のない再生音を得られることを証明した作品である。何故癖がない か、自分には良く分からないが、スピーカーユニットを縦に2つ並べたのも癖を無くす手法ではないかと想像する。振動板背面からの音が分散されると、位相の 微妙に違う音が交じり合い結果として癖が緩和されるのかもしれない。

 ブログハイエンドスピーカーのkenboさんは特別賞である。他に 誰も出来ない凝った造りであることから、通常の賞の対象にはならなかったのかもしれない。kenboさんらしい音の纏め方かと思ったが、ご本人のおっしゃ るように調整がまだ不十分だったようにも聞こえた。しかし、少し離れたところで別なシステムを鳴らしていたので評価不能である。

 驚いたのは、講評の石田さんが、kenboさんのことをご存じなかったことである。専門家ならアマチュアの有名人くらい知っておくべきだろう。お金にな るかどうかも重要だが、1日に1000アクセスもあるページを知らないようでは困る。

 因みに上記のお二方はスピーカー再生技術研究会の会員でもある。見事、素晴らしい作品でした。
 こちらはプロの先生方の作品である。 Stereo誌の企画で、サブロク板1枚で作るという作品群であった。Fostexの10cmウーファーを使った2ウェイが多かった。見たところ全てシン グルバスレフだったが、低音の音圧は十分に出ていた。

 全ての作品を聞いて、シングルバスレフの問題点が明らかになった。どれもローエンドでは、ブーンという癖を伴い、ジャズベースはキレが悪く感じた。箱が 大きいほど癖が大きく感じられた。

 23日の研究会では、ジャズベースのキレが悪い作品はひとつもなかったと思う。kenboさんの作品はシングルバスレフではあったが、上記のようなキレ の悪さはなかった。既に専門家の領域を超えているのだと思う。
 MCAP-CR型のような多自由度バスレフ型システムの最大の利点は、中低音の犠牲が少い割に再低域を延ばせることだと思っていたのだが、低域の癖を小 さく出来るといいうメリットのほうが実用的には大きいようだ。


2010/09/24

スピーカー再生技術研究会第1回オフ会

 昨日は、スピーカー再生技術研究会の第1回オフ会を開催することが出来た。

 個人的には生まれて初めての催しであった。オーディオマニ アの端くれでしかない自分にとっては強烈なプレッシャーだった。事前打合せは殆どなし。月曜にM-TKさんにお手伝い頂きプレオフ会を実施、前日に共同開 催の松さんと打ち合わせただけだった。しかも松さんとの打合せは単なる酒飲みで、神田川を望み、中央線と総武線の列車を見ながら関係ない話ばかりしてい た。松さんは東名高速で事故渋滞、自分は仕事で遅れたため、21時過ぎにようやく合うことができ、23時まで酔っ払い談義しただけだった。
 さて準備が始まると、 大勢のボランティアスタッフにお越し頂いた。左の写真の通り、持ち寄った作品の山になった。

  自分には初めての催しで、全然気が効かなかったが、皆さんのサポートでどんどん盛り上がっていった。参加者は、全部で26名とこの会場には丁度いいくらい だった。数が少いが、皆の熱気が凄いのには圧倒された。こういう熱気は、参加型イベントならではと思う。メーカーのイベントでは、主催者は一所懸命だが、 来場者は結構クールだったりする。26名でも熱気との積で評価すると100人分のパワーだったのではないだろうか。自画自賛ではあるが、皆活き活きと楽し んでくださった。大成功!ともう一度自画自賛。
 Oさんの作品は、 Tangbandの4インチフルレンジを使用したMCAP-CR型。写真では分らないが、組立式の素材を使った丁寧なつくりで、ダクトも後から取り替えら れるように配慮されている。

 フルレンジでも高域が少し物足りないとのことので、スーパーツィーターを足している。スーパーツィーターは邪魔になっておらず、柔らかめの Tangbandサウンドにテクニクスの爽快感を加えている。

 ダクト面積は、自分が作るものよりも小さめで、最低域を延ばすようになっている。この組合せで全く違和感はない。振動板の径に合わせて云々と良く云われ るが、そう簡単なものではないことを証明する逸品と云えるのではないかと思う。
 M-TKさんは、なる べくコストを掛けないことに拘ったという。紙管と塩ビ管の組合せである。下見のレポートに書いたように、音は凄い。プレゼンが始まると、あちこちから溜息 が洩れた。『こんなベースの音は聴いたことがない...』

 Tangbandの3インチフルレンジを使用しているのだが、低域から高域までのバランス、音場感、音の柔らかさと鋭さを備えた傑作である。

 この会の特徴は『研究』にあるので、驚きのあまり近くに寄って音圧を確かめたり質問したり、熱気に包まれた。

 音の質はお金では買えないということを証明したと思う。ブラインドで数百万円のスピーカーと比較したらどういう結果が出るだろうか。こういう工夫は金よ り尊いのだと思う。
 下手の横好きさんは、 大阪から夜行バスで駆けつけてくださった。ご自身で研究して来られたマルチバスレフとMCAP-CRの融合、更に、ショートホーンを付けるという工夫がさ れている。

 内部には、塩ビ管が並んでおり、工場の配管みたいになっている。

  ユニットには、Tangbandの4インチを使っているが、低域は豊かでサイズを感じさせない。

 音だけでなく、音楽を鳴らすスピーカーであった。皆頷きながら聞き入ってしまった。
 古舘さんは、集まれ! 塩ビ管スピーカーでもお馴染みの方で、昨年同会のオフ会で発表されたMCAP-CR型のユニットを3インチから、4インチの同軸2ウェイに改造してご持参 くださった。

 ネットワークがあるせいか、ツィーターがあるせいか、エージングが終わっていないように感じた。それでもご自身がお好きだというJ-POPの竹内まりや をかけると、ベストなフィッティングを聞かせた。

 さすがにベテランらしく、輪郭のはっきりしたシャープな音造り。2ウェイの効果も相俟って、遠く離れても音の輪郭がぼやけない。エージングが進んだらど んな音になるのだろうか。

 ユニットの取付はT管部なので、オリジナルの3インチへの交換も可能なようだ。オリジナルの3インチも聴きたかった...
 自作マニアなら誰でも 知っている大御所のkenboさん。今日はお忙しい中を縫って三島から新幹線で駆けつけてくださった。

  唯一のFostexの作品。見た目は普通の2ウェイだが、滑らかさが違う。作品の高さが低いため、セッティングはご覧の通り、不安定になってしまった。ご 自宅の音響に合わせて低域を少なめに調整してあるということだったが、テーブルに直置きにしてパワーを入れると、kenboサウンドが炸裂。滑らかで大人 しいという直前までの印象が吹っ飛んだ。

 自作の神様の仕事はやはり違う。試作品ということだが、このままカシューでも塗れば小型超高級品に変身するだろう。
  松さんのバンビーノ。SICAの8Ω12インチユニットを前面に使い、4Ω10インチユニット2発を後ろ側に角度を付けて配置するNDR型になっている。 前面と後面との音圧バランスを調整して極端な音場感が出ないようになっている。反射の多い部屋の音響型になってしまったQNDR型とは一線を画する。

  離れて聴くと音場がスピーカーの後方にも微妙に拡がっている。このサイズにも拘らず、ヴァイオリンのサイズが点のように小さく再生された。ちょっと小さ過 ぎる気もする。QNDRだとヴァイオリンが点ではなく、大きさを持った共鳴体と演奏者のように聞こえるのだが...どうしてこのような音場になるのだろう か?他の方々は音の良さに唖然としていたのだが、自分は、音場ばかり観察していた。

 この作品の作りは、神業の境地で、皆ビックリである。工作技術研究会を開きたいくらいである。
 自分の作品はどこに行ったかと云うと、写真どころではなかったので、全然覚えていないのである。頭の中がくるくる回って何も考えられなくなっていたの で、撮ってきた写真を見ると妙に少い。この位しか撮影出来ていなかったのであった。

 以上は、自分の独断と偏見で書いたもので、研究会の立場ではない。研究会のページに載せるレポートは参加された皆さんのご意見を伺って、写真を頂戴した うえで、自分の意見を抑えて書きたいと思う。

 皆さん、どうも有難う御座いました。


2010/09/21

スピーカー再生技術研究会オフ会は入場無料です!(イベント情報

 大山さんに指摘されて気付きました。自分では、入場無料は当たり前と思っていたのですが、どこにも書いていませんでした。入場は無料ですので、お気軽に ご入場ください。怪しい団体ではありませんので、退場も自由です。カンパもお願いしません。

 オフ会終了後に懇親会を開きます。こちらは割り勘になります。場所は、麺 覇王で す。飲む量にもよりますが、5,000円はかからないと思います。懇親会は10名位を想定しています。皆でわいわいがやがやがお好きな方は、ご参加くださ い。14時頃に人数を確認します。もう少し増えても大丈夫と思います。そもそもオフ会に何名いらっしゃるか分らないので心配してもしょうがないですね。

 スピーカー設計・製作に興味のある方は是非ともいらしてください。やはり直接お話しするのが一番と思います。インターネット基準では『オフ』会ですが、 人基準では『オン』会というべきでしょうか?



2010/09/20

オフ会会場下見

スピーカー再生技術研究会の記念すべき第1回が今週木曜、9月23日に迫ってきた。今日は、M-TKさんのご協力で本会場の下見と音のチェックを実施し た。



 オフ会の会場は、東京 都文京区にあるアカデミー湯島5階の視聴覚室である。

 アカデミー湯島は、湯島小学校に併設されている。場所は受験の神様、湯島天神からすぐのところにある。自宅からも徒歩5分程度の場所で、自分にとっては 至便の場所である。また、地下鉄湯島駅をはじめJRの御徒町駅からも近く、また、秋葉原からも徒歩圏である。

  会場は100平米強の広さで、天井は音楽室のように斜めになっている。バンド演奏にも使われるので、左手奥には、アップライトピアノが見える。気に障る響 きはなく、音響効果も悪くない。中央に見える白いスピーカーは、M-TKさんのTwin-Hornで、Stereo誌の付録ユニットを使ったものである が、一番後ろの席でも十分な音圧が得られる。四角い箱のスピーカーは、私がミューズの方舟さんに出品する予定の"CON GIOIA"である。これも十分な音圧を出すが、Twin-Towerと比べて特に大きな音を出せる訳ではなかった。

 本会で発表され る、M-TKさんのTwin-Towerは、紙管と塩ビ管を使用した標準MCAP-CR型キャビネットにTangbandの8cmユニットを付けたもので ある。これは、サイズの割に大きな音を出すことが出来る。また、音場感は、箱型のスピーカーに比べても特に良い。耳障りな音が出ないので、音楽に浸りたい 人向けのシステムと思う。

 Twin-Towerの音の秘訣には、スピーカーユニットのマウント方法がある。これは、9月23日の本会には設計・製作者ご本人から説明を頂けると思 う。この方法は、Fostexのユニットのマウントで悩んでいる方には大いに参考になると思う。

 今日は、QNDR型でアリーナのライブ録音を聞いたり、インシュレータの比較をしたりして、あっという間に3時間以上が経過してしまった。大変だったが 面白いプレオフ会だった。

 その後、M-TKさんと自宅で、本会で放出予定の作品を聴いた。一番大物で、運び込みが大変な130RTR100b型がお嫁入りとなった。狭い自宅が少 し広くなった。どうも有難う御座いました。

 放出予定の作品は、他に、3機種あり、どれも特徴のある音造りです。お楽しみにしてください。

 会場の様子は、イベン ト情報をご参照ください。本日の様子もご覧頂けます。9月23日(木)をお楽しみに!


2010/09/18

恥ずかしいですが...

  スピーカー再生技術研究会のオフ会まであと5日というところまで来てしまった。進行時間を考えながら自分の発表はどうしようかなどと考えている。折角来て くださる方には何か得て帰って頂きたいし、とは云いながら堅物の会にしても面白くないだろうし、自分は少し引いて、来られる方に主役をして頂こうなどと考 えながら少し思い悩んでいる。

 恥ずかしいのですが、研究会に来られる方に、自分がどうやって研究しているのか一部をご紹介します。

 写真左の山は、自分の メモ帳である。A6版のノートは、コンビニで手軽に購入できるので、常に持ち歩いて電車の中などでスピーカー再生の理屈についてや、新しいモデルの構造等 をメモしている。

  いつから始めたのかは、不精で日付を書いていないので分らないが、メモはいつの間にかこんなに増えてしまった。内容の殆どは、多自由度バスレフの振動モデ ルの図や運動方程式、運動方程式を整理したもの、モデルを手計算で解く途中のもの、解くためのアルゴリズム等、他の人が見てもさっぱり分らない内容であ る。

 同じ図や同じ式が繰返し何度も登場する。物忘れが激しいため何度も同じ事を繰り返すという理由の他、自分の式に誤りがないか、手順を変えて何度も計算し なおしている。
 『既に発表したモデルが間違っていたか!やっちゃった〜!』と何度思ったことか。しかし、その度に、計算しなおして、『良かった。間違っていなかった 〜』と胸を撫で下ろしてきた。これは、何度やっても続くことだと思う。

  ノートに書くことはとりとめもなく、バスレフの運動方程式を整理している途中と思えば、ミューズの方舟さんに持参する予定の"CON GIOIA"のAICCの剛性マトリックスを整理したり、シミュレーションのアルゴリズムをまとめたりと、あちこちに跳んでまとまりがない。

  多自由度バスレフは、多分メーカーでも手を出していないと思うが、アマチュアがこのような検討をを繰り返し、実用化に向かっている。研究会で発表するモデ ルは、このような研究の下、検証するために、製作したものが殆どである。スピーカーの再生技術には、まだ手の付いていない分野がたくさんある。

 ということで、9月 23日(木)のスピーカー再生技術研究会には、是非ともお越しください。お待ちしています。


2010/09/16

価値の無い機能

  オーディオの自作とは関係ない話題だが、先日、あるパソコンメーカーから勤務先の会社に対し、WindowsXPのダウングレード権販売を中止するという 通知が入った。調べてみると、他のメーカーでも同様にXPは完了するということだった。恐らくOSの供給元が、新しい商品が売れないので、無理やり旧商品 の販売を打ち切ったというのが実際のところだろう。

 しかし、考えてみると(考えなくても)これは、変な話だ。新商品(この場合はOS)が売れないのには理由があるはずである。理由を想像すると以下のよう なことであろうか。
  1. 今のOSで足りているので必要ない
  2. むしろ今のOSより新しいものが悪くなっていると思っている
  3. OSを変えると別なソフトまで変えなければならないので金がかかる
  4. 今の環境を変えなければならないので、上記のコストの他に人的コストがかかる
  特定のメーカーが優位な立場を利用してカネを巻き上げる構図を造り上げてきたというのは分かるが、その商法も限界に来たということだろう。価値の無い機能 を付けても売れないのである。そこで、切り札を切ってきたというのが今回の結果なのだろう。これは、売る側の立場を最重視し、ユーザを見ていないことの表 れでもある。

 元々、この会社のOSには不要な機能が満載で、新しくなる度にパフォーマンスが下がると感じている。自分の場合、DOS、 Windows3.11、Windows95、WindowsNT4.0、Windows2000、WindowsXPと使ってきたが最も良いと思ったの はWindows2000で、XPになると不要な機能が増え、パフォーマンスが下がったと感じている。Vistaも触ったことがあるがパフォーマンスが悪 過ぎて評価に値しなかった。

 実のところ、我が家でのPCのOSの半分は、Linuxである。通常の使用にはこれで十分であり、仕事がな ければ(というか会社がWindowsを止めれば)Windowsはもはや必要ないところまで来ている。これを機会に大企業がWindowsの採用を止め 始めれば、数年後には全く構図が変わっているだろう。すでにネットワークとウェブベースで仕事が出来てきているので、この話も非現実的という訳ではない。


 オーディオ製品について云えば、かつてのような毎年のモデルチェンジが無くなって良かったと思っている。モデルチェンジのための仕様変更に付き合うのは 嫌である。この部分は正常化していると評価できる。

 オーディオ製品を自作する理由の一つは、自分に必要な仕様に特化したものが欲しいことだろう。それが出来るのが自作の強みである。しかし、同時に作る楽 しみが複数の装置を作らせ、居場所を圧迫し、また、コストを必要とする。


 そんな訳で、自分の作品たちの一部を、研 究会のオフ会で無料放出します。更なる研究開発にご協力をお願い致します。


2010/09/12

FE83En "CON GIOIA"チューニング

  昨日は、沼袋・野方まちおこしジャズのイベントで生の音を聴いてきたので、今日は朝からピアノトリオを聴きながらチューニング方法を考えていた。自分の嫌 な音が出ている理由は強度が不十分なフレームにあることが明確になったので、フレームの内側にゴム粘土を仕込んでダンプしようと思い銀座の東急ハンズに出 かけた。
 東急ハンズの売り場を 見ると、欲しかったゴム粘土は無かったので、子供用の『おゆまる』という粘土のようなものを購入してきた(写真右)。

 ついでにビー球の潰れたようなものがあったので、これも購入してきた(写真左)。これは税込み367円なので、怪しい水晶粒(小さなカップ1杯で500 円)よりも安いと云える。おはじきとは違って片側が丸く反対側が平たいインシュレータにぴったりの形状である。

  おゆまるは80度(摂氏)以上のお湯につけて柔らかくしてから整形して使う。子供用のくせに危ない使い方ではないのか?疑問は残るがやってみた。熱いうち は調子よく整形できるが、すぐに硬くなりうまくゆかないので諦めた。結局油粘土を使ったところ、音は良くなったように感じる。
 ビー球の潰れたようなものは効果抜群だった。水晶粒よりもセッティングが容易で、音も水晶粒とあまり変らない。水晶粒と違ってサイズ違いの外れが少い。 これは買い得だった。

  この結果、今まで苦労していた嫌な音が陰を潜め、いけそうな感じになってきた。Bobo Stenson Trioのベースは音程が明確で、ドラムの瞬発も狭い部屋では十分に受止めている。シンバルは突き抜けるようにFostexならではの爽快感で鳴ってい る。ショスタコビッチのジャズ組曲もご機嫌に鳴っている。ユニットの耐入力が小さいので、春の祭典は無理な感じだが、ショスタコビッチまでなら何とかいけ そうな感じだ。

 FE83Enは、そのままではどうしようもなく使いにくいが、フレームをダンプするとなかなか使える音になるようだ。出来れば何もしなくてもまともな音 が出るようになれば嬉しいのだが。


大山さんに感謝

 大山さんがメルマガで研究会のオフ会を宣伝してくださったので、今日だけで5名の方が登録して下さった。

  大山さんのメルマガを読んでいて製品のところへリンクして行ったところ、オーディオラックZ101に目が留まった。自分もオーディオラックには苦労してい る。一番の問題は、ロクな市販品がないことである。見た目は壁紙を貼った素敵なもので、前面にガラス扉があったり素敵なものがいろいろあるのだが、板は安 物で軽い。叩くとぼこぼこ音がする。しかも斜めに押すとひしゃげてしまったりして、お世辞にも使いたいとは云えないものが多い。自分の場合、もう7年くら い前になるが、欲しいものが見付からなかったので、三越家具でオーダーメードしてもらった。特に厚く、頑丈な、特別仕様で税抜き250,000円だった。 2008年12月21日の日 記の 中央後ろ側にあるもので、重くて立派なものである。そのときの写真の後ろ側にあるSiemensのEurophonとかEMTのプレーヤー等(自分で購入 したものではなく、義父の遺品)に合わせた高級仕様だった。250,000円という価格の絶対額は大きいが、品物の対価として高いとは思わなかった。

  当時は大山さんのことを知らなかった(開業もしていなかった)ので三越に特注したのだが、多分、大山さんのラックのほうが音は良いのではないかと思う。三 越で特注したものは、前も後ろも楢の木を表面に貼って仕上げているが、中身は凝った木材ではない。大山さんのは、バーチ材を使っている。それが、自分で作 らなければならないとは云え、値段を見て驚いた。これでは儲からないだろうな...

 市販のラックを使っている人にはお勧めします。お金がある人は三越で特注というのもありですが、多分音はバーチのほうがいいと思います。


2010/09/11

沼袋・野方まちおこしジャズ


 M-TKさんから、題 記の催しがあると教えて頂いたので、女房と一緒に聞きに行ってきた。本日15時からということだったので、14時過ぎに自宅を出て。15時ちょっと過ぎに は、氷川神社に到着した。

 着いたときには、子供たちの演奏をやっていた。席が空いていたので座って聴いていた。左の写真は、武蔵丘高校吹奏部の皆さんでである。1年生だそうだ。 皆涼しそうな格好をして気持ちが良い。時折風が通り、少し前の猛暑とは随分違う。日差しも秋の感じになっていた。

 その後、***トリオ(名前を忘れました)、早稲田大学Swing & Jazz Clubを聴いたところで(というか***トリオのところで)女房が飽きてしまいギブアップ。加藤哲子トリオの最初のところで中座してしまった。

  屋外なので音響はさっぱりしていた。吹奏学部も最近は分りやすい曲をやるものだと感心した。体を揺らしたり、立ったり座ったり、大変だと思うが、練習の成 果が感じられた。気になったのは、男子部員がたった2人と少いことだった。ドラムも女子だった。男子はどこへ行ったのか?

 最後に、ホッケドッグという面白いものを買って頂いた。英国のFish & Chipsみたいで結構いける。

 女房が飽きてしまっていいところまで聞けなかったのは残念だったが、中々楽しいイベントだった。お祭りのテキヤがいないのも良かった。

 タッチの差でM-TKさんとお会い出来なかったのが残念!



2010/09/11

時間のかかるプロジェクト

 昨年の8月23日の日 記にプログラミングの勉強について書いたのだが一向に進んでいない。
  実のところ、プログラミングに関する書籍は30年も前から相当数買い込んでいる。左の写真はそのごく一部で、CまたはC++に関するものだけである。その 他には、Fortran、Basic、Visual Basic, Java, Perl, VBA等うんざりする位の数の書籍がある。Cに関するものだけでも、この写真の他に、Numerical Recpe等の大物がある。
 何故こん なにあるのかというと、この手のものが昔から苦手なのである。学生時代には、大型コンピュータでFortranを使うという情報処理の科目があった。ログ オンとかタイムシェアとか自分の想像力の範囲を超えた用語だけで戦意喪失して、単位を落とし、二度目の履修でようやく合格した。
  プログラミング言語は、自分の思い通りにならないし、本質的に正しくてもシンタックスエラーがあるとどうにもならない。苦手ながら、Fortranだけは 何とか使えるようになったものの、コンパイラーが高価なので利用できない。C++なら、LinuxではGCCが無償で使用でき、Windowsでも Borland C++ Compilerというのが無償で使用できる。最近は、Visual C++ Expressも無償になったが、GUIを覚えるのが面倒だし、本質的に必要なのは見た目ではなく、計算部分なので、Borland C++ Compilerを使っている。ちょっとやっては躓き、何ヶ月か後に再開という繰返しなので、殆ど進んでいない。気分的に時間がとれないというのが実感で ある。多分仕事としてできれば1週間で結果を出せるとは思うが、お金になるものではないのでしょうがないか...
 プログラミングが得意かと訊か れると、上述の通り、勿論不得意である。但し、アルゴリズムを考えるのは得意で、これは本職にしたいくらいである。現在は、また、バスレフの式を纏めてい るので、これもいずれの日にかは公開できると思う。TSパラメータを使った既存の理論とは別次元の纏め方が出来ると思う。

FE83Enの交換

 アマゾンで注文してい たFE83Enが昨日届いたので、今日付け替えてみた。ついでに吸音材は、先日ジャンクのスピーカーユニットを8本購入したときにおまけしてもらったもの に変えてみた。
  以前のものを外してみると、フレームのネジ止め部分が変形していることに気付いた。木ネジで留めた位で変形するようなものを製品として扱うのは恥ずかしく ないのだろうか?こんなものはピュアオーディオ用には使いたくない。FosterブランドのFF80BKのフレームならこんなことにはならない。しかも価 格は半分である。
 このへなへなフレームが、音に悪さをしていることに気付いた。少しでも音量を上げるとビリ付いてしまう。ミューズの方舟さんのところに持ってゆく前に は、このフレームに対策をしなければならない。
 前回改造をやり過ぎたと思ったのは、実はへなへなフレームのせいだったことにも気付いた。変な音が出たのは、改造のせいではなさそうだ。

 今朝から、ピアノトリオをやや大きめの音量で聴いている。前回感じたほど酷い音ではなく、今回のロットは最初から結構聞ける音になっている。品質のばら つきもあるのだろうか。Feastrexほどの品質は無理にしても、もう少し頑張って欲しいものだ。



2010/09/08

ミステリートレイン

 昨日通勤の半蔵門線に乗っていたら、『1800 系で行くミステリートレイン』、 『え〜!そんなところに連れて行かれるの?』、『弾丸ツアー』、『伊勢崎線全通100周年』というような吊り広告に釣られてこのツアーに申し込んでしまっ た。1人6,500円なので夫婦で13,000円、記念オリジナル弁当付きだそうである。北千住駅発着で、どこに行くのか書いていない。しかし、『乗り鉄 限定企画』などというのも気になる。夫婦共に鉄道マニアではない。スケジュールを見ると、9月25日(土)8:40頃に北千住を出てからどこやら不明なと ころに行き、同日18:00頃に北千住に戻ってくることになっている。しかも途中は記念撮影タイムしかなさそうなので、駅を降りる訳でもなさそうだ。こん なに電車に乗っていたらその時間で成田からモスクワ位まで行けそうだ。スピーカー再生技術研究会のオフ会の 準備も出来ていないというのに...
 そう云えば、副会長の松 さんは、鉄道マニアだったっけ。


AIT080a

 ミューズの方舟さんのコンテストに出品する、"CON GIOIA"のユニットの改造をやりすぎてしまったので、FE83Enを再び買う羽目になった。面倒なので、アマゾンで注文したが未だ届いていない。在庫 するような商品ではないのでしょうがないのだろう。

 このスピーカーを聞けないので、3インチ3兄弟のAIT080aを 代わりに使っている。このシステムにはTangbandのW3-881SJが付いている。先の日記に書いたピアノトリオを聴くと、AIT080aのほうが 確かにバランス良く鳴っているし、低音も豊かである。しかし、何かが足りない感じがする。FE83Enを使った"CON GIOIA"は、高音がやかましいが、代わりに高音が切れ込む感じなのと、音が空間に散乱する雰囲気が良く出ていた。どちらもどちらと云ったところだが、 FE83Enを使った"CON GIOIA"も結構悪くないかもしれない。ユニットが間に合えば、9月20日のオフ会会場下見のときにパワーを入れて鳴らしてみたいと思っている。 FE83Enは、エージングで音が決まるように思うからである。


2010/09/06

W2-802SE

  今日は仕事で和光に行ったので、帰りにお茶の水で地下鉄を降りて、麻布オーディオ秋葉原店に立寄った。吸音材を購入するためだったのだが、W2- 802SEが裸で積まれているのを見て思わず買ってしまった。1本980円のジャンク扱いである。外観テストで不合格になったのでジャンク品としての処分 になったとのこと。外観に異常があるようにも見えない。敢えて云えば、半田付けが素人っぽいところだろうか。8本購入し、直流抵抗を測ったら、どれも導通 があり、問題なかった。六本木工学研究所は、品質検査が厳しいので、思いも寄らない掘り出し物が入手できる可能性がある。要チェックだろう。

  ところで、何故8本も購入したかと云うと、新作音場型QNDR(Quasi NDR)の変化形SNDR(Simplified NDR)というものを計画しているためである。QNDRとの違いは、QNDRでは正面のユニットが90度に振られて配置されているのに対して、SNDRで は、2本を縦並びで正面に向けようということである。こうすることにより、正面側の音圧を背面側より特に大きく出来るだろうということで、計画しているも のだ。スピーカー再生技 術研究会のオフ会は9月23日なので間に合わないが、その後時間をとって実験しようと思っている。

 SNDR の実験のために、実はStereo誌の付録ユニットを4組準備していたのだが、ユニットそのものを作るのが面倒くさいので、そのままほったらかしになって いる。W2-802SEは、通常2,480円なので8本も買うときついが、今回は980円で購入できたので、これでいこうと思っている。Stereo誌の ユニットはどうしようか...作るのも面倒くさいが、音はいいそうなので、興味もある。QNDRの第2弾のためにとっておくのも良いか。


2010/09/05

音響プロジェクト測定演習(手作りアンプの会)

  昨日は、手作りアンプの会の音響プロジェクト測定演習に参加した。同会のIさんの講師によるソフトウェア(シェアウェアとフリーウェア)の活用方法につい て教えて頂いた。Iさんは技術的知見が深い方なので、痒いところに手が届く説明だった。驚いたのは、Speaker Workshopというフリーウェアの機能の多様さだった。

 詳細は抜きにして感想だけ書くと、低音測定には、やはり無響室が必要と痛 感したことだった。Speaker Workshopを使用しても、理屈が分っていないと低音測定はデタラメになってしまうことが良く分った。ウェブなどで、よく20Hzまでまっ平らな特性 を見かけることがあるが、そういうデータを信じてしまう人は、手作りアンプの会で教わってくるべきと思う。


ピアノトリオのCDを買った

 アマゾンで、ジャズ ピアノトリオのCDを3枚購入した。
 どれも聴いたことがあるわけではないので、とにかく買って聴いてみることが目的である。購入したのは、下記3枚である。

 "Reflections", Bobo Stenson Trio, ECM 1516
 "Goodbye", Bobo Stenson Trio, ECM 1904
 "The Ground", Tord Gustavsen Trio, ECM 1892

  カタカナではちょっと書きにくい Bobo Stenson Trio(九州地方の人しか分らないか?)は、既に、"Cantando"というアルバムを持っているので、少しだけ知っている。それほどのめり込むので はないが何度聴いても飽きない、嫌じゃない演奏なので、もう2枚買ってみたものである。Tord Gustavsen Trioは、知らないが、Bobo Stensonだけでは分らないので比較のために購入した。9月2日の夜間に注文を出したら今日到着した。店舗まで買いに行くより圧倒的にラクである。

  自分にはジャズは馴染みの無い分野なので、どれも似た感じに聞こえる。新作の、"CON GIOIA"で聴くと結構いい音に聞こえる。昨日は、クラシック曲で欠点が耳に付いたので、振動板にエナメル塗料を重ね塗りしてあった。多少聴いたのか、 耳馴染みの無い分野なので欠点が分らなかったのか分らない。しかし、オーディオショーでは良くこういう感じの曲でデモしており、音もこんな感じに聞こえ る。妻によると、高級オーディオショーで、『どうだ、いい音だろう』とばかりに鳴らしているのを聴いた自分が、『何だこんなもんか』とケチをつけている感 じの音だそうである。いいのか悪いのかさっぱり分らない。


2010/09/04

スピーカーコンテスト



  今年は、Stereo誌のスピーカーコンテスト、Fostexのスピーカーコンテストがあり、ウェブ上でも話題を賑わせている。最近Stereo誌のス ピーカーコンテストの書類審査の結果発表があったようで、自分の良く知っている方々も合格だったりそうでなかったりしたようだ。

  自分はと云うと、これらのコンテストには応募していないのだが、審査の無い先着順受付の、ミューズの方舟さんのコンテストに今年も応募していた。今日、出 品予定作を、自室より少し広い居間に運んで聴いたいたところ、ミューズの方舟さんから、先着4番目でパス(?)した旨のご連絡を態々電話で頂いた。直ぐに 応募したのだが、それでも4番目ということだった。残念ながら間に合わなかった方もおられたのだろう。

 左の写真は、出品予定のペット ネーム『CON GIOIA』である。FE83Enの音がどうしても気に入らなかったので、先週思い切って改造した結果が左上のような状態である。この結果多少、自分の好 みの方向に変った。しかし、妻から、『貴方の好きな音じゃない』と見透かされてしまった。図星だったので、とうとうセンターキャップも塗ってしまった。

  スピーカーユニットに塗装する人はいないと思うが、塗装には、実効質量を増やす効果と、振動板の剛性を高める効果がある。勿論、そんなことはしないほうが 良いに決まっているが、好みに合わない音だったらどうしようもないので、止むを得ずやってみた改造である。本当は裏から塗っただけで、止めておきたかった のだが、新型のコーンは裏から沁みてきてみっともないので止むを得ず塗ってしまった。

 センターキャップに塗装したところ、音は勿論変ったので、様子を見ようと思う。

 しかし、どうしても疑問が消えない。(塗る前の)FE83Enは、製造ロットによって出来が全く違うのではないだろうか。自分が買ったロットは外れだっ た気がしてならない。初期ロットは入手できないのだろうか?

2010/08/29

FE83En用の新システムの仕上

 暫く遠ざかっていた新システムの工作を再開した。この作品は、11月に行われる予定のミューズの方舟さんのコンテストに出品するためのものである。来月 には、研究会の初回オフ会もあり気付かないうちに忙しくなってしまった。

  先週は、この作品にちょっとした改造を施したFE83Eを付けてみた。この状態で暫く聞いており、結構気に入ったのだが、コンテストのルールは新型のEn を使うことが絶対条件なので、好き嫌いはともかくとして、FE83Enを使わなければならない。先週は、主空気室に油粘土を詰め込んで1.xリットル容量 を小さくしてみた。同じ条件ではないので効いたかどうかは分らなかったが、共振周波数は計算上は数ヘルツ高くなったはずである。

 昨日は、一旦粘土を取り外し、外装の仕上を実施した。仕上には、結局ウレタンニスを使用した。刷毛で下塗りした後にスプレーをするのが、大山さんの仕上指南ビデオの 方法なのだが手抜きをして、刷毛塗り工程を省いてしまった。しかし、流石に大山さんのビデオの通りにやった部分はいつになくスムーズに上手に出来た。大山 さんのビデオは、4,980円でダウンロード出来る。FE83Enを2本買うよりも安いというのは実に良心的と思う。工作のベテランは多分同じだと思う が、失敗する度にあれこれ購入してくるので、買ってきても結局使わなかったり、ほんの少し使って止めたりしたものがたくさんある。使えずに捨てたもの、失 敗して全部剥がしたものなどを含めると、ちゃんと計算したことはないが、数万円以上あるのではないだろうか。この4,980円を先に投資しておけば、こん なことはなかったはずだが、当時は大山さんが開業していなかったので止むを得ない。

 鉋で荒削りした後に、 #60の布やすりで段差を取り除き、#100で中仕上、#240で最終仕上を行った。また、ダクト内部も段差が無くなるよう#60で削った。書くこれだけ だが、電動工具を使わないので、これだけで4時間ほどかかり、筋肉痛になった。

 下地調整はせず、削った状態で掃除機をかけ、表面の埃を取り除いた後、ベランダに持ち込み、背面を粗塗装、底面は塗らなかった。市販品でもフロア型は、 背面や底面の仕上はしていない場合が多いと思う。

 続いて上面、正面、側面にスプレーを吹き付ける。大山さんのビデオでの注意事項のうちただひとつを守っただけで、塗装の垂れが殆ど発生しなくなった。

  自分が使用している、ロイヤルホームセンターのクリアパイン集成材は、みかけが今ひとつなので、写真の通り美しくはないが、もう少し木目の綺麗な集成材 だったら結構良くなったと思う。この材料は、粗密の差が大きいため、密の部分は綺麗に塗料が乗るが、粗の部分はざらざらである。

 改造を 施したFE83EからオリジナルのFE83Enに戻したときは、がっかりした。高域が荒れて煩い。とても気に入らないので、FE83Eに施したのと同じ改 造を施してみた。音は大分大人しくなったが見掛けが悪くなってしまった。FE83Eでは、改造したこと自体分らない程度の変化だったのだが、Enのコーン はEとは大分違うようだ。真似をする人がいるといけないので改造の詳細は書かないが、こんなことをやったらFostexファンが『FE83Enの良さを殺 す』と怒りそうな改造である。但し、ミューズの方舟さんのコンテストの条件として、ユニットの改造は自由なので、この点は問題ない。また、怪我するおそれ もない改造なので、失敗しても買い換えるだけである。

 このシステムには、未だモデル名を付けていない。副空気室が2つのAICC型で、ペットネームを"CON GIOIA"とした。イタリア語で、『喜んで』という意味である。自作の基本は『面白い』ことだと思うので、その基本通りに命名した。


2010/08/22

楕円形のホール


 先週は休暇をとって東 欧圏に旅行に行ってきた。あまりオーディオに関係のある旅ではなかった。

  パック旅行の中に、ウィーンでの小さなコンサートが付いていた。このコンサートは団体旅行向けで、幾らするものか分らないが、様々な国の団体が来ていた。 左の写真のように小さなホールで、ピアノ、弦楽器、木管楽器、ソプラノ、テノールとバレエの演奏を行った。ステージは、1m弱の高さで、その上にピアノを 除く演奏者が位置する。

 写真では良く分らないが、ホールはほぼ楕円形で、床と天井は平行である。小さなホールに椅子を並べ、約400人が鑑賞できた。

  演奏が始まって感じたのは、残響の極端な長さである。風呂屋で演奏するような感じで、残響が直接音に勝ってしまうので、ヴァイオリンは、独奏以外の旋律さ えも殆ど聞き取れない。最初はピアノも無いと思って聴いていたところ、何故ピアノの音がするのかと気付いて探したらピアノもあったという状態である。

 演奏者一人一人の楽器は間近に見えているのに分離しては聞こえない。オーディオマニアは、楽器のパートを分離して聞こえるようにするのだが、実際のホー ルではこのようなこともある。しかし、だからと云って音楽が悪いということもない。

 この音場は、QNDRでの再生音に良く似ている。QNDRは、このような状態で聞きたいという人には適していると思う。




2010/08/11

ブログを始めてみました

 今日Gmailを開けたら何やら設定の変更を促されました。読んでゆくとブログのページに辿りついたので、始めてみることにしましたた。但し、内容は全 て英語にします。英語のページの更新は面倒なので、とりあえずブ ログで行くことにします。しかし、中身は殆ど空で、これからどうしようかと考えています。

 今週末から休暇のため暫く更新は休止です。研究会のオフ会で何をしようか考えならら休息をとることにします。



2010/08/08

吸音材

 FE83En 用のシステムを聴いたときに、何気なくユニットのフレームを触ってみたところ、片側の振動が気になった。フレームを良く観察すると、振動した側だけ、パッ キンがはみ出していた。バッフル面との圧着が弱かったのかもしれない。はみ出していたパッキンを鋏でカットして戻すときに、折角なので吸音材を入れてみよ うと考えた。

 高級吸音材は手持ちが無いが、比較的柔らかい『タオルウェス』という布があったので、左右とも丸めて突っ込んでみた。試聴すると高音の張りが減退した感 じだった。しかし、同時に歪っぽい音も少くなっている。吸音材は、必要悪なのだろうか。

  絶対に吸音材を使わない人が居ることも知っている。しかし、吸音材なしの音を聴いて納得する訳でもなかった。あるところで、自分と同じメーカーの自分より 高級なユニットを吸音材なしで使った音も聴いた。そのとき、予め準備されたソースでは吸音材なしの欠点が分らなかったが、自分の持参したCDを聴いたら、 欠点が明確に現れた。自分のシステムでは吸音材を少量使っているのでそういうことはない。意地を張って、『...でなければならない』と主張するのは止め たほうが良いと思っている。これはそのような例だったと思う。何事も一長一短でどちらの方式が優れているとは云い難い。

 自分の新しいシステムは、しばらくこのまま聴いてみようと思う。仕上のために、ユニットを外すので、そのときは、吸音材を外すチャンスがある。吸音材 は、個人的には好きではないが、音の変化を楽しむ小道具には使えそうだ。


2010/08/07

ワックス仕上の実験


 FE83En用新シス テムの仕上は先に延ばすことにしたが、今回は経験のない仕上げ方をしようと思い、実験してみた。

 仕上に使うのは、住宅の床用ワックスで、アクリル樹脂系のワンピカという商品である。これは、9年前にこの住居を購入した際にオプションで追加した床仕 上用のワックスの余りである。放置されていたことに気付かなかったが、今年になって発掘された。

 長岡先生は、白木用のワックス仕上も良いと書かれていたので、一度試してみようと思っていたが機会が無かった。

  ワンピカの使い方は良く分らないが、布で擦り込むのでは中々進まなかったので、筆で染込ませるように塗ってみた。塗るのは簡単だが、安物の筆で試したので 細かい気泡が出来た。乾燥した後に触ると、気泡のせいで手触りが悪い。これを240番の紙やすりで剥がしてみたところ、元の木材のようになった。これで水 を吸い込まなければ良いと思ったのだが、水洗したら水を吸い込んだ。

 このためもう一度重ね塗りをしたところ、左の写真のように多少手触りが良くなった。左が、ワンピカを塗ったもの、右が未処理のものである。木材は、ロイ ヤルホームセンターの表示では、『クリアパイン』と名の付いたものである。ゲテもんの松さ んに伺ったところではそのような松はないらしい。

 このような仕上にするか別な仕上にするか悩ましいところだ。
 再来週の休暇明けまで考えて、実際に作業をするのは、9月になってからにしようと考えている。そもそも直接塗るのが正しいのかどうかも分らない。

 9月と云えば、23日は、スピーカー再生技術 研究会の発表だが、未だ何も準備できていない。材料はあるにしても、ちょっと心許ないかな。松さんと会員の皆様に期待したい。


FE83En用新システムのエージング-2

 このシステムの音が出せるようになってから、1週間経過した。毎日心行くまで鳴らせるような恵まれた状況ではないが、それでも帰宅後深夜まで毎日1〜2 時間聴いてきた。音は落ち着いてきて、中高域の歪感も少くなってきた。低音の不足感もあまり感じなくなった。

 製作した当初は、今週仕上げようかと思っていたのだが、仕事がたまっているので、今週は引続きエージングを続けることにした。音が出てしまうと、気楽に なる。

 注意して聞いているポイントは、狙い通りの音になったかということである。狙った音は、以下の通りである。

  1. 中低域(100〜200Hz)を不足感なく鳴らす
  2. 60Hzまではそこそこのレベルを保つ
  3. 40Hzは聞こえる程度
  4. 中高域はFE83Enの素のままにする
1. は、音楽を聴いてもあまり良く分らない。少し薄いような感じもする。中高域が騒がしいので、相対的に低く聞こえるのかもしれない。2.と3.とは、 Audio Basic 50号の付録CDでオルガンの65Hz〜32Hzまで(トラック3)を収録してあるので、これを使って確かめた。42Hzまでは、そこそこのレベルで聞こ えるが、その下は倍音中心で、基音はあまり聞こえない。同CDのトラック4とトラック5にバッハの『主よ、人の望みの喜びよ』という曲が入っている。ト ラック5は、60Hz以下カットでその差を聴き比べられるようになっているので、これらを比較する差が良く分る。最低音の37Hzもほんの少しは感じられ る。とりあえず2.と3.は、目指した通りの音を達成しているようだ。4.は何もしないのでどうでも良いが、1.については気になるところなので、自分で 作成したテスト用のCDを聞いてみた。このCDはWaveGeneというフリーウェアを使って作成したもので、10kHz〜16Hzまでの単音やスィープ 信号などを収録してある。224, 200, 160, 125, 100, 80, 63, 50, 40Hzとスピーカーシステムに近い(300mm位)位置で順に聞いてゆくと、224〜125Hzは同じようなレベル、100Hzは低め、80Hzは 224〜125Hzと同等レベル、63Hzと50Hzは強め、40Hzはかなり弱めという印象であった。もう少し広い部屋だったら測定用のマイクロフォン を使って確かめても良いのだが、聴く位置で随分違うし、これとて定量的と呼べるかどうかは疑わしいので別な機会にしようと考えている。手作りアンプの会で は、測定プロジェクトが始まっているが、次回は参加できないので、取り残されてしまった。測定は、難しいので自分には全く自信がない。しかし、単音を聴い てどう聞こえるかというのは、ピンクノイズ等を環境騒音の中で鳴らして測るよりは良い面もあると思う。単音は、環境騒音から分離して聞こえるためである。 20Hzの単音は再生できないがピンクノイズを分析すると20Hzまでレベルが高いなどということはあり得ないのだが、耳を使わないとそういう間違いも しがちである。

音楽を聴くとソースによって自分でさえ評価がバラバラになるので、一般性はないと思う。やはり、聴くしか分らないのだろう か。自画自賛的な表現をすると、このサイズにしてはローエンドが伸びており、音像は小さく、音場は広く深く、細かい音も良く聞こえるシステムである。欠点 は100Hz付近の落込みだろう。フルレンジなので小型システムに調整不十分なスーパーウーファーを足したような不自然さはない。


2010/08/03

FE83En用新システムのエージング

  エージングと云っても、昨日夜遅くまで聴き、今日も23時近くから1時間程度聴いただけである。エージングには、Bobo Stenson Trioの"Cantando"を聴いている。ジャズには詳しくなく、CDは2枚持っているのに過ぎないが、このアルバムは耳に心地良い。ピアノは柔らか く録音されているし、シンバルを微かに叩いたり擦ったりする音が生々しく収録されているので、高音域の再現性のチェックに使用できる。また、ベースも適度 に入っているので、低域の出方も良く分る。音楽的にも嫌味が無く気に入っているアルバムである。

 わずか2日間のエージングで、音を出し 続けた訳でもないのに、結構聴ける音になってきている。最高の出来だと言われるFE83Enだけあって、かなり綺麗な音を出している。低音の不足感も無く なってきた。ユニットも箱もエージングが必要というのはその通りだと思う。箱は、硬い合板ではなく、柔らかい集成材なので、クリープして馴染んでくるのは 早いようだ。未だ100%の状態とは思えないが、2日でこれだけ馴染んできたのだから、11月までにはそこそこの状態になるかもしれない。Fostexは Tangbandに比べるとフレームが弱いが、音そのものが悪い訳ではないと思う。お買い得感はないが、市販のスピーカーシステムにはない素直で生々しい 音を聴けるところは魅力だと思う。


2010/08/01

FE83En用新システムの製作−3

 FE83Enを使用し た新システムが一応組み上がった。

 通常は、箱を仕上げてからユニットを組付けるのだが、今回は、先ずこの状態で音を出してみた。ボンドが定常状態に乾くまで待ってから箱の表面処理をしよ うと思ったためである。

 完成寸法は、360H×250W×236Dで、底面にはφ15×5Hの脚が付いている。自宅用なら、水晶のブロックをインシュレータに使うので脚は不要 だが、ミューズの方舟さんの会場に持込む予定なので、置いてすぐに鳴らせるように3点の脚を付けたものである。

 音が鳴らせる状態になったのは昨夜だった。
  最初に音を聴いてちょっとしたショックを受けた。酷い音である。中高域は酷く歪んでおり、甲高く、低域の締らない音。どうしようもない音、聞くに堪えない 音、というのが最初の印象である。Fostexのユニットには、元々最初は酷いという傾向があったようだが、この音は、経験した中で1番目か2番目に酷い ものである。ESコーンになってからは、最初からそこそこの音が出るという情報もあったので、このような酷い音は想像していなかった。この生産ロット は外れだったのだろうか?FosterのFF80BKが、最初からそこそこの鳴り方をしていたのに比べるととんでもない。初心者だったらその場で捨てるか もしれないほどの音である。Tangbandだったら、エージングゼロでも結構まともな音がするのとは対照的である。やはりFostex製はマニア向けの 難物なのだろうか。

 ユニットはエージングゼロ、箱も出来たてという状態で、音を評価してもしょうがないので、我慢しながらいろいろと聴いてみた。夜間なので当然音量は上げ られないが、2時間位聞いていたら少しは聴ける音になった。

  日が変って今朝聞いてみると、やはり酷い音から始まった。今日になってから合計4時間位聞いていたら、まあまあ聴ける音にはなった。しかし、 Tangbandに比べると汚い音で、耳が疲れる。吸音材を入れたくなるが、それは、エージングが済んでから判断することにした。

  今回は久しぶりにFostex用のシステムを作るので、箱は少し大きめにしている。また、ダクトも大きめで、最低域を欲張らず中低域を上げる設計にしてい る。それでも今の状態では低音が不足気味である。最低域も設計上は、60Hzまでだが、50Hzはそこそこ出ているようだ。32Hzは完全に空振り状態 で、これは、設計通りである。一般に重低音と言われる帯域は十分に出ている。

 時間とともに多少は良くなってきているが、好きな音ではない。エージングには何ヶ月かかるだろうか。これから暫くは、この音とお付き合いしなければなら ない。



2010/07/27

公開オフ会の下見を予定

 9月23日(木・秋分の日/大安)に予定の公開オフ会に先立って、9月20日(月・敬老の日/友引)の午後に会場を借りた。下見のためである。このよう なイベントは初めてだし、会場の様子もウェブにある写真でしか分らないので、機材を運び込むための下見と、音出しを兼ねて借りることにしたものである。 13時〜17時半までの4時間半で、2,700円である。104平米もあることを考えると特に安い。民間の施設を借りると、1時間あたり7,000円位の 費用がかかる。

 会場は自宅から徒歩5分位なので近いが、機材を運ぶのは骨が折れる。下見当日は、比較的大きな音を出せるQNDRシ ステムを1組、簡易ヴォリウム付パワーアンプを1組、ポータブルCDプレーヤーを1組運ぼうと思っているが、1回で運ぶのははきつそ うだ。

 このページをお読みの方にお願いです。下見にお付き合い頂けるボランティアを募集します。正直言って、一人で音楽を聴いても4時間半ももたないし、広い 会場に一人だけでは切なすぎます。お手伝い頂ければ、別なシステムも運び込んでもう少し面白くなるかもしれません。場所は、湯島小学校に併設のア カデミー湯島・視聴覚室です。ご自身の作品を持ち頂ければ少し広い部屋で鳴らしてみることも可能です。ご興味がありましたらご連絡く ださい。連絡先は、
mcapspeakers @ gmail.com (左のアドレスにあるスペース2箇所を削除してください)です。

研究会のサイトは右記を ご参照ください。
残念ながら、未だ、内容は殆どありません。

会員も引続き募集しています。

入会はこちらまで!

 

2010/07/25

FE83En用新システムの製作−2
 昨日は、内部構造の接 着を終えたので修正に入った。

 左の写真のように、形は殆ど完成したように見える。しかし、パイン集成材というのは曲者で、製作中に寸法が変ってしまう。

 寸法が狂う理由にはいろいろあると思うが、最も大きいのは、ボンドの水分を吸うことによる膨張だろう。

 集成材は、部分により密度が違い、性質も違うので、元の寸法が同じであっても、伸び方が違う。

 折角寸法が同じになるように同一幅の板から切り出したのに、組立てると、左の写真のような誤差が出てくる。

 これは、自分の製作技術が低いというのも理由であるが、決してそれだけではない。前側で出っ張っている部分が後ろ側で引っ込んでいる訳ではないのであ る。

 こういう誤差は、鉋で荒削りした後に、60番の紙やすりで、接合部の段が無くなり、かつ、全体がなめらかになるように丁寧に修正する。

 小型のスピーカーなので、作業は比較的順調に進み、1時間程で、2本分の前面と後面の修正が完了した。

 触ってみて段を感じなければ概ね良好である。左の写真では、未だ段があるように見えるが、実際には殆ど分らないところまで修正された。

 誤差の修正後の写真を見ると、何となく綺麗になったように感じる。

 フロントバッフルと後面の板を入手していないので、今日はここまでの作業になる。

 残りの材料は、250mm幅×1820長の集成材で、これを、360mmの長さに4枚切ってもらう。

 面倒な穴開けを施し、ダクトを接着したうえで貼り合せると、工作は、概ね完成する。

 その後仕上げて音を出せるのは、いつになるかな...
 このスピーカーは、11月開催(予定)のミューズの方舟さんのスピーカーコンテストに持ち込む予定のものです。募集要項が発表された後すぐに申し込んだ ので、郵便が紛失していなければ、受付けられるはずです。

 今回は、コストとスペックをほどほどに押さえ、超低音を諦めた設計になっています。また、板の鳴きを抑えるための補強が施されているので、パイン集成材 でどこまで鳴らせるか楽しみでもあります。持った感じでは軽いので、塗装の厚塗り等が必要かもしれません。FE83Enをどこまで鳴らせるかな?


2010/07/24

FE83En用新システムの製作
 今日から、 FE83En用のシステムを作り始めた。設計図は完成していないのに、既に作り始めてしまった。現在は、板も全ては揃っていない。

 全体サイズは、下記の点を考慮して決めている。
  1. ロイヤルホームセンターのカット材に合わせる。
  2. クロネコヤマトの箱に入るサイズにする。
 ロイヤルホームセンターは、職場の近くにある。板の種類は少いが直線だけならかなり正確に切ってくれる。パイン集成材の定尺は、幅が200、250、 300、400、450、600、長さが450、600、910、1200、1820、厚みは全て18mmとなっている。
 幅は結構正確なので、同じ幅を多用するように設計し、長さだけ切ってもらう。今回は、200mm幅を基準にした。多少の誤差はあるが、何とか修正できる 範囲であった。

 クロネコヤマトは、箱を無料で配達して購入できるので、便利である。箱のサイズに合えば、持ち運びが非常に楽である。今回のシステムの仕上寸法は、 249幅×360高さ×236奥行きなので、クロネコボックス(10)サイズに入る。

 システムは、なるべく単純で作りやすい構造を考えた結果、AICC-CRで、副空気室を2個のものにした。標準型MCAP-CRの副空気室の仕切り板に 1インチの孔を開けただけである。1インチというのは、ホールソーのサイズである。

 今回特に考慮した点は、以下の通りである。

  1. 空気室の容量をなるべくたっぷりとる。
  2. 箱(板)の鳴きを抑えるために、フロントバッフル、天板、側板に角材で補強する。
  3. 作りやすい構造にする。
  空気室は、各4リットル前後で合計12リットル程度である。補強は、□24mmの栂材を使用するが、手持ちの栂角材が足りなかったため、一部は□30mm とした。MCAP-CR型の特徴である、仕切りが補強を兼ねる、という点に、更に、角材での補強を行うため、結構な強度になることを期待している。

 今週は、内部構造と、側板をのフレームまで製作し、次週にフロントバッフルとリアを取り付けて構造は完成する。

 余程変な音でなければどこかでお聞かせしたいと思います。小型の多自由度バスレフに興味のある方はお楽しみにしてください。図面は、完成してから公開し ます。


メーリングリスト登録完了

 昨日、ようやくスピーカー再生技術研究会のメーリングリストに登録を完了しました。方法が分らなかっただけですが、やってみたら意外に簡単でした。第1 回オフ会に向けて、メーリングリストを活用します。


2010/07/19

スピーカー再生技術研究会のウェブサイトをオープン

 気になっていたスピー カー再生技術研究会のウェブサイトをオープンしました。メーリングリストに登録頂いた会員の方には連絡済みですが、まだ、登録手続き を完了していない方は、ご連絡ください。

 会のウェブサイトには、未だ、研究成果がないので、QNDRについてのレポートを載せました。少し詳しく書いていますので、覗いてみてください。


不思議な掲示板

 オーディオ関係では、時々不思議な掲示板を見ることがある。掲示板単独で存在することは少く、大抵はどこかのウェブサイトの一部として伝言板や電子会議 場の役割を担っている。

 最近見た掲示板は、ある音楽関係者のウェブの掲示板のようだが、何故か、道場破りのような人が登場する。そこのサイトの主張が気に入らないからと云っ て、態々文句を云いに行くこともなかろうに、と思うのは自分だけであろうか。

 自 分だって、問題の大きなサイトがあることは承知しているが、態々文句を云いに行くことはない。文句を云うのは疲れるためである。このサイトに掲示板がな い、或いは、日記がブログになっていないのは、コメントに素早く対応するのが大変だからである。折角書いていただいたのに放置では申し訳ない。このため、 掲示板やブログではなく、メールでのご意見ご質問をお願いしている。頂いたメールに対しては、素早く対応しているつもりなので、何かありましたら、ご遠慮 なくメールでご連絡ください。


問題ありそうなサイトの情報を読むとき

  いろいろなサイトを見ていて、『問題が多いな』と思うことがある。自分は、自分のシステムについては、特に問題点を明記することが多いし、なるべく自画自 賛の表現を避けるよう心掛けている(それでも自画自賛のきらいがあることは否めないが)。リンクで紹介しているサイトは、自画自賛を避け、欠点も明確にす るように書かれている。この傾向は、特に、ベテランに多いようだ。

 面白いか面白くないかは別にして、自画自賛サイトを読むときは、理屈 を考えながら読むほうが良いと思う。長岡先生の記事も自画自賛のところがあったが、良く読んでみると、欠点についても書かれている。逆説的な言い方になる が、欠点が明確なもののほうが、利点が大きいのではないかと思う。また、問題がありそうなサイトほど面白かったりするのは、皮肉なのだろうか。


2010/07/18

QNDRシステムを広い部屋で聴いてみて

 昨日三土会で、自分の作ったQNDRシステムを鳴らしてみてからいろいろと考えた。自宅に戻って狭い自室で聴いてみて分ったことがあった。

 第一は、QNDRシステムは広い部屋でなければ真価を発揮しにくいということだ。

  三土会の会場は、小学校の教室位の広さで、スピーカーシステムの後ろにも両側にも1m程度の空間があった。自室だと、スピーカシステムの後ろには 100mm程度離れてオーディオラックと別のスピーカがある。左右も200〜300mm程度しか空間がない。自室だと、前方の内側のスピーカユニットの音 以外はすぐに反射して散乱するのに対し、三土会の会場では、空間に広く分散した。このこととは、最初に掛けたヴィヴァルディの四季(VIVA! I SOLISTI ITALIANI; DENON 81757 8091 2)を聴いて強く感じた。広い会場だと擬似的な残響音が部屋中に拡がり、ホールで聴くような音になった。音像の定位もホールで聴くのと同様、不明瞭になっ た。この不明瞭さが、空間表現を作り上げていた。また、このときではなく、どなたか忘れたが『ステレオの音じゃない』という声も聞こえた。通常のステレオ 再生とは違う独特の表現になった。他のシステムは、ステレオの良い音だったのに対し、QNDRは、良い音だか何か分らないが、全然違う音だった。音という よりも、空間の表現というほうが正しいと感じた。

 第二は、QNDRは、低音の量感を増やすのに有利ということだ。

 三 土会の会場で、リストのピアノ協奏曲第一番(Alfred Perl:piano, Yakov Kreizberg: conductor, BBC Symphony Orchestra; OEHMS CLASSICS OC 316)を掛けた時に、ゆったりとした低域のゆとりを感じた。このQNDRシステムは、標準型のMCAP-CRをエンクロージャとして使っている。低域側 のローエンドは高めに切って、代わりに中低域の量感を上げるように設計している。このため、超低域の再生は出来ないが、通常問題になる低域はたっぷりあ る。しかも、指向性の低い低域が片側4本の全スピーカユニットから放射されるのに対し、高域は、中央前方のスピーカユニットからの直接音が支配的になる。 即ち相対的に、低音がたっぷりと聞こえるようになる。
 しかも、片側4本のユニットを使っているため、耐入力は1本の4倍になる。逆に云えば、ア ンプを同じ出力で使用するときには、1本あたりの入力は1/4しかないため、振幅は小さく出来、歪を小さくできる。更に、振動板面積が直径が2倍のものと 同等なので、この点でも、低音再生には有利である。しかも、振動板が小さく相対的に剛性が高いので、高次の振動モードにもなりにくい。

 第三は、QNDRは、オフマイクで録音されたソースの再生に強いが、オンマイクで収録された音源には弱いということだ。

  片側4本のスピーカユニットからは同相の同じ音が放射される。前方内側のユニットから放射される高音は直接耳に入ってくるが、その他のユニットから放射さ れる高音が遠回りして空間で合成されるため、直接音を打ち消す作用をする場合がある。オフマイク録音のソースは、元々間接音成分が多く収録されているた め、このような遠回りした音と直接音が空間合成されても悪影響が出にくいが、オンマイクで収録されているソースでは、遠回りした間接音が直接音の逆相成分 になり、直接音のレベルを低下させる作用が出やすいのではないだろうか。この現象は特に波長の短い高音域で出やすいはずである。これは聴感と一致してい る。

 以上のような長所・短所を踏まえて設置場所とソースを選べば、QNDRシステムは素晴らしい効果を発揮するはずである。QNDRはステレオ再生の形を変 えるシステムになるかもしれない。

 オリジナルのN.D.R.を聴いてみたいという欲求が強くなった。
2010/07/17

関東三土会

 今日は第三土曜日ということで、手作りアンプの会の関東三土会に参加した。

 関東三土会は、毎月欠かさず行われている会で、常に20名前後の参加者がある。オーディオサークルとしては、最もメジャーな会だと思う。自分もナマクラ 会員である。

 三土会では、いつも、アンプやスピーカー等の試行錯誤の結果が発表されるので、とても参考になる。会員のレベルはとても高いと思う。スピカー技術研究会 も、少しでも近付ければいいと思うが、会長が自分では心許ない。

 自分の出し物は、QNDRシステムであった。ベテランの方々の集まりなので、N.D.R.についてご存知の方がおられることを期待していたのだが、残念 ながらご存知の方はいらっしゃらなかった。資料を 準備していったのだが、分りにくかったようだった。質問されたのだが、残念ながら、肝心なところは自分も良く分らない。『分らなくてスミマセン』というこ とになってしまった。図面はここに あります。

  しかし、音場が空間に拡がる様子は、混乱を招いてしまったようだった。同じ音を四方(三方?)に撒いているのに対して、モノラル成分とかステレオ成分とい うような説明が為されているので、内部で特殊な処理をしているのかと勘違いされた方もおられたようだった。それでも、参加者の方が場所を移動されて。サー ビスエリアの広さ、どこで聴いても大きな差が無いという特徴を実感されて、興味を持って頂いたようだった。

 会場は、40〜50畳位の洋 室で、十分な広さがあった。自宅で聞いたときの印象と比較すると、広い部屋のほうがずっと良い音に聞こえた。室内楽では、残響たっぷりのようなホールの響 きを感じることができた。鬼太鼓座を鳴らすと、雰囲気は出るものの、ローエンドを高めに切った設計のため、腹に来る感じは出なかった。低音感は、狭い自室 で聞いた感じと大差なかった。


 ベテランの多い手作りアンプの会には、毎回緊張してしまう。 

 明日は朝早いので、打上げには残念ながら参加できず、残念だった。


2010/07/11

Quasi-NonDimensional Radiation (QNDR)システム

 今日は朝4時前に起きてしまった。目的はサッカーワールドカップの三位決定戦を見るためだった。しかし、起きて チャンネルを回してみて、どこも放送していないことに気付いた...タコの占いが気になっていたのだが、愚かと云うしかない。馬鹿だった。こんな人が他に も居たのだろうか?居るわけ無いか。

 今日は、スピーカー再 生技術研究会副会長の松ヒトシさんが来られた。目的は、NDRも どきシステムを聴くためである。

 自室は狭いので、いつものように居間にセットする。それでもやはり狭いのが気になる。NDR風の効果を出すためには、後方が広く開いているほうが望まし い。しかし、最初はこれでやってみることにした。

 松さんは、効果のチェックのため、いろいろなジャンルのCDを持ってこられた。

 松さんはジャズがお好きなので、持ってこられたうちの1枚を聴いてみる。低音の出方は悪くない。
 続けて聴いていると、 どうも高域が詰まっている。音も引っ込んで感じるという。自分のCDを聴くとそのような感じがしないばかりか、むしろ高域が強く聞こえるのとは正反対の鳴 り方である。

 それでも、他のCDを聴いていく。松さんは、どうもしくりこない。松さんのメインシステムであるバ ンビーノと比べると、定位が明確でないという。

 このセッティングでは、後方にゆとりがなかったため、結局300mmほど手前に出して聴いてみると、少し改善されたが、どうもしっくりと来ない。

 次に、私のCDを聴いてゆくと、評価ががらっと変った。
  グレゴリオ聖歌を聴くと、雰囲気が抜群、聴き疲れしない音、と松さんの顔が緩んだ。更にソースを取り替えてゆく。松さんがお持ちではない、 AudioBASIC50号付録CDのアマポーラを聴くと、これは、ベースの音が分るし、楽器の位置も手に取るように分ると仰った。ソースによっては、い まひとつに感じたりもするが、録音によってはそのような問題はない。『この違いは一体何なんでしょうね』という結果になった。

 しかし、松さんは、DU080x4-NDR-aの守備範囲が広く、聴く位置を変えても殆ど違和感なく聴こえるという特徴には感心された。この特徴は他の システムにない。ホールのようなところで鳴らせば効果抜群のシステムになる。

 ところが、このシステムはオリジナルのN.D.R.とは相当に違うのだそうだ。オリジナルは、松さんのブ ログに あるように、基本が三角柱で、正面はレベルが高め、背面は弱めで、しかも、フルレンジは使っておらず、背面にいたってはツィーターだけだったりするとのこ と。それでいて、定位は明確で、楽器の位置は手に取るように分るのだそうだ。DU080x4-NDR-aは、四角形断面で、前面にはそっぽを向いたフルレ ンジが2本、背面には、中心から45度ずつ振ったフルレンジが1本ずつである。このような構成は、今まで無かったのではないか、ということだった。これ は、NDRの流れを汲む新しい方式でもあるかもしれ ない。とりあえず、名前をQuasi-N.D.R.(QNDR)、または、Pseudo N.D.R.(PNDR)にしようと考えたが、QNDRのほうは、検索してもそれらしいものに引っ掛らないので、QNDRと命名することにした。

 これを読んだ方は、QNDR + MCAP-CRのシステムが良いのか悪いのかさっぱり分らないと思う。今日の結論だけ書くと、このシステムは凄く良 かった。オフ会で聴いて頂くのが楽しみである。


2010/07/09

スピーカー再生技術研究会第一回公開オフ会決定

 会場探しに奔走していましたが、会場と日程が決定しました。開催は、9月23日(木・秋分の日)、文京区のア カデミー湯島、視聴覚室で実施します。

 ここに至るまでの経緯は、日記にも書いてきたように簡単ではありませんでした。最も難しいのが、会場探しでした。

  民間の会場を借りれば可能であったかもしれませんが、10万円出しても借りることは出来ません。そこで、文京区の施設をあたって砕け散り、その後、新横浜 のラポールが借りられそうだということで、登録したものの、優先団体が予約した後は、殆ど空きがない状態です。そんな中で、諦めていた文京区の施設を見る と、偶々、9月23日に、アカデミー湯島の視聴覚室が1日占領可能でした。もっと良い施設は、当然のことながら優先団体に占領された状態でした。早速副会 長の松さんと相談して決定しました。

 アカデミー湯島は、会場の下見も出来ていない状態ですので、どこかで借りて確かめてみたいと思います。丁度良さそうな日程が空いたら、小オフ会の案内と して研究会のメーリングリストで連絡します。

 ともかく、会場と日程が決まったのは大きな収穫でした。タイムスケジュールは概ね以下の通りです。

9:00〜12:00 スタッフでセットアップ
13:30〜17:00 イベント
18:00〜 有志で打上

 現時点では、内容は決まっていないので、研究会のメーリングリストで話合った後に、詳細は追ってご案内します。会場の定員は54名ですので、入りきれな いことはないと思います。ゆくゆくは大きな会を開ければとも思いますが、道程は長そうです。


2010/07/07

スピーカー再生技術研究会の立上げに苦労

  皆様のご理解とご協力によって、研究会を立ち上げたのはいいのですが、連絡のためのYahooグループの設定がなかなか理解できない状態です。ウェブサイ トも構築中ですが、まだ、コンテンツがありません。研究会にご入会頂いた皆様には大変申し訳御座いません。只今勉強中です。
 
Stereo誌7月号

  このページをお読み頂いている方の中にも複数冊購入した方もおられると思う。自分はとうとう4冊目を購入してしまった。1冊目はAmazonで予約購入、 2冊目は大阪出張時に購入、3冊目は職場近くの書店(川崎市)で売れ残っていたものを購入、そして今日は、仙台出張時に、駅にある書店で最後の1冊を見付 けて購入した。勿論読みたい訳ではなく、付録が目的である。未だに一組も作っておらず音も聴いたことは無い。しかし、評判が良いので、音場型に挑戦するの にもってこいの感じがする。音場型のNDRもどきシステムは、同じ製造元FosterのFF80BKで作っており、これは気に入って使っている。これを更 に小さく作れば、更に音場感が良くなるかもしれない。このような楽しみがあるのも良いと思って購入してしまったのだが、本体のほうは不要である。 Stereo誌は、長岡先生が亡くなってからは殆ど購入することが無かった。おまけ欲しさに4冊も購入するとは我ながら現金である。

NDRもどきシステム(DU080x4-NDR-a)−その3

  昨日、このシステムで、TELARCの録音を聞いてみた。マゼル指揮クリーブランド管弦楽団のチャイコフスキーのCD(CD-82002)である。 TELARCのCDは一聴すると素晴らしい音に聞こえる。しかし、このスピーカーシステムでは、音場感が悪いばかりか、歪っぽく聞こえてしまった。

 TELARC のCDは、全部で10枚持っている。この中に、マゼル指揮ピッツバーグ交響楽団の『ワルキューレ』第一幕(CD-80258)がある。録音データを見る と、収録場所はハインツホール、1990年の10月に録音されたということになっている。自分は、1993-94年にピッツバーグに住んでおり、このホー ルで、このオーケストラの演奏を何度も聞いている。勿論、マゼル指揮の演奏会が一番多かった。同じ曲は聞いたことがないのだが、この録音の音と、実際聴い た生の音とは全く違うと感じる。自分はハインツホールの音響が好きではない。いろいろな席で聞いた経験があるが、どの席で聞いても、耳に突き刺さる音だっ た。それが、このTELARCでは、随分ワーグナーらしくくすんだ音で録音されている。とても同じ演奏者が同じホールで録音したものとは思えない差になっ ている。一体どのように録音したのだろうか。このCDをこのシステムで聴いてもやはり、上記のチャイコフスキーと同じでいまひとつである。

 TELARC があまりに変なので、これもピッツバーグ在住時にカトリック教会の小ホールで聞いた、アノニマス4の"The Lily & The Lamb" (HMU 907125)というCDを聴いた。こちらは、音場感が抜群で、伴奏なしの女声がホールに響いている。声も綺麗で、ヴォリウムを上げても煩くならない。

 NDRというシステムは、録音の差に敏感なようである。
2010/07/04

NDRもどきシステム (DU080x4-NDR-a) - その2

 昨日突貫工事で組立てたNDRもどきのシステムである、DU080x4-NDR-aを聴いている。

 突貫工事だったので仕上が粗く、ダクトの接合もずれていたりしてかなりヘタクソになってしまった。ラッカースプレーを1度塗りしただけなので、表面もざ らざらしており、綺麗とは云い難い。

  完成直後は粗さが耳に付いたが、暫く聴いているうちに、音に透明感が出てきた。音場は、通常の2チャンネルステレオとは異り、ホールトーンのような独特の 響が付加される。付加された響は、教会音楽や室内楽等では特に広い音場になり、実在感を与える。たった6畳の、しかも物がたくさんある狭い空間なのに、擬 似的に付加された間接音成分が空間の雰囲気を与えている。聴く場所を左右にずらしたり、立ったり座ったりしても、音像はあまり崩れない。光陽電気に通っ て、開発者の河野さんから直接教えを受けた松さんに聴いて頂かなければ評価しにくいが、自分としては、これでNDRの特徴が十分に出ているのではないかと 思う。

 FosterのFF80BKは、かなり綺麗な音である。8本のユニット代は、両チャンネル合わせて11,760円、板やスプレー 缶、端子、ボンド、紙やすり等の費用を合わせても2万円しないシステムであるが、メインとして使っても良い音に仕上がった。主観を書くと嘘っぽくなるので 書かないが、これだったら20畳位の広い部屋でも十分に使えるシステムだろう。AV用にも適合する。

 DU080x4-NDR-aのエン クロージャーは、副空気室が2つの標準型MCAP-CRで、簡易計算での共振周波数は、70、98、138、188Hzの4点であるが、Audio BASIC付録CDのオルガンを聴くと、実際にはローエンドは35Hz位まで出ているようである。計算が合わない理由はこれからの研究課題としても、レン ジが広く、透明感がある音は、かなりの高級システムのように聞こえる。ユニットをFE83Enにすれば更に良くなるかもしれないが、FF80BKでも 十分な感じがする。

 現段階では、快心作と評価したいシステムなので図 面を載せておきます。


2010/07/03

NDRもどきシステム

 今日は、NDRもどき システムを製作するために、FosterのFF80BKを購入した。2本は前もって買ってあったので、今日は6本を買ってきた。ついでにミューズの方舟ス ピーカーコンテストで受付けられたときに使用するFE83Enも、2本購入してきた。

 FF80BKは、1500円弱、FE83Enは3000円弱と倍半分の価格差がある。

 FE83Enは、音が良いと評判が良く、一時は品切れしてたほどの人気モデルである。

 FF80BKは、Fostexの親会社の製品だが、評判は聞いたことがない。
 FF80BKは、 FE83Enと比べると、見た目は安っぽいが、マグネットのサイズは同等で、フレームの剛性は、むしろ高い。また、フランジの裏側には、パッキンが貼り付 けられているので、音漏れが少く、工作も楽である。

 音の直接比較は出来ていないが、製造コストは殆ど変らないのではないかと思う。

 NDRもどきシステムは、ユニットを片チャンネルで4本使うので、価格の差は大きい。FE83Enのような高級モデルを使用する気にはならないので、 FosterのFF80BKを使用した。このFF80BKは、特に悪いところはなく、むしろ好ましい音がするようである。
 今回製作したNDRも どきのシステムは、前面に2本のユニットを使い、後面に、別の2本のユニットを左右に向けて使う。

 前面のユニットは、直接音を受持つ1本のユニットを2本に分けたもの、後面のユニットは、内面に向けたものが、モノラル成分を受持ち、外側に向けたもの がステレオ成分を受持つという構成である。

  接続方法は、前面の2本をシリーズ、後面の2本をシリーズ、そしてこれらをパラレルに接続するシリパラにする予定であったが、気が変って、シリーズに繋 がった部分の中間を夫々ショートした、パラシリのように繋いだ。大して意味がある訳ではないが、何となくやってみたものである。
  前面の2本は、直接音を受持つということであるが、実際には、前面の中央に向いた前面の2本だけでもステレオになり、前面中央の外側向きの2本は、間接音 を受持つような気もする。しかし、前面のユニットの音圧が後面よりも高くないと、音が引っ込むという話もあったので、このようにしたものである。

 スピーカーユニットが四角柱の4面に付いているので、後面も左の写真のようである。

 四方に分散する音響信号は、擬似点音源のような動作をするようである。

 音場は独特で、体全体が音に包まれるような雰囲気を出す。
 
 Audio BASIC50号の飛行機の録音では、飛行機の騒音と、環境騒音の鳴らし分けが見事である。お寺の鐘の音も良いが、背面の音圧が高過ぎるのか、周りがビリ ビリしてしまう。振動板の実効径は、12cmなので、Fostexの16cmに近い口径になるが、前面に大きな振動板があるのとは異り、音像が肥大化 することはなく、同時に小口径では難しい、音の厚みの表現も得意である。メリットは大きいのではないかと思う。

 これがNDRとして動作 しているのかどうかは不明であるが、雰囲気は良く出ていると思う。今日のところは、吸音材などの調整が完了していないが、もう少し鳴し込んでから、今月 の、手作りアンプの会関東三土会に持参しようかと考えている。正直云って、自分だけでは、NDRというシステムの評価が難しい感じがする。


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