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スピーカー再生技術(1) - スピーカー再生は空気を動かす技術
スピーカーシステムは、どこででも目にするものです。一般には、音を鳴らす装置と考えられているでしょう。もちろん、音を鳴らす装置であることは、間違いありません。しかし、『音を鳴らす』と漠然ととらえていると本質を見失うかもしれません。
では、『音を鳴らす』というのは、何を意味するのでしょうか?
それは、空気を動かすことです。すなわち、スピーカー再生技術とは、空気を駆動して、音を発生する技術であると考えてみましょう。 |
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さて、音とは何でしょうか?
音とは、空気の圧力変化であると説明されています。空気の圧力を気圧ともいいます。大気の圧力の代表値を1気圧(ata)といい、その値は、1013ヘクトパスカル(hPa)
とされています。元々は、1013ミリバール(mbar)と表記されていましたが、国際単位系の統一に従い、パスカル(Pa)という圧力単位を使うようになりました。そのとき
に、それまで使われていた、1013という数字をそのまま使いたかったので、ヘクト(h)を付けたようです。しかし、ヘクト(h)という接頭辞はあまり一般的ではない
ので、数字は変りますがキロパスカル(kPa)とかを使っても良かったのではないかと思います。大気圧は、常時変化していますが、この変化はゆっくりなので
音としては認識されていません。音として認識されるのは、圧力変化が、1秒間に20回以上繰り返されるというのが一般的なようです。この1秒間に20回繰
り返すことを、20ヘルツ(Hz)と表現されます。
また、人間の耳では、微小な圧力変化を認知することができず、聞き取ることのできる最小の圧力変化は、20マイクロパスカル(μPa)といわれています。
また、音として感じられる最大の圧力変動は、約63Paということです。これが、耳が壊れる寸前の音の大きさとなります。
1パスカル(Pa)は、1平方メートルあたり1ニュートン(N)、1気圧(ata)は、およそ100,000Paですから、聞き取れる最大音の圧力変動
は、63÷100,0000=0.0063%しかありません。音というのは、それだけ小さな圧力変動なのですね。音の圧力変動は、たったこの程度しかない
ので、スピーカーシステムでも、オーケストラを感じさせる音の再現が可能な訳です。
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